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南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

樽見鉄道の旅

日帰り鉄路遊び集

今年やっと得られた終日の正月休みは平日で、青春18きっぷ以外に使えるフリーきっぷがない。前日まで悩んだ挙げ句、昨夏避暑用に企画した樽見鉄道プランを、電子レンジでチンするように温めなおして採用した。通年販売されている「うすずみ温泉入浴券付き一日乗車券(2200円)」を利用、起点大垣までのアクセス費が痛いが18きっぷを金券ショップに求めるまでもない。

樽見鉄道

JR大垣駅5番ホームに併設された樽見鉄道大垣駅。駅務室で切符を求めると、簡素な紙の一日乗車券と時刻表をくれる。今日最初の列車はこちら。
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本巣市糸貫の名産富有柿と、北方町の伝統芸能?真桑文楽が描かれる。後者はよく知らない。

樽見鉄道の列車は広告などのラッピングが多く、楽しませてくれる。
ローカル線の割に若い世代が結構乗ってるな、と感心していると、ほぼ全員一気にモレラ岐阜で降りていった。まぁ寂しいというか、鉄道存続に貢献しているというか。
運転士や駅員も私ぐらいの若手が多く親切で好感持てる。アナウンスの駅名は聞き取りづらい。

船来山と富有柿の里

糸貫または本巣のいずれからも2kmぐらいのところにある。当初糸貫下車だったが、道の分かりやすさから往復本巣に変更。のどかな集落を抜ける旧街道状の道を20分余歩けば、国道157号沿いに聳える船来山の麓に道の駅、富有柿センターと資料館「古墳と柿の館」がある。ところが道の駅はさほど立派な施設でなく、資料館も開館日ながら入口備え付けの内線電話で職員を呼び開閉してもらう仕組み。こんな平日に終日開館しても電気代や人件費が嵩む点からの措置だろう。お手数かけるまでもないので、のんびり船来山に登った。この山には古代の地方豪族が多数墳墓を築き、古墳群を形成している。西部には比較的大きな前方後円墳がある。また、平安期には美濃船来山や鶴が飛来する地と知られた糸貫川は多くの歌人に詠まれ、遊歩道沿いに歌碑が点在する。

山頂とおぼしき春稲神社奥院からは南側への眺望が良かった。
道の駅の土産物店で富有柿の干し柿を探したが、理想なのが見つからない。羊羮や餅菓子も惹かれないので、バラ売りされているB品(規格外)のパック入り富有柿を5個買った。割れたのや柔らかいのに混じる良品を厳選したつもり。詰め放題1200円はさすがに多すぎる。
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これは自分用。柿というよりオレンジ味だった。

根尾谷断層

本巣の次の織部にはしっかりした道の駅が整備され、食事できそう。ホームには散策コースの案内板もあり、途中下車はこっちの方が良かったかな。谷汲口では華厳寺行きバスの案内が丁寧になされる。鍋原には温泉水の湧水があり、樽鉄存続に貢献する鉄道利用者には無料で提供するらしい。駅名に似合わず日陰の日当駅。
本巣までは雪の気配なんて微塵も感じられなかったのに、谷汲口を過ぎると畑の隅に残雪がちらほら。そして、幾つかトンネルを抜けるうちに車窓は白くなり、降り立った水鳥駅前は、
すんげえ、雪!!!
辺り一面2~30センチは積もり駅前と道路は最低限だけ除雪され、断層観察館は雪降ろしの真っ最中。とりあえず同館に隣接する喫茶「マグニチュード8.0」で昼飯。地元のおばちゃん3人が集い営む店にフラリと舞い込んでしまい普段食事メニューの準備もしてないようだったが、厚かましくも「味噌かつ定食」を頼むと丁寧に用意してくれた。赤だしの味噌汁やら小皿のサラダやら手作りで美味しかった。とくに数の子は今年のおせちに食べなかったので印象に残った。生活には軽トラが重宝するとか、息子のこと、喫茶店経営のこと、終始地元話を聞かせてもらった。同店は数少ない口コミながら暖かいもてなしが好評だと前日に確認している。
樽鉄沿線きっての見所、地震断層観察館。濃尾地震で現れた上下約6mもの地層のズレ(根尾谷断層)を、輪切り状に掘削して屋内保存している。

先ほど駅から歩いてきた際、道路が緩やかに下り、妙な土手だなぁと思ったのが正に断層だったのだ。雪に埋もれたせいもあって非常に解りづらい。

僅かに覗く崩落防止の石垣がその証し。やはり落差を体感するには展示のほうが良い。資料館には、濃尾地震被災状況や復興の過程に関する写真、体験者の話、地震観測法などが紹介される。体験館は休止中だが、入口で襲われる凄まじい地鳴りと、地殻変動の威力を断層で突きつけられたら十分である。

うすずみ温泉

終点樽見駅の先に聳える高峰は、青白く冠雪している。些か暑めの列車を降り立つと、堪らず待機中の温泉行きバスに乗り込む。乗客2人でも雪道をきっちり運行し、降り際には「次が最終です」と声かけてくれる。
うすずみ温泉四季彩館。旅館や道の駅も併設する日帰り入浴施設で、思ったより利用者がいる。温泉は非常に良かった。浸かりやすい深さ、熱さ。床面がやや滑りやすくスライディングを楽しんでしまいそう。淡墨桜をイメージした、桜花の形の浴槽にピンクの湯。雪化粧した山々を望み、苑内にも積雪ある露天風呂なんて初めてじゃないだろうか。桶ぶろで暖まってから温めの岩風呂にゆったり浸かっていると、時を忘れてしまいそう。

おわりに

粉雪舞う帰り道。今回最後の列車は正統な樽鉄カラー。ヘッドマークがカッコいい。

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走行中シカと交錯しそうになり、すぐ脇を山奥へ駆け上がる姿に遭遇。注意して見ると、人が踏み入らないような山中の雪面に獣の足跡が幾筋もついている。他の季節なら気にも留めない野山の地面も、冬だからこそ面白い。
谷汲口駅構内に客車が1両展示してある。この駅までなら再度企画しても良い。雪のない別世界の平野部に戻り、イオンモールの華やかな大垣駅へ着く頃には座席がびっしり埋まっているという、ローカル鉄道の一言では片付かない不思議な樽見鉄道。久々に完璧タイムテーブルどおりで結構のんびり楽しめ、正月休みを満喫。