南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

新春志摩たび 1

転職先の始業日までに約1週間の正月休みが発生したので、1泊旅行を思い立った。既にどこの宿も年始は予約で埋まっており、また初詣企画切符を有効活用するため行き先は自ずと限られてくる。近鉄の「伊勢神宮初詣割引きっぷ」(名古屋発2300円)に狙いを定める。この企画きっぷ、2014年正月の伊勢斎宮&遷宮記念参りの旅で利用した「ご遷宮記念 伊勢神宮参拝きっぷ」の三重交通バス割愛バージョンである。バス乗車券がない分、1000円近く割安となった。伊勢に限らず、ここ数年来の新春企画は西方が多いことに気づく。今回は松阪~賢島のフリー区間のうち、主に鳥羽より先の近鉄志摩線沿線を発掘しようというのが本来の目的。また、伊勢のホテルや鳥羽観光では母のお薦めを取り入れて楽しむ。
ところが前夜に友人とのカラオケ新年会で泥酔し、当日あっさり寝過ごした。二日酔いでさらに出発は遅れ、午前の予定を含め大幅に縮小・改編することとなった。しかし終わってみれば、参拝予定でなかった伊勢神宮を外宮・内宮ともに詣で、伊勢・鳥羽・志摩の3市をバランスよく歩いた形となる。初日のすぐれぬ体調と1日半という縮んだ日程が逆に旅を整える結果に。

伊勢路

二日酔いによる軽い吐き気と胃腸不良を抱えながら、昼近くに出発。鳥羽市内で海鮮料理を食べる計画は翌日へ変更。12時発の松阪行き急行に乗り込んで、近鉄旅は始まる。発車時刻が分からず飲み物を買いそびれた。今朝5時就寝のため、車中はほとんど寝ていく。フリー区間きっぷに日付を入れるため、松阪で乗換ついでに一旦改札を出入り。松阪からの普通電車は、最後部に近鉄社員が屯している。何かの研修だろうか。そして、明星駅で車両を交換。異音も異臭もとくに感じられず事情不明。折角乗りなじみのない志摩線*1へ入ったのに、電車疲れと吐き気はピークに。でも池の浦で海が見えたときは、ちょっと感動。

伊雑宮(いざわのみや)

伊勢神宮内宮の別宮の一つ。同じく2007年に大紀町に浸る旅で参拝した滝原宮もその一つ。田園の無人駅上之郷で降り、外の空気を吸ってしばらく歩くと不快感はウソのように治まる。


正宮と違って非常に静寂の境内ではあったが、呆気なく参拝は終わってしまう。神社の周りには剣道場や老舗旅館がある。近くの民家軒先に、伊雑宮や志摩の特産などを展示しているところがある。そこに同家で精製したという「伊雑ノ浦 御塩」を参拝者のお土産用に置いている。志を供え一つ頂くとともに、せっかくなので伊雑ノ浦を見に行くか、と思った。

伊雑ノ浦(いぞうのうら)

牡蠣などで知られる的矢湾から少し内陸へ入り組んだ部分で、2駅先の穴川で最も接近できる。ちょうど対岸はテーマパークのスペイン村だ。駅から歩いて5分ほどで岸に出る。



雲が水面に映るほど、空気が穏やかで澄んでいる。我ながら絶景が撮れたとご満悦。二日酔い押して来た甲斐があった。
 これが塩田かと思ったが、実はうなぎの養殖場
浜辺のキャンプ場脇の土手に錆びたレールが残っているのを発見。辿ってゆくと徐々に痕跡はハッキリし、架線柱まで現れた。

そして現在の志摩線へ合流。何かの引き込み線かと思ったが、あとで調べると志摩線の旧線だそうである。現在はサイクリングロードなどとして整備されている。廃線を追っているうちに軽く迷子になってしまい、穴川駅へ戻るのに一苦労。

夜の伊勢神宮外宮

二日酔いが治ると同時に猛烈な空腹が襲ってきた。お参りを前にまずは腹ごしらえ。

伊勢うどんの特徴である濃いめのタレも、箸をつける前は全然見えない。この店は新鮮な魚介も食べられるが、今夜は消化の悪いものは控えておく。純粋に空腹で食事できるだけ幸せだ。
12月29日~1月5日までは、伊勢神宮内宮・外宮とも終日参拝できる。夕暮れ時こそ混雑を避けられ、清らかな気持ちで詣でることができる。*2

闇夜に浮かぶ外宮本殿もまた、厳かさが際立つ。神楽殿にて、近鉄企画きっぷの特典である初詣記念品「初幸の戌」を受領する。真っ白な犬の置物。
19時半のチェックインまで存分時間があるので、このまま五十鈴川駅へ移動して内宮へも足延ばそうとさえ思ったが、体調に無理させないこととする。伊勢市駅周辺をブラブラしてホテルに向かう。
 風情ある駅前商店街。

ホテル キャッスルイン伊勢

ここは母お薦めのホテル。駅からやや離れているが、素泊まりでも最上階の展望大浴場を利用できるのがポイント。年末年始でも案外空室があって、直近の予約も容易かった。伊勢市駅近鉄側)から二見街道などを伝って約15分。途中、夜食用に「ぎゅーとら」でおにぎりとゆで卵を買う。この夜食、チェックイン直後の入浴ですぐさま空腹を覚え、平らげてしまう。胃腸が癒えてきている証しでもある。
12階の大浴場は確かに気持ちよかった。強い香りのする薬湯?に浸かり、就寝前の入浴では露天風呂も堪能。神宮方面の夜景が綺麗だ。温泉気分で浴衣をまとい、暖かい館内を移動する。室内では暖房をフル稼働し、Wi-Fiを使いまくり、テレビ*3では300円も投じて成人チャンネルを観賞。普段の自室や旅館ではやれない、ビジネスホテルならではの解放感を満喫。明日こそは朝早くから活動したいので、23時過ぎには消灯。

つづく

*1:一人旅に限定すると関・松阪散策&愛と涙の道版(鳥羽~志摩磯部)以来かな?

*2:後で聞いた話によると、安倍首相がこの日参拝したらしい。影響は感じられなかった

*3:世界の亀山モデル!!