南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

北勢チャリン行 2

陳謝ー本日は天候不順により終日自転車に乗らずに過ごすことをお許しください。本日は、国道23号などを南下して津市に入り、市内を軽く巡ったのち嘗て市街西部と芸濃町を結んでいた軽便鉄道「安濃鉄道」廃線跡を終点椋本まで辿り、中ノ川を下るようにしてホテルへ帰還する計画であった。午後は小康になるとの予報もあったが、結局夕刻まで断続的に降り続いた。

やや遅めに起床し朝風呂浴びても空模様は改善せず、玉垣駅09:59発の列車に間に合うようホテルを発ち、LAWSONで軽食買ってゆく。AGFの競技場脇などを歩いていくうちに、脚はすっかりびしょ濡れ。

伊勢鉄道

(乗り入れ列車でない)伊勢鉄道線を利用するのはこれ以来ですね。鈴鹿市内や沿線スポットを外したのもこのため。でも、伊勢鉄道の途中駅から初乗りして途中駅で帰結するのは、初めてw  

HPでは玉垣駅は有人駅となっているが、駅構内(跨線橋とホームだけ)に職員の姿はない。帰りには乗員交代を目撃したので、本社屋にいるのだろう。狭い屋根の下にポツポツと客が集まり、上下線交換の各列車に散っていく。終点津駅では改札口で精算できると踏んでいたが、停車するなり運転士が徴収し始めたので目の前で両替し390円支払う。

三重県総合博物館(MieMu)だけは必ず行くと決めていた。あと、お昼は是非食べたいものがある。三重交通バスの津市内路線図を眺めると、鉄道線の東西を結ぶ系統が全くないことがわかる。何とか効率よく移動するルートを、またMieMuを午後に充てると午前中駅近くの屋内で時間をつぶせる好スポットがないか、ウダウダと思案。結局、名所の一つである津観音の周りがアーケード街であること*1に目をつけ、昼食と合わせて店先を冷かそうと大門地区へバスで移動する。

津観音

三重会館前でバスを降り、地区へ踏み入って愕然とした。アーケード街なんて影も形もなく、濡れてツルツル滑る白タイルが敷かれた超寂しげなモールが、ポカーンと広がっていたのである。地元大曽根のOZモールもかつてはアーケード商店街ではあったが、さすがに屋根を取り払ったからといってここまで寂れてはいない。軒の開いた店舗はごく僅かで、飲食と風俗が細々と営業しているのみ。観音様の界隈ときいて、名古屋は大須のような賑わいを想像してきただけに、現実との落差に唖然。

ともかく、観音寺をお参り。雨はシトシト、人気なし。

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大門

アーケードの屋根は耐震性を理由に撤去された模様。とあるサイトによると、屋根がなくなったことで連ねる建物の二階以上の視界が開け、近代建築の特色が露わになったとある。改めて、紹介された建物を鑑賞してみる。銀行跡のオーデン大門ビルはあったものの、大門百貨店は…すでに建て替えられていた。しかし、こうした建造物の存在は大門地区がその昔、確かに大須のような古い歓楽街であったことを如実に表している。津駅からも津新町駅からもちょっと離れた土地で、アーケードのあった昨年まで一定の賑わいがあったとすれば現代では健闘したほうだろう。

千寿本店の天むす

学生の頃、津市観光協会のHPがグルメ店の動画を公開しており、天むす、たいやき、とらやイチゴ大福の3つをお気に入りでよく鑑賞していた。津市を訪れる機会があれば、一つでも味わってみたいと思っていた。天むすといえば地元名古屋が有名になっているが、そもそも津の千寿本店から製法を伝授していただいたものだそうである。まさに、元祖天むす。駅の売店などでも買えるようだが、是非とも憧れの本店店内でじっくり賞味したい。アーケード街がハズレた以上、大門の目的は最早千寿本店しかない。

元祖天むす めいふつ天むすの千寿 三重 津市 元祖天むすの千寿

老舗は、モールからは少し外れた路地の一角にある。ほぼ人通りのない大門にあって唯一来訪者の絶えない店。さぞかし混んでいるだろうと思いきや、カウンターには空席がある。テイクアウトのがずっと多いのだ。それも20個とか30個まとめ買いしたり予約してあったりするので、注文量はハンパない。店内食もその合間に注文を入れるため、一緒に待たされる。カウンター越しに、手際よく次々と握られ海苔をまかれる天むすづくりを眺める。

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めいふつ 天むす5個と味噌汁(900円)。天ぷらのエビはプリプリ。きゃらぶきはお土産に買っていこうかと思った。

先述の動画にも出ていたお婆ちゃんは、カウンターの外まで出て包装したり勘定したり、柔和な声で客を見送ったりしている。カウンター内はホント忙しなく握られていて慌ただしいのだが、店内の空気は穏やかで食べるのを急かされている気は全くしない。思う存分噛みしめて深々とごちそうさま。

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偕楽公園

満腹をこなしがてら、博物館まで歩いてゆく。バスで来た道は戻らず、御山荘大橋を渡って鉄道をくぐると、津偕楽公園。県立博物館はかつてこの公園の一角にあった。

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濡れて艶やかなD51。傍らに信号機も立つ。

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津藩11代藩主の藤堂高猷がつくった別荘「御山荘」を起源とし、自然の丘陵斜面を生かして庭園のように造られている。

この先、県総合文化センターまではなだらかな丘陵地帯で脚を軽く疲弊した。

三重県総合博物館(MieMu)

ここまで目ぼしい見所はなかったので、博物館ではたっぷり3時間は見尽くそうと意気込んできた。常設展のみ510円の観覧料を払い、展示フロアに上がると、

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ミエゾウ全身復元骨格! すべての設備が真新しく、オープンな雰囲気の中で思い思いのびのびと学べる展示空間となっている。

その広い館内にあってやや手狭な第一印象を受けた基本展示室、なかなかどうして内容は濃く、さまざまな体験型の工夫を凝らして三重の魅力が凝縮されている。多くの博物館がその地域の歴史に重点を置くのに対し、ここでは自然や生態、それらと関わる県民の暮らしに焦点を当てている。考えてみれば、三重県とは実に多彩な自然環境を内包している。それらが育む各地域独特の生活文化は、とても一県一括りにはできない多様さがある。山の幸、野の幸、海の幸、多くを隣県愛知にももたらしている。人との関わりだけでなく、生息する鳥や虫などにも触れあえ三重の奥深さを知る。あんまり真剣に見入ったものだから脚が一段と棒になってしまい、最後の「人・モノ・文化の交流史」では腹痛を覚えて退出し完遂できず。

そのほか、はく製などが並ぶ実物図鑑オオサンショウウオさんちゃん、小雨状態に応じて屋外も見学し総文センター前から三交バスで津駅に戻る。

津ぎょうざ

学校給食を発祥とするB級グルメで、直径15㎝の皮で包んだ大きな揚げ餃子。ちょっと食べてみたくて、津到着後から終始提供店を検索していた。胃袋的にはラーメンかうどんの傍らに添える感じが望ましいが、推奨店や津駅ビル「チャム」の津ぎょうざを掲げる店はみな居酒屋風である。ビールならホテルに帰れば飲める。ということで、チャムのおそうざいカフェでパック入りの津ぎょうざ一つを買い求め、改札口の吉野家で牛丼を頬張ってシメる。

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晩酌にいただく津ぎょうざ。ボリュームあるけど脂こくなくて美味しい。給食で出されるということは、我々大人のみならず子供たちにもヘルシーでないと務まらない。舌が幼少から濃い味に慣れ親しんではいけないからね。

雨天によるサイクリング中止が、自転車なら素通りしてしまうような街を歩いたり、ゆっくり名物を味わうことができて逆に奏功な一日であった。

 

尚、夕方に四日市駅で発生した人身事故により、伊勢鉄道の津駅18:16発と思って乗り込んだ列車は、実は運転見合わせのため発車できないでいる17:02発の列車だった!! 私にとっては10数分の遅れだが、定刻から待っている人々はさぞお疲れでしょう*2。そわそわと発車を待ちわびていたベトナム人女性2人組が、やっと運転再開間際に扉が開閉したとたん、一人が勘違いしたのか飛び降りて戻ってこず発車してしまう。残されたほうは車中で終始不安げな面持ちだったが、一緒に降りた玉垣駅で友人に出迎えられて燥いでいた。もう一人は大丈夫だったのかな。

つづく

*1:アプリの衛星地図で確認

*2:1時間もあれば、さすがに近鉄に乗り換えたか