南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

おつかれさまで“すわ”の旅 2

「すわ湖」の朝

6時には目覚め、朝風呂しようかと思い始める頃と相まって露天風呂の利用者が殺到し始め、いつ覗いても使用中。いっそ雨戸の隙間から盗み見てやろうかと邪心を抱きつつ、まずは内湯で洗顔。なに、朝食の7時半までには十分余裕がある。

すわ湖の露天風呂

和傘でうまく障壁をつくった露天風呂(家族風呂)は微風が顔に当たって心地よかった。湯船の縁から底にかけて軽い傾斜になっており、リクライニングみたいに背中がフィットして浸かりやすい。これはスーパー銭湯でも体験したことのない画期的な造りだと感心した。チェックアウト前にもう一度名残惜しんだ。
居間の休憩コーナーや食堂など館内随所には、旧式のブラウン管テレビやジュークボックスといった懐かしい機器が置かれている。なかでもフロントにあった黒電話が突然鳴り出したときは、自宅で現在なお使用中のものと全く同一だったので、思わず「出なきゃ」という焦燥に駆られた。結局マスターも完全スルーで切れ、もしかすると時報に使ってるのかもな。

 
宿の風景

朝食も納豆こそなかったものの小皿のおかずが豊富で、やはり白飯を2杯食べて釜を空にしてしまう。とくに久々の味付け海苔に感動したのと、小魚の甘露煮が最高だった。昨晩は気付かなかったが、カメラ愛好家が多く泊まっていたらしく色々交流していた。夜の外出を話していたということは、最近秘かに話題になっているオリオン座流星群でも撮りに来たんだろうか。
9時過ぎ、宿代を納め「下仁田館」同様の領収書を頂いてチェックアウト。マスター、「何かと行き届かなくて申しわけない」とおっしゃられたが、見た限りほとんど一人で切り盛りしている状況ではハイレベルなもてなしだと思う。フロントの赤絨毯に平伏して見送られた。

民宿すわ湖外観

かりんちゃんバス停前なのもポイント。この民宿の建物、表の外観が明治や大正期の洋風建築みたいな趣がある。奥の客室が木造の日本式家屋の造りなので、和洋融合を想起させる。隣家の柿の木がたくさん実をつけている。

間欠泉センター

センター前に諏訪市の特産かりんの木があって実が鈴なり。明後日25日はかりん祭りだそうで、館内や駅など市内各所にかりんの実が置かれ香りを楽しめる。折角だからかりんを使った土産にしようと考えたが、地元でも売ってる「かりんのど飴」しか見当たらなかったので、来年の諏訪大社御柱祭をパッケージにしたお菓子とバラ売りのかりん果実を1個買う。実は生では食べられずジャムなどに加工すると良いという。表面は桃のように細かい毛で覆われているが、数多の手で撫でられたかりんはツルツル。
入館した途端、ちょうど9時半の間欠泉が見られます、とのアナウンスを頂き館外へ急ぐ。一発目は高さが十分でなかったので、数分後に調整して吹き上げてもらった。自然現象も今は人工で操作されるのらしい。間欠泉を利用した温泉たまごも食べられる。

間欠泉

センター2階は映画ロケ関連の展示がある。ほとんどが大自然豊かな?蓼科高原だが、『テルマエ・ロマエ2』では諏訪市内の銭湯が使われている。

帰り道

丸一日で諏訪の町を結構歩きこなしたと思っても、駅へのアクセスはどうも感覚が鈍る。最後も少し慌てさせられた。
久しぶりに乗った振り子式の特急電車は心地よく転寝させてくれた。たった二駅分の乗車区間が物足りなく感じた。
最寄駅に着いたとき、たった1日半の旅がまるで3日間くらい行っていたような錯覚に陥るほど、のんびりリラックスできた。旅費1万5千円程度なので、今回はアクセス難から敬遠した諏訪大社上社や原田泰治美術館など目当てに「すわ湖」リピートしてもいいな。

おわり