南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

北勢チャリン行 1

日ごろの運動不足による腹まわり肥大の解消、交通費節約、夏に控える中国旅行に向けて体力と精神力の鍛錬および旅行費用捻出、といった理由から自転車旅を企画した。昨秋新車を購入する頃から既に構想はあり、渥美半島三河湾岸を走る4、5日程度のプランを立てたこともある。今回はもともと、中山道関ケ原越えと湖北地方を走る二泊三日プランだったのが、日程決断の遅れにより長浜太閤温泉の確保が間に合わず、急きょ三重県方面へシフトしたものだ。昨年正月に泊まったキャッスルインがちょっと気に入っていて、一日の走行距離を考慮して鈴鹿をチョイス。ふだん電車で気軽に行けるがゆえにあまり訪れる機会のない、桑名から津までのエリアをチャリのスピードで眺めてきたい。

日取りは平成と令和をまたぐ3日間。片道それぞれ一日ずつ(最短約60km)、中日は津市に足を伸ばし市内を軽く巡ったあと、安濃鉄道廃線跡を辿ってホテルに戻る計画(これも概ね60km)だった。しかし、当日付近の天候が思わしくなく、何日も前から津市の週間予報を四六時中チェックしながら時間単位で見極めた結果、往復日は曇天・俄雨程度でなんとか走れそうだが、中日はほぼ確実に雨天となる見込みに。やむなく中日は、ホテル最寄りの玉垣駅より伊勢鉄道で津市に出て、市内観光を代替案とする。

愛知快走

朝9時ちょうど出発。1時間で甚目寺観音の小休止、道中安全を祈念。ここまでは道順を決めず、方向感を頼りに走る。その先は地図アプリにGPSを起動させ、より最短で辿りやすいルートを選びながら走る。大治から佐屋にかけては県道ですらない長閑な一本道で、古民家の集落を抜けたり農道を走ったりと心地よかった。しかし、早くも左脚太腿は痛みを覚える。甚目寺から1時間で名鉄佐屋駅。はや木曽川を目前にし、やっぱり経験値の高い愛知県内は速いな、と。

木曽三川

昼飯どころを意識しつつ、道の駅を通過して立田大橋を渡河。現在の自転車で県境を越えるのは初めて。木曽川に続いて長良川をわたる。

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右手に養老山系、左手に千本松原。

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3県境で記念写真w

木曽三川公園入口のカフェnocca味噌カツ弁当を買い、みそ汁をつけてもらって店内で食す。バイキング形式のワンプレートランチやカフェとしても楽しめる。

そのまま休憩がてら、小一時間散策。

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治水神社にお参りし、

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千本松原に身を包まれてみる。

三重県入り

自転車での三重県入境は、木曽川より東側に位置する木曽岬町へ僅かに足跡を残して以来であり、本格的に走るのは今回が初めて。多度山を正面に油島大橋を渡り、国道258号線を南下する。さきの木曽三川公園に寄りたいためだが、じつは立田・油島大橋を渡るのはあまり最短コースではない。国道258号線は揖斐川に沿って南東方向へ戻るような恰好となる。けれど、クルマならともかく自転車にとって主要国道は酷道であり、歩道の整備不良や橋などでの急こう配には長年悩まされている。その結果、国道1号線や23号線は今回可能な限り回避することにしたのだ。じっさい今走る258号線も典型的な酷道であり、あまり外れなければ、と裏道に挑んだりした。一歩離れるだけで古そうな集落があってホッとする。

桑名

桑名東インターより川へ接近して、JR関西線や近鉄線と並走する*1四日市鈴鹿方面へは遠回りだが、今日は桑名で一番行きたい寄り道スポット、桑名城址のため。さらに線路より東側から市街地へ入り、八間通海浜へ向かう。かつてこの弱冠1㎞を運行した桑名電軌に想いをはせながら。

九華公園

「平成最後の牛串を!」と賑わう柿安本店を横目に、九華公園(桑名城址)で一休み。城址といっても復元天守閣や資料館などは一切なくて、石垣やお堀を基調とした庭園。

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幕末、明治政府軍により開城の証しとして焼き払われた辰巳櫓。

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跡地には何故か大砲が。

鎮国守国神社は参拝したが、その右手奥にある天守台(天守閣跡)は見逃したようだ。

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築城した本多忠勝像。

七里の渡し

 東海道における交通の要所にして、桑名の名所でもある七里の渡し。鉄道網や道路網が発達し、伊勢湾の埋め立てが進んだ現在では、名古屋熱田の宮の渡しで一度途切れた旧東海道が再び始まる箇所である。ここまで決して陸の東海道である「佐屋街道」を忠実に辿ってきたわけではないので、敢えて桑名の渡し場をタッチしてから旧東海道を下ってゆこうと思ったまでだ。

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湊風景をバックに暫し自撮りを楽しむ。

また、近くには蟠龍櫓という東海道の目印であった櫓が復元され、水門統合管理所として使われている。岸からは長良川の巨大な水門を望むことができる。

旧東海道

先述のとおり、この先は道標を頼りに旧東海道筋を丁寧に忠実に辿る。市により幾らか差異はあるものの、三重県内は概ね街道ウォーカー(参宮巡礼者?)向けに整備されている。

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三の丸堀跡桑名城を名残惜しむ。桑名市街地での旧道筋は複雑に曲がりくねり、現代の区画から見ると無駄に思えるほど入り組み、真剣に辿ると参ってしまう。近鉄沿いになってそれも落ち着き、緩やかな道筋になるが、時折川に行く手を阻まれ、主要道路の橋へ迂回することに。四日市市富田付近では少し迷いそうになるも、街道の面影残して佇む町屋がそっと教えてくれる。また、人家が途切れ川に行き当たって不安になるときも、河岸に立つ常夜燈が確信を与えてくれる。

四日市市街地では国道1号線に合流し、絡み合うようにして進む。とくに中心街ではかなり区画整理された道となり、アーケード商店街の中をも行く。いっぽう郊外では随所に寺社が構え、一つ一つ寄っていきたい衝動に駆られる。初めての行程で所要時間が読めず、不用意な寄り道は慎まねばならない。帰り道で乞うご期待。道幅は概ね狭く、路側帯には黄や緑の着色こそ施されているが、両通行の車の往来が激しい。小川や用水はかなり急な小橋でまたぎ、これも自転車には酷である。

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それでもお寺やお宮に守られた道を行くのは妙に安心感がある。本格的なハイキング装備で歩く人やロードバイクで駆け抜ける姿をあちこちで見かけるたびに、東海道は今も昔も旅人に愛されているのだと感じる。

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去年も訪れた日永の追分。ここで東海道と別れ、伊勢道へ。

鈴鹿

鈴鹿川越えや県道103号線の走りづらさもあって、鈴鹿市街に入るとさすがに疲れが滲み出た。近鉄鈴鹿線踏切を目前に最後の小休止、ホテルまでラストスパート。ここまで狐の嫁入り程度の俄雨しかなかったが、夕暮れになりちょっと気障りな雨が降り出した。鈴鹿市街より南、サーキット場のある辺りは丘陵地帯だと思い込んできた。が、道こそ歩道もなく車に煽られしんどいものの、大した勾配はなく拍子抜けした。ただ、沿道にコンビニや飲食店は一切なく、人家も疎らで寂しいところにあるホテルだと思った。18時ちょうど、アパートを出発して約9時間でついに今日の最終目的地へ到着!!歓喜

ホテルキャッスルイン玉垣

【公式】キャッスルイン玉垣|鈴鹿サーキットまで車で7分、大型駐車場80台完備。24時間大浴場利用可能も魅力です。

片側一車線のわりに往来が激しく、横断は必ず信号交差点を利用する。周りは本当に寂しげで夜は一人歩きしたくない。向かいはAGFで、辺り一帯コーヒーの香りで満たされている。駐輪場は見当たらず、バイク置き場の片隅へ停留。チェックインすると、部屋キーとともにビニールの小袋を渡される。これぞ今回予約したプランの特典、缶ビールとおつまみだ。2連泊または3連泊のプランでは、1泊ごとの部屋清掃とベッドメイクを省くかわりにビールとおつまみを毎晩提供するコースを設けている。一日走り回って風呂で汗を流したあとに飲む冷えたビール。この特典を逃すわけにはゆくまい。

さっそく大浴場*2で程よく走り疲れた身体をほぐし、道すがらを回想しながら癒される。

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湯上りの空きっ腹に染みわたる生ビールはたまらん。テレビと夜景を交互に眺めながらごきげんに酔っぱらった。一段と激しくなった雨の中、あじへいの醤油ラーメンを食べに行き、帰りに発泡酒をもう1本買ってくる。食後の一杯もまた格別なり。

さて、伊勢のキャッスルインで気に入ったものが大浴場ともう一つある。有料チャンネルによるAV鑑賞である。500円玉何個つぎ込んでもよいから観まくってやろうと意気込んできた。お試しで15分間の100円を投入するも、画質と音声が全然鮮明にならない。200円にしてリモコンをさんざん弄ったが一向に改善せず、恥ずかしながらスタッフを呼んで合わせてもらった。備え付けのリーフレットと全く異なる手順で、ホテル側の不手際といえる。ともかく切り替えて男の快楽を堪能したことはいうまでもない。つごう1300円使った。普段愛用してる無修正とはまた違った味わいがあったw ちなみにWi-Fiは伊勢よりも繋がりやすく、明晩は課金せずネットで観ることにする。終日走って疲れたはずなのに、風呂・エロ・ビールと十分すぎるほど癒されて夜更かし。

 

つづく

 

往路実質走行距離:76.70km(距離測定マップにてルートを正確に測定)

*1:この辺りは東日本大震災で甚大な津波被害を受けた名取市閖上と同じ読みの汰上(ゆりあげ)という

*2:男性用のみ。女性客や家族向けに貸切風呂を2つ設けているが、2連泊中ほとんどの入浴で大浴場のほうが貸切状態w