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南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

家族旅行―長野・渋温泉―前編:善光寺参拝、長電乗りつぶしと渋温泉湯めぐり

全球大旅小旅

この渋温泉を最初に提案したのは私だ。父が大量に(20冊くらい)もらってきたパンフレットの中から、何気に一つとって捲っていたら、JR特急込みで安いのが目に留まったので母に伝えると、手放しで喜んで決まってしまった。渋温泉というと、山奥にある温泉というイメージを持っていたが、長野電鉄湯田中駅からそれほど遠くないことが分かった。今回泊まることになったのは、洗心館松屋という10部屋程度の小さな旅館だが、豊富なサービスが惹きつけた。そして何よりも、湯めぐりが目的だった。少し早めに着いて、温泉街に9箇所ある湯を巡って願掛けをすると決めていた。
さて、実際はどうなったかというのを簡単にまとめておこう。
ワイドビューしなの長野行き。珍しく電車で酔った。キンカンのど飴のせい。松本から先、篠ノ井線は未知の世界なのに、体調は最悪。
長野駅で、長電2日間フリー乗車券を購入。そのまま善光寺まで歩く。途中の蕎麦屋さんの「本日のランチ」に魅せられて、即昼食。ざるかかけかと問われて、なぜか家族3人はざるで俺だけかけ。季節メニューで「鴨そば」が出ている。炙った鴨肉の入った暖かいおそばだそうである。ちょうど1年ほど前、高麗川で食べた鴨汁うどんをひとり思い出した。食前にそば団子とサラダがでる。おそばはざるでもかけでも大盛りで、さらに五穀ご飯とかお吸い物がつくから、ランチでも食べ出がある。この店、2階はお座敷のようで、予約してあるらしい重役げな人が続々上がっていく。夜には飲み屋となりそうである。けれど、ランチに限っては大変美味しいし、おそばの名店であるようだ。造りは結構新しめ。
信州そばに満足して、早速善光寺参り。「牛に引かれて善光寺」の言葉をつぶやきながら、門前町に入る。と、善光寺の主づらをした鳩どもが町を平然と闊歩している。みやげ物店の豆を袋の上からつつこうとしたり、参拝客にぶつからんばかりに低空飛行したり。長野の顔、善光寺がこれだからかなりやばいと思った。山門は現在改修中で、すっぽりと幕に覆われている。善光寺といえば、本殿内の暗闇を歩いてご利益をうるのが知られているが、これは500円もするのでやめた。結局本殿を参って、おビンヅルさんを撫でたら終わった。鳩のせいかもしれないが、呆気なかった。せめて「牛に〜」の手ぬぐいが売られていたので欲しかったが、境内と門前町では価格が50円違う、という比較をしただけで終わった。
長野電鉄善光寺下駅は、善光寺から意外と離れていた。いつまで坂を下っても駅がないので、皆いらだっていた。結局駅に着いてみて判ったことは、次の電車まで20分待たされることと、どうあがいても次のゆけむり号には乗れないことだった。いろいろと時刻表をみて検討した結果、父と私は須坂から屋代線に乗ることにし、母と妹は次の普通電車で直湯田中へ行くことになった。地下駅構内を通過するゆけむり号はなかなか圧巻だった。善光寺下駅とは名ばかりで、善光寺へ行くなら手前の権堂からのが近い。特急もそちらにしか止まらない。
須坂までの鈍行は、そこそこ乗車率が高かった。乗りなれた名鉄瀬戸線のようで心地よかった。須坂で母らと別れて、改札の外に出る。赤みのややはげたジャスコはただのスーパーだった。駅前の地図を見ていると、ジッちゃんが「どこ行く?兄ちゃん」と声をかけてきた。そのときは不審に思って笑いながら立ち去ったのだけど、ふと地元の方と話したくなってまた戻ってみた。かなりお歳だろうが、元気そうに自転車に乗る姿にタクシーの運転手も感心していた。寝たきりになってしまう方も多いだけに、ああいう姿は高齢社会の星じゃないかと。
屋代線。須坂で乗った客は、金井山までで片付いた。その後はほとんど増えないで、2両目はほぼ空のまま、屋代。けれどどの駅も風情があっていいなぁ。長電は、私が製作中の矢田電に本当に参考になる。屋代はしなの鉄道との接続駅であるほかは、何もないのですぐ折り返し。今思うと、松代で下車しておけば、川中島の合戦場を訪れられた気がする。ただ乗っただけ、になってしまったのは残念。
信州中野で、同駅から鈍行になるB特急に乗り継ぐ。これは、小田急から譲り受けたゆけむりよりももっと古めかしい電車で、外観は阪急色(チョコ色)である。これで湯田中駅に乗り込むと、数十年はさかのぼった温泉客になった気分である。そんな時代を思わせる音楽が駅構内に鳴り響く。線路は温泉町のほうへまだ伸びているようである。
駅からは徒歩で渋温泉へ。途中の平和観音はセクシーで美人であったが、ロープウェイは止まり、スキー場らしい山に雪はない。暖冬の影響が強く感じられた。若干遠回りをしてしまう。
今夜の宿まつや。温泉卵と梅昆布茶で迎えられ、外湯めぐりについて説明をうける。夕飯まで時間がないので、内湯に入りにいく。加減してあるらしく、そんなに熱くはなかった。母らはすでに外湯めぐりに出かけていた。
りんご酒で乾杯をして夕飯。一品一品が少量で適量。味も濃すぎず、食べやすかった。どこの旅館も、夕飯で満腹になってしまうと、そのあと温泉を存分に楽しめないことが多い。今回はそうならないように配慮されている。
夕食後、一眠りして、外湯に出かける。しかし、めぐってみて分かったのは、いかに渋温泉の湯が熱いかということ。特に2番湯など電気ショックのようで入れたものではなかった。水を大量に入れてぬるめたり、かけ湯や足湯だけで済ませざるを得ない湯もあった。地元の方が利用した後は、適温になっていることが多かった。一番入りやすかった湯は4番湯である。20時半ころから回り始めて、6番湯で限界となった。残り3つは翌朝とする。
つづく