南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

安阳-南阳編2 (安阳第一天:岳飞庙,袁林,天宁寺)

蚊がうるさくて、4時くらいから眼が覚めている。とにかく体だけは休ませようと、クーラーをつけたり消したりして心地よさを造成。明晩はクーラー全開で寒すぎにして、布団をかぶる作戦で対抗しようと思った。
7時半出発。大抵駅前ってのは少なからず小摊儿がおるもんだが、皆無。昨日のネギ饼もいない。やはり开封は多いのだな、と改めて感ずる。朝飯を放棄してスケジュールに入る。

汤阴(Tangyin)岳飞庙

決して向かい側とはいえないが、バスターミナルは近い。外にも、太原、北京、天津、郑州などが屯して客引きしているから、おそらく飽和状態なのだろう。或いは出入が不便といえる、安阳の中心クラスとしては小さめのターミナルである。それでいて長途から中短まで賄っているから重いのである。今回午前中を利用して向かうのは汤阴县で、市区から15km程度。3元くらいと踏んだが、5元。朱仙鎮(30km)と同じかよ。これも开封と同様、ターミナルから正式に乗る客は希少で、定刻どおりに出て後方が来るまで門前で客引きする。さらに市内数箇所で数分ずつ停車して何人か拾い、やっと7,8割になるのだ。尉氏や朱仙と同じである。まぁバスはそういうもんだから今後はこだわらない。市内を出ると京广铁路沿いに南進。列車が来たら絶好のカメラスポットだが、生憎カメラがなく、列車も来ない。と、突如、上り动车组三両編成が駆け抜けていく。日本の新幹線と同じスタイルであるが、あまりに短い。いくらなんでも3両はねぇよ。
县客运站下車。三輪の客引きが異常にしつこいので脱出したはいいが、問題の岳飞庙、方角が分からない。县城内、西南部。いや县城がどれくらいの規模で西南はどっちだ。杞县のようになる気がしたが、でたらめに歩いてみるもアウト。空腹で気力を失ってくる。バスが南進してきた道に出てみると、れいの茶色い看板がある。指す方向に歩いてみるも、距離がありすぎて疑わしい。大分ぐるぐるしたが、結局矢印の方向へ諦めずに進めばよいということだった。舗装中のショッピングモールを抜けると、岳庙街という古風な町並みが伸びている。その中ほどに岳飞庙が現れる。
近頃の景点入場券は半分が葉書になっているものが多いが、安阳はさらに面白い。31元とか61元とか、半端に一元を要求するのである。一元なかったらお釣りで4元用意する手間ってのを考えないのかね。
まぁさておき、汤阴は岳飞の故郷である。国家に忠義を尽くして金(後金)と戦ったのに、悪い高官に罪を着せられ殺されたため、人々が彼をしのび各地に庙を建て祀っている。抗金の戦場となった朱仙もその一つである。この構図は水滸伝と相似する。武に優れた108将が団結して皇帝に忠義を尽くしたが、最後は宋江はじめ多くの者が刑に服するのである。おそらく創作において関わりがあるのだろう。
内部は大体朱仙のものと同じである。鎖でつながれた秦檜ら5名(たたき棒はなし)、本殿に岳飞、生母、子孫像。武功を称える碑文。本家は弱冠盛大に感ず。
昼はこっちでしないで、先ず市へ帰ることにする。岳庙街を南へ抜けると大体町外れである。西に進めばアッサリバスターミナル。道に迷うとはこういうことなのだ。因みにその途中ロータリー交差点に岳飞像がある。必見。

袁林

駅前で昨日と同じネギ饼(名が分からないのがいい)と冰红茶を買って、彰徳路の小さな広場で食べる。昼寝タイムをそこで休憩して、2時前に袁林へ行ってみる。
公交23路で袁林(袁世凯墓)入り口。実際には脇から入る形になって、参拝?としては相応しくない。ちょうど日本の神社のように数百メートル砂利を敷いた参道があり、アーチ型の小橋までそれを匂わせる。後世の評価はどうであれ、偉人というのは各々特有の思想を持ち、多様な要素を活用しようとするものである。袁世凱もこの性質があって、西洋的な建築様式などを織り込んだとされる。列強の侵略を危惧し、中国の近代化を目指した彼の、西洋や日本の特色を採用した斬新さがうかがえる。信長の安土城のようなね。
袁世凱にとって安阳は一時期隠居生活を送った、いわば第二の故郷である。中華民国大総統から帝政復古を宣言し、国民の猛反発を受けてその身を追われ、再びこの地に安息の場を求めた。一生涯をたどった展示館もある。
門をくぐった境内は苔むした石畳に木々が程よく茂り、涼しくて心地いい。対照的に棺が納められた陵墓は日当たりがよく、今は暑すぎ。きっと夏冬考慮したのだろう(?)。
本来の入り口である、参道の南端には巨大な屏風状の壁があって、ここにも多様な彫刻が施されている。入場料20元(表示は21元だが、1元免除)。

天宁寺

19路で再び文峰大道に戻ってくる。途中洹河(安阳河)河岸の公園もなかなかキレイ。
さて、天宁寺塔とは安阳県北部にあるのだと思っていたが、実は文峰塔のことであった。今回訪れる景点はいずれも市区近辺に集約されていて助かる。入場15元。ここは一元を問わない。けれども時間に余裕があるとはいえ、3ヵ所も一日で回るのは少々体力的に無理があったらしい。バテてきた。暑い。本堂には布袋さんが居って、四天王像が護衛している。一服一服重ねながら、意外と幾重もの層がある塔を登りきると安阳の町が広がる。市の北東部は割と新しい高層型が、南側はまだ細かな住宅が集まっている。この塔、内部も外部も仏像が彫られていない珍しい仏塔である。多少破壊されたにせよ、名残があってもよさそうなもんだ。
この寺で外国人(韓国人)を目にした。殷墟のある割に外国人は目立たない。
ちょっとだらけて中心部を彷徨い、中国銀行を見つけて火车站に帰る。アイスを食ったりトイレ行ったりして、昨日の烩面屋が開くのを待つが一向に開かない。1元ビールが恋しい。19時まで待って諦めて、別の店で炒面と三星啤酒を1本飲んで宿に帰る。明日は一日殷墟に浸かる。
つづく

(map:汤阴岳飞庙)