南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

ロシアの再大国化とその脅威(世弥)

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 田中明彦氏の『新しい中世』論も、第10章を以てとりあえず終了となった。その第10章は、「新しい中世と日本の役割」というもので、先稿で述べた第一・第二・第三各圏域と日本との関わり(外交)を主幹としている。中でも、第二圏域に所属する中国とロシアの存在は、第一圏域とされる日本にとって非常に対応しにくく、またその如何によって世界情勢が大きく変わるものである。朝鮮と中国に対しては、日米安全保障条約の影響力を可能な限り利用することで、同国の著しい軍事行動を抑制する。さらに、中国には経済発展という飴を与え続けることで、安全保障の維持が如何に利益を齎すかという事実を知らしめる手がある。中国・朝鮮のみならず、アジア太平洋には不安定な要素が数多く存在している。しかし、現在最も注目されている市場でもある。ここを如何に征し、第一圏域への移行を図るかが日本の課題とされている。
 一方のロシアは、旧ソ連体制が崩壊し、イデオロギー的にも軍事的にもさほど脅威ではなくなった。無論、分散したとはいえ、幾分核兵器を所持してはいるが、使用するほどの威圧的行為に出ることは無いであろう。と、述べたのは筆者であり、田中氏は「ロシアはいずれ再大国化し、脅威となる可能性がある」としている。その根拠として、国内に資源が豊富であること、ソ連体制崩壊後の政治的不安定などが挙げられる。日本は、この資源を新たな供給源とする為にも、友好関係を構築すべきだとしている。
 しかしながら、ロシアは現在漸く経済が回復の兆しを見せ、このまま社会主義計画経済に戻ることが無ければ、市場経済での大国化を目指してゆくはずである。とすれば、豊富な資源国であるとはいえ、資源供給国のみに徹するとは考えられない。寧ろ、そう考えるような国家にとって脅威になるのではないか。いずれ、工業国さらには第3次産業を発展させる国家へと進展するに違いない。現在、ロシアはヨーロッパに市場としての価値をみているが、アジア市場の拡大に伴い進出を考慮するであろう。そのとき、アジア太平洋の顔である日本がロシアを、資源供給国に過ぎぬ、と見なしていたならば、友好関係は崩壊する。柔軟で多角的な友好目的を持っておく必要がある。
結:ロシアも経済発展の飴に誘え。【2005/07/12/AM】