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南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

Shanghai2011第二天:嘉定(Jiading)

朝の外滩

20時間警音器の喧騒な福州路に、6時ごろから眼が覚めてしまう。西向きの一方通行であるこの道は、市バスですら猛スピードで駆け抜ける。この点まだ明堂YHのほうが静か。7時過ぎ、顔も洗わず朝飯を食いに出る。洗面用タオルを持参し忘れたので、ついでに買ってくるのだ。通りに露店がおらず、結局朝食も山东中路へ。モチモチ饼2枚と豆浆を食しながら、朝の外滩を散歩。明堂も黄浦江に近かったので、この河畔には幾度となく来ている。今回は画像収集ができる。昼間は霞みやすく、対岸撮りには不向き。
こんなデカいBull、以前あったっけ?
この絢爛たる近代建築地区の中を、上海公交20路という系統が走っている。これは、上海市内でも最早希少なトロリーバスである。カメラ持参の今回は、是非とも手中に収めねばならない。チャンスは不意に訪れる。
 架線とポールを明瞭に写すにはどうすれば良いだろう。
好徳で13元の毛巾を買って宿に戻り、身なりを整えてメインイベントに出発。

嘉定(孔庙,法华塔,登龙桥,老城,汇龙潭公园)

南京东路より2号線に乗り、江苏路で11号線に継ぐ。嘉定西か嘉定北か迷ったが、乗り鉄としてケツまで行こう。運賃は6元。09年に去ったときは計画線だった11号線は、上海市中より北西方向に伸び、嘉定新村で嘉定北と安亭(Anting)の二股に分かれる。江苏路で誤って安亭行きに乗ってしまい、分岐手前の駅で改めた。発着予告を示すデジタル掲示板を眺めながら、2方面が交互に7,8分間隔で来るということは頻度が落ちるな、と。この11号線上には上海西站という駅がある。2号線には虹桥火车站てのもあり、上海市内の国鉄駅が増えたことを窺わせる。
ここで昨日に続き、上海地下鉄の問題点Part2。乗換駅の移動経路の長さ・複雑さ。一駅分ありそうな距離。日本でならとっくに次の電車に乗ってる。また、接続駅なのに改札を一度出てからでないと乗り換えられない欠陥構造。嘗て宜山路の4号線がそうだった。後ほど、陕西南路の10号線でも嵌められることになる。ハードは結構計画的に張り巡らされた地下鉄も、運行の非効率性や接続における無計画さが利便性を欠いて、結局はあまり有効に働いていないことに運営者や交通政策学者は早急に気づくべきである。通勤に2時間以上もかけている朋友が可憐でならない。批判は以上。
ともかくも11号線が開通したことで、気軽に嘉定へアクセスできるようになったのは事実だ*1。嘉定北駅構内のバイクタクシー群を無視って公交停留所へ。小銭を作るために一区間分歩いて2本目の冰红茶を買い、3路のバスに乗る。歩き方の見当がつかないので、まず嘉定南门(客运中心)に向かってみる。迷走は省けるし、乗ったまま市中見物もできる。幸い南门の交差点にて簡略案内図を見つけ、孔庙への道筋を知る。途中、环城路のある橋にこんなレリーフが。
 开封の清明上河图にも似ているが、これは後ほど取り上げる州桥(登龙桥)のようである。
 孔庙。门票は法华塔とセットで20元。廟内は科挙をテーマとした博物館になっている。科挙の歴史、しくみとその変遷、状元となった偉人にまつわる功績や故事、科挙制度の周辺国への広まりなどが、廟内に配された古式建築に巧く分かれて展示されている。最近『蒼穹の昴』冒頭で観た厳しい科挙試験の有様を思い出す。一人ずつ隔離された試験場も再現されている。見学者がいない空間は消灯されるなど、非常に設備が宜し。じっくり見物して、閑静な院子で休息。これは上海の秘境である。
ちょうど昼になったが、孔庙付近に食どころはない。塔城路を渡って尚も南大街*2を北進すると、塔が見えてくる。
これが法华塔。そして、この辺りが嘉定古镇の中心地だ。ふた筋の水路を軸に、食べ物屋を主体とした賑やかな街となっている。何食おっかなぁと彷徨っていると、偶然"兰州拉面″を見つけた。开封の明伦街で見慣れたのと同じメニューが掛かっている。素早く烩面を探し出し注文。あぁ、この味を上海で食えるとは思わなかった。このトマトスープの烩面を、この3日間で口にできるなんて超感動だ。
さきほど空腹でスルーしてしまったが、塔の足元に登龙桥(または州桥)がある。塔とともに嘉定古镇の象徴である。ところがこの橋、水路に沿って建つ家屋に阻まれて、離れた角度からは今ひとつ絵にならない。けっきょく塔の上から撮った。

さて、塔に登ろう。高さ40.83m、7階層の方塔。これまで中国の仏塔を幾つか巡った経験から、最上階まで登れる塔は珍しい。2,3階で満足していたら、登れども登れども梯子穴がある。とうとう頂点まで登りつめてしまった。嘉定を越えて上海市区まで一望だ。明珠塔も屁じゃねぇぜ、と思ったが、さすがに見えなかった。狭いデッキでご夫婦と何度も鉢合わせては笑った*3。あんたも何か書き残してけと誘われたけども、私は文物を汚したくないので言葉を濁しておく。
古镇を縦横無尽に歩いて画像収集。水のある風景は明日の苏州(予定)のために幾分遠慮した。
これはホントは州桥で撮りたかったね。
 
最後に、汇龙潭公园。入園料5元以内なら入ろうと思ったら、ドンピシャだった。ホント上海の门票は安くて信頼できる。静かな公園ですることといったら、昼寝である。水辺の暖かな木陰のベンチに寛いで、撮れたての画像を眺めながらボウッとするだけ。松江の醉白池を思い出す。嗚呼、至福。40分ほどまどろんだ後、博乐路に出て11路のバスで嘉定西地铁站、と帰途に。

上海火车站

曹杨路で4号線に乗り換え火车站へ。だいぶ老朽化した3号線車両はブレーキ音が酷い。北口で改札を抜け、地下街を通って南广场に至る。この間、「一発逆転」と書かれたTシャツの農民工に遭遇し、心中笑ふ。さすがGW期間、大盛況の駅前広場。
 ついでに某家族の記念写真も撮ってあげる。
始発告示の巨大な電光掲示板を見やれば、頭文字Gの列車番号が非常に目だつ。また新たな種別ができたな。暫し考え、さては一度廃止したN(管内)を復活させたな、と。上海から比較的近い終着点ばかりだ。ところが售票楼に入ってみて、それは高速(Gaosu)であることが判明した。上海圏内移動を充実させる高速鉄道専用線が完成し、本数を大幅に増やしたものとみられる。Dは長距離、Gは近距離*4と棲み分けさせたか。これで当日でも手軽に苏州(Suzhou)切符が買えそう。惜しいことに結局この旅では一度も国鉄を利用せず、時刻表も買いそびれたが、実情と雰囲気を味わえたのは良かった。

10号線乗換失敗と流浪

まっすぐ帰れば人民广场で2号線に乗り換えるだけだが、せっかく南京东路に10号線が通ったのだから弱冠迂回してでも乗ってみようと。ところが1号線と10号線の接続駅、陕西南路は改札内で乗換のできない御粗末駅であった。この点、正規運賃3元で戯れを試みている者には殊に不利で、二度と改札を入りなおすことはできない。以前に明堂YH付近から公交で常熟路に流れ着いた経験があり、その逆で帰れるだろうと高をくくった。しかし、歩けども歩けども外滩方面の公交路線は見つからず。しだいに迫る空腹をこらえて、方角だけは間違えず交通手段を求めて彷徨う。大世界とかを過ぎて、見慣れた福州路に達したときには感動したね。所要約2時間の足労。青二才の10号線め。
そのまま山东中路に寄り、お決まりの店で回锅肉饭を食す*5

船长酒吧

嘉定は大成功だったけれど、今夜の話し相手はなく明日の予定も不確かで何となく寂しく、風呂上りに最上階の酒吧へ呑みにいった。ここは船长酒店専用バーではなく、外滩の夜景を一望できる観光名所として旅行者で賑わう。オープンテラスは既に混んでおり、ガラス越しに摩天楼のネオンを楽しみながら青岛啤酒を嗜む。っつか、メイド喫茶みたいな格好の可愛い給仕さんのほうが惹かれた。日本人女性グループの入店に多少戸惑われておったので、通訳にでもシャシャリでようと思いつつ已めた。そうしてウェットに300ccを2瓶飲んで、頃合だろうと100元崩すつもりで渡したら20元しか返ってこなかった。とんだ散財だったが、たまには贅沢だと思って涙を呑んだ。
つづく

*1:9号線の松江のように。

*2:孔庙沿いには面白い像が幾つか置かれている。一つ印象的なのは、パソコン画面に夢中な少女を、状元らしき爺さんが背後に立って覗き込んでいるシーン。100年くらいの時間を越えて何かを告げに来ているようだ。塔城路との交差点角にある。

*3:初遭遇ではお互いに滑落しそうなくらい吃驚した。

*4:北京圏でいうC(城际动车组)のような。もしかするとCもGに再編されたかな?

*5:广东路口にも兰州拉面があって炸酱面とかそそられたがな。