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南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

天津爆発は中国版9.11だ

2001年の米同時多発テロでは、世界貿易センターの老朽化やアスベスト問題が出ていて、撤去手段のひとつとして航空機衝突によるテロに見せかけた爆破だったという説がある。これを中国天津の事件に当てはめて考えると、沿岸部で有害物資を大量に保管する施設というのは、日本の原発と同様有事の際標的にされる。また、普段から有害物資を含む排水による海洋汚染を指摘されやすく、すでに大気汚染など環境悪化問題が露呈している中国にとっては、内陸部ならいざ知らず沿岸部の傷は外面上除去するか隠しておきたい存在だった。しかし、倉庫のある一帯は海浜新区という天津市政府すら行政力の及ばない独立区状態で、企業と政府幹部との癒着があった。「トラもハエも一挙に叩く」と宣言した習近平政権は、そのメンツにかけて環境汚染と官僚汚職をまとめて叩くことにした。爆発事故に見せかけて海外との門戸に巣くう腫瘍を破壊し、経済開発区のベールを被る官民癒着の独立帝国を暴いた。事件の跡地は緑地公園にするというから、環境意識は間違いない。
ブッシュ大統領は9.11を口実にイスラムとの終わりなき聖戦を開始したが、習主席もこの陰謀を機に長大な戦いを始めるつもりだ。汚職を暴くということは、改革開放以来加速する歪んだ資本主義の独走構造の打破につながる。国有企業や政府とコネのある外資だけが儲かり、低所得者との格差を広げていく従来のシステムでは全土が豊かにはならない。富の正しい分配をしなければ、成長率が頭打ちになり貧富の差に不満が爆発すれば制御できなくなり、共産党政権そのものが危うくなる。端から見ると、開放後の目覚ましい急成長の立役者を貶めるようにも見えるが、この国の最終目標が高度な社会主義国家の完成だと考えれば、一定の経済水準向上を達成したら次の段階に進む筈だ。
官財癒着に対する民衆蜂起は、2012年の大規模な反日デモで表出したと思う。あれは単に日本製品や文化、日本政府の対外政策への反発ではない。そういう日本などの外資企業を厚遇して甘い汁を吸う政府役人たちに向けられている。それが資本主義導入の恩恵の享受と言えるのか、と。これまでデモは武警を動員して抑え込んだり見て見ぬふりしたりして根本的な解決を怠ってきたが、漸く国民の不満を払拭する行動に踏み切ったことは評価したい。
しかし、有害物資が流出する危険性を孕んでまで爆破するなんて無謀だね。本土をオモチャにしながら海洋の島嶼領有に躍起になるところは中国も日本も同じだな。日本が原発事故処理や再稼働問題で国土に優しい決断を下していたら、もう少しアジアの手本を示せただろうにな。