南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

種明かし(第一幕)

Nanjai2004-05-01
 今月8日にイラクで日本人3名が拉致されたが、15日に無事解放された。14日に拉致されたと見られる2名も17日に解放された。8日の事件発生より、困惑の状態にあった筆者も、3日(最初の事件の期限日)経過してようやく真相を推測できる状態になった。解放が延長して15日になったことも予測どおりの経過といえる。筆者は3人が解放されても、否でもこの企画のみはやるつもりでいた。この度、情報収集等に時間を要し、10日ほど遅れてしまったようだ。
 当初から自作自演説が飛び交っていたが、筆者もその一人であった。ただ3日目にそれを修正して、現在に至る。とくに決め手となったのは、事件発生直後の日本共産党不破哲三議長の街頭演説である。「自衛隊がイラクに来ることで、NGO活動と自衛隊の活動が同一視され、印象が悪くなる、という不安を現地で活動している人々はもっている」というのだ。今回拉致被害の対象になったのは、民間で支援や報道に携わる人々だ。それではこの拉致事件のシナリオを書いたのは、一体誰か。
 きっかけは始めに拉致された3人のうちの一人が現地のあるイラク人市民にこぼした、先の不破議長の言葉だろう。国が派遣する軍よりも有効な復興支援に来た彼らに、イラク人市民が同情したのかもしれない。実は先の不破議長の演説を聞くと、イラクにおける自衛隊の活動は、現地で活動する民間団体の活動とは比較にならぬほど、へぼいものらしい。大量に資金を投入しながら、民間より有益にならぬということだ。そこでイラク人は考えた。人質事件を考案するのは容易いが、自衛隊員でなかったのは拉致しにくいからだろう。大量資金は隊員の命を守る方に使われているらしい。堅固な宿営地には歯が立たぬ。やむを得ず、恩人である民間活動家を狙った。話せば理解してくれるだろう、と。
 ところで一つ大事なのは、3人を拉致したのは、一般に言われるテロリストとか武装集団などではないことだ。市民団体あるいは自警団のようなものだろう。これだけ治安が悪化すると、自主的に地域を守ろうとする意識が働く。家族や隣近所を守ろう、という最小自衛組織だ。犯行声明文を読むと、敬虔なイスラム教徒なら普通に知っている基本精神をもとに書かれていることがわかる。初めてこれを読んで、妙に穏健的な文面だと感じた。人を感動させるような、そんな趣があった。結:第二幕に続く。【2004/04/26/AM】