南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

Even if ・・・・

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 ある公営図書館のトイレの個室で、また物悲しい走り書きを発見しました。≪Every are should be treated with respect, even if they are homeless.≫こんな言葉が個室の扉の猥雑な文句のそばに書かれていたのです。自習室で勉強する受験生が書いたのか、それともこの図書館に居ついているホームレス自身が書いたのか、それは定かではありません。いずれにせよ、拙さの中に真実を伝える力が秘められているような気がしてなりません。政策学では、「大きな政府と小さな政府」などというような議論を繰り返していますが、その間にもヤミ金取立野郎に追われて、人とは思えないような精神的にも肉体的にもつらい生活を送る人が出現しているのです。彼らの数少ない楽しみは、仲間とタバコを吸いながら語ること、そして無料の施設でくつろぐことです。公営図書館は、まさに彼らのわずかな天国なのです。ロビーで昼寝ができ、利用カード(作成には身分証明書が必要)がなくても本やビデオが利用でき、さらに他の利用者が直に文句を言わない空間。一人一人がその目的で利用する空間にのみ、彼らはなんとか存在できるのです。あまり度を越えると警備員に追われますが。もし受験生がこの文を書いたのだとすれば、その学生は社会の一部を切り取る能力があると思う。たとえ本意でなくても、ホームレスの存在を常日頃眼の端に入れている人間なのだ。「ホームレス=下賎なる者」とストレートに考える一般人とは異なる一抹の感性を、この一つの英文の中に見た。結:ホームレスよ、生きろ。その生き様を誰かが必ず見ているから。【2004/02/06/PM】