南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

开封铁塔公园

(お断り:この記事は、当日を初回とする2009年2月までの数度の入場を元に、総合的に記述しております。)
解説
鉄塔は北宋の皇祐元年(1049年)に建てられた八角13層づくりのもので、高さは55.88m。建設当時のこの地の地名「開宝寺」をとって、「開宝寺塔」と名づけられた。褐色の瑠璃レンガを使った塔体が鉄色そっくりであることから鉄塔と呼ばれるのである。塔体に描かれた飛天、仏像と楽伎など10種類の図案は生き生きしていて真に迫る。風景区内にはまた接引仏殿、喩浩記念亭などの建物があり、境内は緑の木々に覆われている。开封市内のかなり大きな庭園式風景区で、中国の重要文化財である。
この鉄塔という名をきけば、誰しもあの電線を通す鉄塔だと考えるものである。河南大学を留学先に検討し始めた頃、中国の観光案内書で开封の地図を見て、何故わざわざ鉄塔などというそんじょそこらにあるようなものを、学校の北側に記載しているのかな、と不思議に思ったものである。ところが実際来てみてはじめて、これが由緒ある建造物であることを知った。
开封市内北東部、城壁北東隅に位置するこの塔を含めた公園は、同市を観光する上で一二を争う優先名所である。交通はまずまず方便で、火车站から市バスで1路か3路に乗車して終点、龙亭公园からも1路でリンケージ・アクセスできる。しかし河南大学の留学生である我々にとっては、さらに方便で、大学の北側面と公園が接しているため、専用の入場門が設置されている。塔そのものは、キャンパス内から眺めても大変趣を感じさせるものである。また公園東部の铁塔湖もキャンパスに接しており、湖岸は学生や市民の憩いの場でもある。これらの地理条件を利用して、公園に無銭侵入する様々なルートが編み出されているのも、また事実である。留学生の内で伝えられている一つには、キャンパス東門より城壁を登り、壁を伝って湖の浅い付近に達し、これを渡って進入するという手段がある。実行に移された話もあれば、罰せられた話もある。私も実行してみたいとは思うが、何せ10元である(2009年より20元)。それから、キャンパス北側面の分離壁の低くなった部分(中心食堂裏付近)を乗り越えて進入するルートもあるらしい。
さて、芸術学院の校舎を左手に、真正面に塔を仰ぎながら北へ北へ行くと、大学とつなぐ通用門がある。両側に小屋があり、切符を売っている。学生証があれば半額、07年までは年票(年間パス)を確認する機械が設置されていなかったが、以降置かれるようになった。くぐって、塔との中間に一軒みやげ物店がある。その右手の小さな休憩所は、授業のない午後などのんびりと塔を眺めるのにもってこいの場所であると思ったが、滅多に実行したことはない。
塔に登ったのは、初めて入場したこの日のみ。追加10元。北側から入塔し、人一人幅の螺旋階段を登っていく。通路の壁には仏が繊細に刻まれており、一見の価値あり。また東西南北各方向小窓(仏様に光を当てる為)があり、开封の町並みを望むことができる。なお、最頂点は東向きのみの小窓であり、遠く化学工場地帯が望めるのみである。市街風景を堪能したい場合は、階段を登りながら時折足を休めて覗くと良い。

東側の铁塔湖はボートも浮かぶ、風情ある庭園の一部である。湖の中心に向かって小道が伸び、演舞を催すと思われる亭が建っているが、内部は石碑のみで入ることはできない。この亭の軒下を見ると、雫の滴った跡が大きく凹んでいる。これは酸性雨の影響ではないかと思った。

塔を真西に歩むと、大仏殿。こちらから人間を入れて、塔を撮るのもよい。鮮やかな色彩に彩られた本殿に、やさしい顔の仏様と、復元し塗り直された仏絵が広がっている。中国ではあまり見ることのできない、本物以上に鮮度の高そうな果物が年中置かれている。桃が一番腐って見える。そんなことはどうでもよい。

現在この公園は西門を正門とし、東方向へ広がっているように見えるが、本来寺院は南向きに建てられており、塔は寺の敷地内の一建造物に過ぎなかったはずである。それを思わせるのが、仏殿の北に建つ小さなお寺である。大きな布袋様がどっしりと座り、人々の苦労や災厄を吸い取って体が大きくなったといわれている。その金色に照り輝く身体は、人々になでられて塗料がはげた部分もある。最奥には白い玉の仏様がすえられ、崇高な香りを漂わせている。
これらが主な見所で、他はハスや菊祭りの季節には園内がそれらで彩られ、盆栽園も設けられている。正門から大仏殿まで数百メートル、木立の回廊があって、これも解放路に入口を開くためのやや強引な公園化であると見ることができる。
非合法ルートはともかく、我々学生はおもに南門と称される特別の通用門を介して入場するため、正門が出口になりがちである。たいていは一般観光客とは正反対のコースで見学、散策することになる。正門には繁体字で「鉄塔公園」と書かれた札が掲げられ、駐車場を兼ねた巨大な広場となっている。
完 (画像はいずれも2012年撮影)

(map:开封铁塔公园)