南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

ロンドン同時多発テロ

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 日本時間で七夕の夜、ロンドンの中枢部を狙った同時多発爆破テロが発生し、現在でも死傷者が増加している。ロンドン市の象徴であり、まさにヨーロッパ・キリスト教文明による近代化の象徴でもある二階建てバスや地下鉄が狙われ、街は一瞬にしてイラクのような爆風による修羅場と化す。世界の市場を司るビジネス街や、かつてアフリカや中東地域の文明から押収した珍品の宝庫である大英博物館が近接する。紛れも無く、テロは文明戦争を象徴する、政治的な表現技法である、ということをあらためて強調しておく。
 さらに、今回は同国スコットランドのグレンイーグルスで主要国首脳会議が開催されており、2004年にスペイン・マドリードで起きた鉄道爆破事件よりも、国際的な意図が強い。一方で、タリバンは関与を否定、アルカイダに同調する武装組織であるという見方もある。要するに、テロは末端組織か私的なグループによる犯行かもしれないが、その行為は時や場所などから見て適切であったとして、虚偽の犯行声明を出したとも言えるのだ。その方がテロ事件に箔がつく。いまや、テロは様々な方向へ利用されつつある。まさに、映画『もののけ姫』のジコ坊のように、世の善とされるものも悪と見られるものも、常に利用する者が現れるときが来るのだろう。否、それは戦争産業も含まれるのだから、既に出現しているといえるのかもしれない。
 ともかく、テロが表現技法の一つであると考えられる限り、この世からテロを撲滅させることはできない。唯一、テロの発生を抑えることができるとすれば、それは自らおよび相手が互いに上下関係に無いということを主張し続けることであろう。近現代は危険から安全を求めて発展したが、常に危険と隣り合わせにあることを自覚する瞬間でもある。そして、自らが常に安全に関して高位置であることに安住するとき、テロはそれを覆すために意外な作為を催す。現代も古代も中世も常に単なる歴史の分類であって、いつの時代こそが優位に値する、或いは安全であるといった観念を持たないことである。
結:諸行無常。【2005/07/09/PM】