南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

上海plu苏(Su)企画<1>相逢的一天

はじめに

昨年9月から続く反日ムードの名残を警戒し、また社員昇格2ヶ月の身を鑑み、当初予定していた福建厦门旅行を延期。新年挨拶に唯一返事をくれた中国朋友が「いつ会えるかな」などと思わせぶりな一言を寄せたので、久々にゆっくり話す時間を作ろうと思ったのが今回の趣旨。計画を進めるにつれ、大気汚染、鳥インフルエンザ、四川地震と次々に不安要因が噴出したが、連休を確保できるのはこの時期しかないと割り切り、また貴重な中国行きの機会を満足させるためには鶏食なども不可避だと思った。朋友は中国祝日の5月1日前後を望んだが、自分の仕事上5日(日)を含むこの日程しか選べない。4日間という海外旅行最短の日程を最大限確保すべく、今回のフライトは時間重視でANA便を選んだ。海外渡航で日本の航空会社を利用するのは初。宿はいつもどおりYH利用。やや苦労*1して、南京东路地铁站から徒歩1分という明堂上海南京路青年旅舍に初めて寝床を確保した。予約の確実性に一抹の不安はあり。
さて4日間の構成について。初日と帰国日は省略。二日目の5日(日)は朋友とデート。行楽先などは特に決めず、相手にお任せ。もともと人の集まる場所で遊びまわるタイプではないので、閑静なスポットでゆっくり過ごせればOK。一日まるっと預けるくらい大きな心でないと一昨年のように感情を乱してしまう。この目的だけで帰ってしまっても十分航空代6万円の価値はあると思うが、折角の休日なので6日(月)をおまけ。ここには我が趣味を注ぎ込む。予てより乗りたかった高铁(高速铁路、G)を利用して苏州(Suzhou)へ行くのだ。苏州は世界遺産に登録された有名な庭園と市内を走る水路の景観が美しいといわれる、上海から程近い観光都市だ。上海圏に発達した高铁を使えば片道30分程度と十分日帰り可能。さらに苏州市内に近年開通した地下鉄も試乗できるし、観光と鉄道趣味の両方を満喫できる絶好のスポット。代表的クリーク平江路散策と地下鉄乗車を軸に導線を組んでおく。

日本出国

この休暇のために前月から頑張りすぎたせいか、今週から目の疲労に悩まされた。旅行の前日に漸く風邪の一種ではないかと気づいた。体調不安を抱えての出発。
8時半にセントレアへ着けるミュースカイを利用。金山駅の乗継時間は6分。ミューチケットを求めて窓口に並んでいると、ふと脇の券売機に気づき移動。これが僅か2,3分後に乗る列車の選択操作が煩わしい。やっと現金で切符を買い、思った。これって、マナカでも買えたよな?
チェックインの後は、朋友へのお土産セレクト。今回はご家族用もこめて、岐阜特産「濃姫」イチゴを使用した焼き菓子「信長の赤」を購入。自分用にも買って帰りたいくらい悦に入る発見。
搭乗ゲートに休んでいると、不意にだるけが襲ってくる。できるだけ余裕を持って行動するため日本で可能なことは済ませておこう、と今回初めて日本で人民元を入手した。提示レートは手数料込みで1元=17.54円。先日勤務先の中国人から相場を聞いていたが、マジで16~17だとは思わなかった。こんな数値は初めてだ。予算15,000円が1000元に満たないなんて! 結局786円補足して900元分購入。昨年の开封帰郷旅行の残金177.20元と合わせて、何とか千元超に。
こんな身体でもフライトは慣れたもので、離陸時も航行中も著しい不快感はなかった。昼食のカラフル蕎麦と抹茶プリンは美味かった。時勢を反映してか、搭乗率は過半数にも満たない感じ。

上海入り

微熱を帯びた身でも入国審査は難なく通過したが、地下鉄乗り場でいきなり身分証を検められた。券売機はだいぶ傷んだ紙幣でも許容し、進歩しているようだ。路線図は去年とさして変わらない。強いて言うなら、13号线が消えた。もしや、埋めたのか?
14時前、南京东路に着く。トイレを探して暫く周辺をうろうろ。3番出口階段途中から入れる、宏伊国际广场B1Fの味千拉面が消えた! 長年上海の動かぬ目印としてきたのに。新たに和食系の飲食店が入居していた。此度のYHは1番出口から山西南路を北に1ブロック、天津路に面している。早速チェックインして荷を置き、改めて繰り出そうと意気込みフロントへ歩み寄るも、受付三嬢「まだ登記はしない」と一蹴。なるほど、宿泊客が大きなスーツケースを転がし出ていくところを見ると、まだ退房が完了してないらしい。しかし、Web情報ではCheck in/outともに12時となっていた筈だがな。まぁ常識的には15時からとも思えるので、体力的には辛いけども散策で待ってみる。
南京路とその裏通りを闊歩。裏に入って独特の生活臭が鼻をついたとき、やっと実感が湧いた。FamilyMartで冰红茶を買うと少し元気が出てきた。中国のコンビニもレシートを呉れるようになったね。因みに冰红茶はこの4日間で3本飲んだ。なかなかコイツを越えるチャイナ飲料を見つけられない。
そうして1時間後に戻ってみるも、受付を始める気配はない。これは泊まれない場合もあり得ると考え、過去に宿泊経験のあるHostelの混み具合を見に行こう、と再び外へ。

唐氏との出会い、品茶

Hiker*2を覗き、Captain*3目指して江西中路を南進する途中、汉口路?との交差点で男性に豫园への道を聞かれた。一昨年訪れた経験から、この道まっすぐ行っても着けるが、さすがに歩いて10分じゃ無理だろうと答える。すると、現地人か?と聞くので、いや日本人だと応じるとビックリされた。Captainなんかどうでもよくなって、そのまま道案内がてら話しながら豫园方面へ歩く。名を唐さんといい、天津の方。歳は40代後半くらいだが、中国人男性としては凄い垢抜けてさっぱりした服装で、寧ろ彼のほうが日本人と見まがうほどだ。仕事や生活から日中文化の違いまで他愛ないことをしゃべりながら、豫园商城へ入城。おかげで語感がずいぶん回復した。この会話の中で一番印象に残ったのが、中国人は河南出身者を忌み嫌い、私が河南へ留学していたと聞くや懐疑と非難の目を向けると語ると、そんなの初めて聞いた、とさも驚いたように言ったことだ。日本でも中国でも私が出会った若い世代では、この河南嫌いの偏見は顕著だった。それをあっさり「初耳」と断じ、どこにも貧しい地域はあり河南だけが悪いということはないと述べた。世代によって考え方が異なるのかもしれない。誤解を少し改めようと思った。あと、唐氏は独身でかなり女遊び好きらしい。全国各地で格安*4で遊べるところを探しては興じているようだ。私にも今夜どうかと頻りに誘ってくれたが、この旅の目的ではないし初日から羽目をはずすほど体調もよくないので丁重にお断り。入り口まで案内するも、唐さん結局豫园に興味はなく、また徒然に歩きながら交流。
南京东路近くまで戻ってきたころ、この辺に福建出身者が営んでいる有名な茶葉専門店があるらしいんだけど寄ってみないか、という。表通り(河南中路)に面した一軒の茶葉専門店。夥しい数の茶葉と茶器が並んでいる。試飲してみよう、ということで福建プロの淹れる绿茶や乌龙茶、铁观音の新茶などを次々に味わった。趣きある茶器で、湯をふんだんに使いながらじっくりと淹れていく手さばきを観賞。湯飲み茶碗に注がれた茶を、ひとつひとつ香りから吟味し堪能する。こんな癒される時間はほかにない。これは仕事疲れをこぼした俺に対する唐氏の配慮なんだろうか。最後に各々の予算に合わせた茶葉を土産に買う。初日から土産を確保するなんて、どれだけ先手打ちなんだ。試飲料は25元。一瞬有料かよと思ったが、最上の休息を思えばただ同然。
1番出口付近での別れ際、唐さんは小さな緑色の玉石を記念にくれた。私は懐中に適当なものを探し、財布に入っていたTELカードを渡した。硬い握手をして閉幕。2時間余のかけがえない道連れ、本当にありがとう。これで最後かと思いきや、5日夕刻同じ場所ですれ違い挨拶を交わした。不思議な縁だ。

投宿と晩飯

中国語に自信を取り戻し機嫌よく乗り込むと、今度はすんなり処理してくれた。先ほどは不本意な歓待を受けた当Hostelだが、全体的評価はかなり高い。一泊55元と安いわりに、装備は新しくキレイで、Hikerによく似た雰囲気。各階に静かなラウンジがあって寛げるし、個室のバストイレが幾つもあるのは斬新で便利だと思った。歩道に設けられたオープンカフェは朝から晩まで人々の憩う姿が見られる。Booking.comで遅くまで売れ残ってるから不評なところかと思ってきたけど、なかなかどうして良いHostelじゃないか。一つ難点を言えば、階段や通路の照明がやや暗い。5日昼間に一度帰った際、階段でつまづいた。白昼の明度と差が大きい。

服務員にチェックイン待ちの時間を課されなければ、唐さんとの遭遇や楽しいひとときもなかっただろうし、無駄だと思った時間がこんな形で満たされるなんて、偶然と運命って分からんもんだな。と、感慨に浸りながら夕食まで少し休憩。
初日の晩飯。たとい鳥インフルが猛威を奮っても食べて帰りたい大好物料理、宮保鸡丁。今回初めて店名をチェック。亲亲餐厅。地铁南京东路站3番出口より南下、福州路を渡って暫く行ったファミマの真向かいにある。普通の飯屋だから普通に食べれる。
落花生と鶏肉のほかはネギぐらいしか入ってない、シンプルな宮保鸡丁饭。あんかけよりは汁タイプだったと思う。感激しながら勢いよく頬張った。今夜は客入りが悪いらしく、阿姨は少し不機嫌。12元は値上がった感あり。ごちそうさま。
ラウンジで液晶スクリーンの抗日ドラマを暫し鑑賞し、シャワーを浴びて22時頃には就寝。深夜の出入りと暑さでやや寝苦しい。
つづく

*1:2013年4月23日記事参照

*2:明堂上海旅行者青年旅舍。2008-09年に計3回利用

*3:上海福州路船长青年旅舍。2011-12年に計2回利用

*4:100~200元くらいという