南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

开封万岁山森林公园

年票未訪シリーズ第二弾。ていうか、刘少奇陈列馆は結局観なかったので、一弾目。森林公園は入場料も安めで、学生らから好玩なところだと聞いていたが、一度も行ったことがなかった。その理由はアクセスの悪さにある。場所は、城壁の北辺。城壁と外环路の間の細長い土地に造られている。正門は北側であるが、面する外环路を通る市バスは33路だけで、この路線はほとんど河南大学の旧校区と新校区のピストンバスであり、途中停車は黄河水利学院(新校区)以外には望めない。南側にも通用口はあるが、これは分かりにくい。今回訪れて、初めて通れることを確認できた。けれど、せっかくの菊祭り開催期間に来中したんだし、入園料を低価にして菊を観賞できればと思って、今回訪れたものである。

アクセス

南口から入るために組んだ交通プラン。10路で鼓楼、または18路で新街口に出て、15路に乗り換え終点の天波杨府*1で下車する。なのに、中山路なんかで下車するのは1元がもったいないと火车站まで乗ってしまう癖。火车站起点の1路に乗り、先述の停留所で降車。ということで、火车站,汽车中心站,客运西站からお越しの場合は1路で。小学校の遠足か、貸切バスから降り立つ子供の群れ。数が半端でないね。それらに背をむけ、バスの来た道を少し西へ戻る。指示板は確かあったと思うが、あまり分かりやすくない道が北へ伸びている。左側は遊歩道が造られており、右手はコンクリの壁。実はこの道の先に、目下建設中の大規模住宅があり、豪華な生活空間を描いたポスターが目に付く。モデルルームの公開や購入の受付なども、この奥にある模様。コンクリート露わな骨組みだけが残されたビルを見て、あぁここに住めと(ぉぃ。新居購入受付が20m、10m、5mと明らかに距離間違ってるのに近づいてきて、それを過ぎるといきなり砂山(実は城壁の崩れかかった部分)に突き当たる。これを登ったところが森林公园南門。中腹(?)の売店で冰红茶を買って入場。

まずは菊を愛でるべし

正門の大々的な造りに対して、南口は簡素。入園料15元を、今度は学生証を使わずに支払う。価格も菊展の影響を受けていないようで助かる。まずは、正門と南門の間に拓かれたお花畑を観賞。この時期は当然菊の花が植わっているのだが、毎年世界各地の菊を集めて展示しているとは思えないような、無造作な植え方が目立つのは寂しいところ。それでもスプリンクラーが元気に活動し、菊その他諸々の植物は健気に生きておられた。木陰のベンチで暫しポケーッと観賞。
森林公园は、その名のとおり緑の少ない开封にあって豊富に樹木の茂る、若干起伏のある公園である。が、それ以外にも注目しておきたい固有の見所を3つほど挙げてみよう。

万岁寺

園の一番奥、東の果てにあり、アウトドア施設やアスレチック遊具の溢れる園内において、ここだけ厳かな寺廟の装いをしている。公園の名となっている万歳山は、この寺の脇にある丘のことではないかと思われる。外から環状道路を何度も通っているが、寺や丘陵があるなどとはちっとも感じられない。入場して初めて分かる。小ぢんまりとした寺院内は、焼香の店番をするおばちゃん数人*2と、本殿の布袋尊のほかは特に見るものはない。でもよくよく考えてみれば、森林公園として整備される前の観光の核ってこの寺なんだよな、と気づく。普段観光客から見向きもされない东大寺や白衣阁、宝珠寺のようにぽつりと建った寺を思い浮かべて、レジャー施設に埋もれた今でも状況はそんなに変わらないか、と思ったり。

万岁山民俗村

公園のちょうど中ほどにある。开封の伝統工芸や中国の民俗文化を、10ほどの小屋に分けて実演紹介するコーナー。宋代古都の栄華に注目させる开封の観光方針にあって、こういう趣向は珍しい。一つくらいあってもいいと思っていた。なかでも酒造りや武術が目を引くけれども、开封の民芸品といえばやはり汴绣だろう。中国を代表する刺繍工芸の一つだが、宋都御街や书店街などでも買うことができるわりに、その実像はあまり知られていない。主な観光地を巡っても、これはと思える紹介がなされていないのが実情だ*3。もう少し土産店ぽさを薄くして、酒文化は次項で紹介する博物館に重きを置くようにして、もっと注目させた方がいい。ほかにどんなブースがあったかは忘れてしまった。

大宋酒文化博物馆

これは園内で最も新しい施設で、正門と南門の間にある。南門から向かうと、开封市60年間の変遷をパネルで追うことができる。一昔前がこんなに貧相な時代だったのか、と改めて改革開放の凄まじさを感ずる。(これは建国60年を迎えた、2009年のみの特設展示かもしれない。)さておき、博物館はおよそ3つのブロックに分かれている。まず、酒文化・酒造の過程、酒の種類などを展示紹介した、総合的な博物館。最も南よりの建物で、入口に受付や警備など誰も居らず、しんとした展示場。古代から育まれてきた醸造の文化を、粘土模型や酒器の出土品等を用いて、なかなか詳しく表している。酒と関わりの深い歴史人物とまつわる物語。吉川英治訳の『水滸伝』に心酔して此処へ来た私は、英傑たちの大碗でガブガブ呑みまくるシーンを思い浮かべて頷く。今でも河南は、度数の高い白酒が非常に好まれている、酒文化の代表のような省だ。華々しく復元された宮殿や寺廟に見飽きてしまった方々にも、これは受けると思う。勢いが良すぎて回廊にまで水が撥ね飛んでくる噴水をクリア(?)して、次の棟には酒造に用いられた工具が並べられている。たぶん日本のものとも酷似していると思われる、木製の使い込まれた道具達である。屋外にも、井戸など酒造に活躍する面々がある。こちらは実際に自分の手で弄ってみることも可能。そして、どこからともなく酒かすの匂いが漂ってくるのは、まさにこの博物館において醸造が行われているからである。最後に、実演なのか本来の営業なのか、汗水たらして酒を仕込んでいる職人?の姿を見学することができる。あの薬物みたく鼻を突く白酒の臭いからは想像できないような、柔らかい酒本来の香りに浸っているだけでも幸せな気分である。

その他

起伏を利用したアスレチック遊具、バーベキューなどができる広場(中国で、孜然でない焼肉の匂いを嗅げる珍しい?場所)等々、団体でレジャーを楽しめる施設が他の観光スポットより充実している。城壁との間にある池ではボート遊覧が楽しめるほか、河南衛視のチャレンジャー番組?*4にロケ地にとして使われている。また、今回は敢えて見に行かなかったが、国内唯一とされる城壁に造られた防空壕の跡も意外と必見かも。
3時間ほど見物して、14時ごろ正門を出る。大型ツアーバスが数台入りそうな立派な空間がある。でも門前にタクシーは一つもない。自転車通行帯に立って、バス停まで行こうかなと思案していたところ、運良く電動三輪が通りかかった。河大南門まで4元*5。ところが、これが途中から随分うるさくて、西門で降りちゃってくれないかと催促する。行き先も値段も乗る前に了解してるんだから、行くべきところまで行ってもらわないと。結局、西門付近で坊やを一人追加されたが、南門で自分の分だけ4元払った。こんな厄介な車引きに遭ったことはあまりない。

(map:开封万岁山森林公园)

*1:翰园碑林や龙亭公园の北門

*2:たぶん彼女らだけの裏道が外部と繋がっている。東山一万歩コースと植物園のような感じで(ヨケーワカランダロ)。

*3:塔公园にそれらしいのがあったっけ?。

*4:日本の芸能系のようなクダラナイ番組があるのだ。

*5:龙亭公园から3元なので、妥当だが値切ってもいい感じ。参考までに。