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南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

桜井線環状に完乗の旅

日帰り鉄路遊び集

朝タラタラしていて、亀山からの関西線につなぎのいい列車を逃した。それで同ルートを諦めて、東海道線に回る。こっちも予定外なので当然繋ぎは粗い。25分待ちとか計画ではありえないのも又いいのじゃないか。まぁ後から総括してみると、関西線ルートとほぼ同タイムに出発すれば、東海道線ルートでも所要時間は変わらず、同じくらいの時刻に奈良に着けるということだ。結局遅れちゃってるから、どんなにルートを変更してもさほど早まったり間に合ったりはしない。やはり北廻りのネックは関ヶ原で、抜けた後も米原から野洲までが普通区間か新快速区間かで、またズレが生じる。10時35分に京都発の奈良線普通に乗って、どこで奈良に先着するみやこ路快速に乗り換えようかというところで、六地蔵が適当だと思ったら、宇治で普通に追い越しをやられた。朝から躓くと、読み違いも多く発生する。ついでに木津で、大和路が先行するのに全く反応できなかった。もうガタガタ。
そうやって11時40分、やっと奈良に着いた。ホコ天にしてしまってほしい、駅前からの真っ直ぐなコミュニティー道路をのしのし歩く。お店たちはなかなかいいのだから、自転車が歩道を暴走する様は看過できない。どうして自転車が歩道に追いやられるのかというと、一方通行ながら交通量が多いためで、これは車を一切締め出してしまうのが良い。こんなザマは、世界に知られる古都奈良の、外国人に見せたくない恥ずかしき一面である。そう考えながら、車の鼻息など気にせずにのしのしど真ん中を歩いてみる。奈良人をキレさせてみる。わはは。
猿沢池のほとりで弁当をひらく。ちっともウォーキングをしていないのに、お握りが旨い。さすが奈良は観光客が多くて、ちょっと逃げ出したいと思った。けれども、こんな時間になってしまっては、予定であった「山の辺の道(長柄〜三輪)」を決行するわけにもいかない。焦って歩くのはつまらないし、天候もあまりいいとはいえない。だからといって、桜井線を諦めるのもつまらない。どっか近いところないか。あるある。天理までも行かないで、櫟本か帯解で降りても古墳がちっとある。というのも浮かんだんだけれども、やっぱり桜井線全線乗りたい意識が優先されて、結局桜井に途中下車することになった。
飯が済んでから、お団子探しとプリンシェイク探しを兼ねて、ならまちを散策。細い路地が幾本も交差し、神秘的な町である。探し物はまったくのハズレで、その点はガッカリ。
桜井線は和歌山線と同じ、2両編成の電車。ガチャガチャと連結部分が大きな音を立てて、振動が伝わる。右にも左にも田園風景。どの駅もぽいと降りたくなる感じでいい。なんか中心駅的桜井で降りてしまうのがナンセンスな悔しさを感ずる。もう一度来るか。右にぐいっと折れると桜井。
桜井は昔(平成大合併より前)から市なんだろうけども、その中心地にしては小さめな町だ。まっすぐ南へ歩いて、安倍文殊院を目指す。ぐーっと登って、また一気に西へ下ったところに、文殊院の入口がある。この寺の境内に、2つの古墳がある。なかでも文殊院西古墳は精巧な石室をもつ古墳として知られる。二つの石室を覗いて、それぞれお参りをする。文殊院本堂にも外から何気なくお参りする。東古墳を登るようにして展望台へ上がると、橿原方面が望める。その脇に、ウォーナー博士を称える記念碑が立っている。博士は戦中期、古都奈良の歴史的価値をアメリカ政府へ訴え、空襲による破壊を回避させた恩人である。往路は見落としてしまったが、南進の途中に「桜の井」というスポットがある。これは、桜井の地名の起こりともいわれる小さな井戸で、その湧水は甘く澄んでいたとされる。標識が地面に埋め込まれている上、住宅の脇に位置するので見過ごしがちである。
桜井からは計画通りに乗車する。高田、王寺、加茂とつなぐ。王寺では時間調整のため、30分あまり余裕があった。ここでもお団子とプリンシェイクを探す。是非奈良に一個見つけ出せたら、という期待に同県は応えてくれなかった。奈良、桜井、王寺でアウトだから、相当可能性は低いらしい。これで桜井線・和歌山線関西本線によって、奈良を基点としてぐるっと回ってきたことになる。環状で完乗。
さて、今日もう一つ大事なのは温泉に入ることである。加茂から伊賀上野行きでもOKなのは、笠置で降りてしまうからだ。駅構内に割引券が置かれている「わかさぎ温泉(笠置いこい館)」。下車してから大体道なりに徒歩5分。割引でも700円はちと高いが、それなりにいい温泉である。地元住民が気軽に入れるお値段ではないので、遠方客がメインとなる。入浴者は割と多かったが、お食事処や休憩所は寂しげだった。それだけに数少ない客に対するささやかなもてなしは格別である。言葉遣いにそっとやさしさが重なっている。また暫く行くことのない温泉にゆっくり浸り、露天の枇杷湯を愉しむ。湯上りに抹茶ソフト。空腹度と時間からしたら、定食を頂きたかったのだけれども、また次回。1時間では足らなくて、1時間半。
さらに10分ほど笠置駅で列車を待つひととき。ヒグラシが鳴いて、まだぼんやりと周囲の見えるくらい暗い夕暮れどき。ホームには田舎っぽく1人2人の人影。あぁ日本だな、とつくづく感じた。一人であっても落ち着ける雰囲気。これは異国では感ずることはできない。
乗車してからは外はずっと雨。天候の見極めが本当に難しかった本イベントである。出国2日前までずれ込みながらも、結構満足のいく日帰り旅になってよかった。