南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

郑州地铁郑州站という違和感

郑州地铁の路線計画図を見ていると、開通間近の1号線の郑州火车站のところに「郑州」站が設けられている。日本では、東京メトロや大阪市営地下鉄、名古屋市営地下鉄のネットワーク上にそれぞれ「東京」「大阪」「名古屋」があって、これはJRや広域私鉄の各都市の表玄関駅を意味する。けれどネットワーク上に都市名がポンとのるのは変だ、そこは「東京駅」駅であるべきだ、と思われるかもしれない。「新宿」も「渋谷」も東京なのに、「栄」も「伏見」も名古屋なのに、「東京」や「名古屋」だけが東京や名古屋のような錯覚に陥りがちでもある。我々日本の都会人はそういうのに既に慣れている。ところが中国では、たとえば上海には「上海火车站」地铁站という形式があり、日本で「駅」駅と重なってしまう問題を難なくクリアできる。だから敢えて「郑州火车站」でなく「郑州」とした点に日本式らしいと親近感を持ちつつ違和感を覚えた。
しかし書きながら、これは地下鉄と他交通の交差の捉え方なのかなと思う。交通の集合体、ターミナル名としての「郑州」を採用すると地下鉄もターミナル(の中)に乗り入れていることを表す。火车站や长途汽车站(中心站・二马路站)、公交站とともにターミナルの一員を担っている感じがする。一方、「郑州火车站」とすれば地下鉄は独立した一交通機関として火车站を通っていますよ、という意味になる。地下鉄のネットワークを主体とする考え方だ。火车站をピックアップされると地下鉄の利用者には分かりやすいが、火车站を中心とした一体感は失われる。無秩序に交通網がつくられていく感のある上海に対し、新旧多様なシステムをまとめた総合駅という考え方は結構斬新なんじゃないか。
あぁ、でもその場合名古屋市地下鉄名城線の金山駅は「金山総合」であるべきだよな。岩倉総合高校みたいに(違うヨ)。余談。
改めて百度百科で検索してみると、郑州站となっているのはこの図だけで、ほかは「郑州火车站」だ。やはり後者が有力なのかな。上海は上海南や上海虹桥との兼ね合いで、上海站1人を「ターミナル上海」とするのは難しいかもしれない。しかし高速鉄道の郑州东ぐらいしかライバルのない郑州なら、「ターミナル郑州」を名乗っても良いのでは? (ちなみに自作架空鉄道KaifengLRTは、路線網(ネットワーク)を重視したいのと、現時点で火车站と中心汽车站は近接しているものの、高速鉄道开封北站や郑开城际轨道交通开封站など対外窓口が分散する傾向にある観点から、中国式に「火车站」を採用している)
留学中身近な大都市として交通研究と称し幾度も訪れ、电车などを乗り遊んだ馴染み深い郑州。地下鉄建設も初期から注目してきただけに色々と期待を込めたくなる次第。

追記 郑州地铁一号线20个站点定芳名(郑州轨道新闻中心)(郑州日报より転載)
駅名は1年前に決定していたようです。残念ながら注目の「郑州」は「郑州火车站」で裏切られていますが、高速鉄道接続駅のほうは「郑州东」站となっており一抹の希望が残ります。