南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

中国高速鉄道転落事故

連日事故記事で恐縮です。
早くもやっちゃったね。懸念が現実化してしまったようだ。でも乱暴な言い方をすれば、懸念や不安があるなら何十人も死傷者を出すことはない。乗ってるってことはそれだけ信頼があるってことだろ。初めからボイコットして乗車率を下げておけば、経営者も考えるしこんな大惨事にならない。なんて道理は通じないか。
事故現場の画像を見て、尼崎の脱線事故を思い出した。事故から一週間ほど経た頃JRを利用したら、心なしか先頭車両が極端に空いていた。今回も転落した車両と同じ号車を避けさせるようなデマが出回るかもしれない。ともかく、事故を起こしてもあんまり体質を変えようとしないJR西日本東京電力を抱える先進国を見習いながら発展する隣人のことだ。結局開き直っちゃって、原因究明も安全対策も進まないかもしれない。
ひとつ前々から気になっていた点がある。今回事故を起こしたのは、先月開業した専用線を走る高速鉄道(頭文字G)ではなくて、従来の在来線共用型高速鉄道(同D)だろう。これまでの利用経験から思うに、中国鉄路の鉄道高架橋には十分な防護柵がない。たしかに郊外の田園地帯では防音壁は不要だ。けれども時速100キロ前後の快速や普快ならともかく、各車両に動力がついて一応最高250キロ出せるようなのが走るには粗末ではないか。ただ線路を共用できるから走らせる、ではなくて、高速化のためにハードを補強しておかねばならない。今回は信号システムの問題が指摘されているようだが、急ピッチで進められた事業の綻びは至るところにあると思われる。
「中国が自分で解決するしかないでしょう」と結構無責任で高みの見物みたいな見解を述べられるほど、我々は自国の大企業の暴走を制御できてない。まぁ似たような問題と対局して悪戦苦闘する同志ですから、せめてお互い悪いところを真似せんでくださいよ。
記名式切符は嫌だけど、引き続き高速鉄道も支持するし利用も事故を受けて敢えて避けようとは思わないので、今後とも宜しく。
7月26日追記
転落事故を受けて時刻表(2009年版)を眺めていて気が付いた。宁波から台州を経由し温州を通って福州に至るルートは、事実上Dしか運行されていない! 今までDは在来線と線路共用だと思っていたが、今回の事故現場はD専用線だった!*1 勘違いを訂正し陳謝。
この線は沿岸部の主要都市を結ぶように敷かれ、かなり新しい。留学中に買った地図では計画線すら載ってない。Kなどのローカル列車は内陸の幹線から伸びる支線を伝って沿岸部に達しており、この新線によってネットワークは格段に向上したものと思われる。ローカル列車に気兼ねなく組めるダイヤは速さを追求でき、さらに利便性が良くなる。たとえ大惨事が起きても、二度とローカルで回り道なんかしたくないだろう。だから原因究明もそこそこに営業を再開してあげる。もう住民にとって手放せない交通になりかけている気がする。このルートは、先月開業した京沪线なんかよりもずっと、高速鉄道事業を推進する上で模範となりそうな(住民の需要でうまく操れそうな)巧妙さを感じる。だからこそ車両も信用も、落としてはいけない。地上では飽きたらず更に地中にまで落とすとは余程信用を損ないたいらしい。菅さんが真似するからやめてくれよ。

*1:ってことは台州にはTやKは発着しないのか...