南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

洛阳編2:白马寺,龙门石窟

今日は、白马寺と关林の予定を組んでいたが、1日いっぱい使えるので郊外を優先して、白马寺と龙门石窟のセットに切り替える。朝は体調不良を感じないこともあって、いつもどおり朝飯抜きで日程に入る。宿*1の前からバスに乗り、まず西关へ。火车站から白马寺へ直行できる路線もあるが、昨日と今日の2日間は西关を基点に動いた。

白马寺

売店で買った奶茶を朝飯代わりにして、改めて白马寺行き58路に乗車。郊外路線というよりは観光路線のため運賃は1.5元で、料金箱に投ず。鉄路を北に越えると郊外が始まり、線路と並行して走る国道を東へ。この辺は焦柳鉄路もオーバークロスして複雑である。沿道は新興住宅なども全くなく、明らかに市内とは繋がっていない。観光のため市バスは及べども、まだまだ白马寺镇は市区に対する離島的関係にあるのだなと感ずる。白马寺寄りに国道の料金所があるが、当然市バスは一時停止のみ。
寺の山門がぴったり国道に面してしまっているせいか、景区は妙な格好をしている。即ち、入場口が山門の西側に接続されていて、そこから駐車場(バス停)まで東西に長く土産物街が続いている。変なエントランス構造である。この道は、参拝記念撮影や一服場所としても悪くはない。というのは、土産売りがそんなに執拗ではないから。この旅で初使用となる学割は、ちょうど半額の17.5元(細かいな)*2。窓口で確認するだけでなく、モギリでも検めさせる厳格さに少々驚き。
白马寺(白馬寺)は、西暦68年に建立された寺で、中国に仏教が伝来して初めて建てられたため、中国第一寺院とも称される。天竺僧攝摩騰、竺法蘭が白馬に経典を積んで洛陽まで運んだことから、この名がついた。ゲートを抜けて早速、白いコンクリート固めの広場に、白馬の像がある。同じものを、院内の毗卢殿の前辺りにも見ることができるが、注目度は断然こちらのが高い。記念撮影フラッシュ以上に、かなり弄られている可憐な馬である。院子へ踏み入ると、まず右方に攝摩騰、左方に竺法蘭のそれぞれの墓がある。各々やや奥まったところにあるので、初め見過ごしていた。攝摩騰墓の先にある斎雲塔は、たしか先ほどの白馬の居る院外を進むんでなかったかな。見に行ってはいない。
天王殿、大雄殿、千仏殿と観ていって、早くも空腹を感じ始めた。庭で一服したくとも、腰を下ろすところもないほど見物者は多い。最奥の毘盧閣(毗卢殿)は、清涼台と呼ばれるやや高い位置にある。ここでは経典の翻訳作業が行われたとされる。台の足元、院内白馬付近に、日中関係の碑がある。
洛阳の主要観光地と目して来た割に、院内をあっさりまとめてしまって恐縮なのだが、この寺で一番印象に残っている場所は外にある。といっても、山門の外ではない。千仏殿辺りの西側に小さな通用口があって、塀の外に出られる。そこには僧院をまかなうためらしい耕作地の先に、近年建立したような眩しげな仏塔が二、三そびえている*3。寺へのお布施(参観料や花香料などの収入)を元に建てた、寺の集金能力―知名度を誇るような感じも否めなくはない。しかし、見学者以外にも結構信仰者が集まっており、ただならぬ雰囲気を醸していた。こちらには殆どツアー団体は案内しないので、世俗的古刹から一歩脱したような気分になれる。因みに、この畑一帯は今後新たな部分が復建される見込み。塔もその一部かもしれない。
国道の先には、漢魏都城遺跡がある。寺を過ぎたところに案内板が掲げられ、3-4kmと出ていたと思う。時間の関係で諦める。
砂っぽい道端には、付近には大した食堂もない。昼どきだというのに、覗いても食わせてくれそうになかったので、まず市内に戻ることにする。きっとツアーバスのドライバーなんかが、待ち時間を利用して食ったりするような店なのだろう。

老城で昼

西关を過ぎた丽京门で下車。昨日と同様に、門をくぐって老城の中心まで歩く。南大街は、緩やかに“南下”している。中ほどの店で馄饨を食おうと試みたが、客が多すぎて相手にもされず。更に下って、地元?开封の兰州拉面と雰囲気が全く同じな食堂で、凉面を頼む。冷やし中華ほど冷たくはないが、さっぱりしていて野菜も多いメニューだから、この夏バテ気味な体調にも有効なはず。と思ったが、皿の3分の2までは頑張って食べたような有り様。どうも食欲が優れんね。
バス賃用の小銭をつくるため、南关のキヨスクでグリーンガムを買う。丽京门へ行くバスを待ったが面倒になって、同じ1元なら、と火车站へ。そして、改めて龙门行き81路に乗車。やや非効率。

龙门石窟

伊河を挟んで東西に広がる、石窟を中心とした総合風景区。敦煌の莫高窟,大同の云岗石窟(雲岡石窟)とならぶ中国三大石窟の一つで、ユネスコの世界遺産にも登録されている。石窟の造営が開始されたのは、北魏の孝文帝が平城(現在の大同)から洛陽に遷都した493年前後とされる。その後も東魏から宋に至るまで歴代王朝が開削を続け、いまの蜂の巣のような姿となった。
バスを降りると、景区まで暫く土産物店舗が軒を並べる。その一軒で買った飲料水が1.5元して、上積みしているなと思ったものだ。勿論これは復路の5角づくりのためであって、普通は値を聞いたら買うわけない。さすがにこちらは世界遺産、外国人観光客の比率が高い。店舗の途切れたところに、電動乗合自動車が数台停泊している。門外だけれど園内用と思われ。目前に、伊河を跨ぐ大きな橋がある。この龙门桥の下が入場ゲート。帰りは橋を渡ってきて、スロープで降りたところがさきほどの周遊バスの溜まり場、という順路になる。入場料は80元のところ、学生証を利用して40元。しっかり半額になるのは大きい*4。絵葉書式のチケットだが、自動改札機で打孔する。世界遺産はシステムが高度である。
石窟は、伊河の両岸にあり、それぞれ西山石窟,东山石窟と称されている。規模も外観もまったく異なり、一般に写真などで知られているのは西山のほうである。
まずは、西山石窟。川辺の広い遊歩道と、崖に張り付くように石窟から石窟へと伝う参観道が並行して設けられている。ツアーはほぼずっと後者を案内するが、我々のような個人旅行者は自由に上り下りして時々一服することができる。河岸には船着場もあったっけ。さて、肝心の石窟群だけれども、宾阳三洞とか万佛洞とか莲花洞など、個々の名称を挙げてもピンとこない。フラッシュなんてほとんど届きもしないのに、巨大な洞と鎮座する仏像に対して只管焚きまくる人民の脇から、テレビ映像でしか見ないだろうと思っていたそのユネスコ遺産を目前にしているという実感を味わった、としか自分の記憶を語ることはできない。ツアーが仏の座前を囲んでしまうので、記念撮影用にか広くなった石舞台に立って眺めるほかない。というか、あまりにでかいので、間近で見るよりは、同じ高さなら離れられるだけ離れた方がいいのだ。それにツアーの解説はマイクか拡声器を用いるので、多少距離があろうとも十分(寧ろ距離があったほうが楽に)聞こえる。それでも、時には細部まで見たい好奇心もあるので、団体の引き際を狙って接近。注意しないと、仏と民に挟み潰されそうだ。知名度の高い大仏たちの陰で、細く狭いコースの脇にも精巧に刻まれた小仏があることには、ほとんど目も呉れられていない。皆さん、足元の方が不安なようで。これはまた、見所の大仏洞が南北それぞれにやや寄っていることも原因している。観光に来てまで、大きな利益にばかり囚われてはいかんよ、と。大小約10万もの石仏の総体が龙门石窟だということですな。私はそういった全てを漠然と、リアルだなぁと受け止めてきたつもりである。そして、ここばかりは皆さんに釣られて、河岸でアイスを齧り休憩。これだから夏バテになるのだ。巨岩がどかっと置かれただけの、この国にしては無造作な休み処に、修学旅行みたいな学生などが群れている。また、同じ岸の川面の高さから見上げる石窟も、見ごたえあり*5
構造上、この一点だけが不思議なのだが、西山を見終わると一旦ゲート(南門)を出ることになる。西山石窟,东山石窟,白园,香山寺は、景区内でそれぞれ独立しているが、チケットはまとめて西山の入口で売ってしまうという仕組みだ。昔、完全にバラだったものを集合させた名残なのかな。
漫水桥を渡った、ほぼ正面が东山石窟。コの字型に造られた散策道の随所に、小規模な石窟が点在するのが特徴。岩肌全面露出の西山と違って、比較的木々の茂る自然歩道といった感じ。南側の足場はあまり良くないが。こちらは、ツアーも含めてほとんど見学者が入ってこないので、落ちついて拝むことができる*6。そろそろ足に疲労を感じ、奥の石窟へ進むのは億劫になるが、そこは倒れない程度に頑張る。
香山寺と白园(白居易墓)は、体力的に無理なためスルー。とくに後者は今考えると可惜。石窟と一緒に、高額な入場料に含まれているのだからね。最後は周遊バスに乗ってしまおうとさえ思ったほど、空腹に見舞われていた。ただ、东山側で通過してはならないのは、漫水桥寄りにある舞台状の広場で、ここから西山石窟を一望できる。世界遺産をひたすら顎持ち上げて見るのも良いけれど、伊河に迫る圧巻をこうして離れたところから眺めるのも、大きさを記憶に留めるのに良い。このスポットは土産の押売りも少なくないので、上手に避けながら楽しむといい。

夜の災禍ふたたび

宾馆と同じ並びの飯館で、刀削面を啜る。この店、メニューにとてもエロげな言葉が並んでいて、頼んだら如何なるものが出てくるのか興味をそそられた。今考えると、その筋の人に勧める、売春手配屋を兼ねていたのではないかと。
昨晩と同様に、水と牛乳を買って宿に戻る。きのう一悶着あったオッサンが今日も客引きに立っていて、「今日はどこ行ってきた?」とか親しげに声掛けてくれる。あんだけ揉めても後を引かないのが、河南人の良いところ。龙潭や小浪底*7へのツアー参加をしきりに誘うが、我を通しても上手く構ってくれるのが嬉しい。
ところが、部屋に戻って扇風機を回し始めた途端、歯が痛んでくる。幸い今夜は下痢は大したことなかったが、歯痛は激しくて、落ち着いて休まらない*8。このまま三门峡へと旅を続けるのは厳しい気がしてきた。
つづく

*1:东周宾馆という。洛阳らしくていいではないか。

*2:河大の日本人によると、2009年には、龙门石窟ともども、この学割は使えなくなったそうである。この時点で行っておいて良かったと心底思う。

*3:インターネット上で白马寺を検索しても、これらの塔は含まれていない。また衛星地図などにも載っていないことから、相当新しいようだ。

*4:確かな記憶はないが、外国人で学割を使うと幾らとか、何か複雑な仕組みだった気がする。

*5:この後、東岸からの眺望と合わせ、三様の壮観が愉しめる。

*6:たまに、足痛めそうなくらい元気に登ってきて、フラッシュを焚きまくったのち、再び駆けていく貪欲な方も居るが

*7:いずれも市北部、黄河沿岸の風景区。

*8:最奥の部屋で、宿賃も最も安いことから、これは霊障の一種ではないかと思ったりする。