山口で最初に鳥インフルエンザが確認されてから、大分、京都と日毎に東方へ突き進んでくる。一部の京都産鶏肉が豊橋に出荷されていたようで、筆者の口前にじりじりと迫ってくる。幼稚園などでは、飼っているチャボやニワトリを園児から遠ざける対策をとらないと親が園に行かせない、という問題も発生しており、生活に支障の出る状態もチラホラ出てきたようだ。ところで、そろそろ桜の開花の季節になる。梅はもう咲き始めているらしい。桜の開花予報は、多くの人々にとって待ち遠しいことだろう。春の訪れを告げる最も心地よい話題である。なぜこの話を始めたのかというと、実は先日感染症の拡大と人類の対応について、あるテレビ番組をやっていたためだ。鳥インフルエンザがその第一に取り上げられていたのだ。オランダでは昨年、日本の今と同じように鳥インフルエンザの恐怖に襲われていた。同国では死者も出ている。養鶏農家が感染した鶏を処分する際に接触してヒトが感染したらしい。感染症のもう一つの例として、西ナイル熱というのがあげられている。これは数十年前アフリカのウガンダで発生した蚊を媒介とする病なのだが、なんと1999年にニューヨークで大流行した。いや、今も感染者は増加している。アフリカからニューヨークへは飛行機を経由して入国したと見られるが、なぜアメリカで今も拡大を続けるのか。研究者らはデータマップをもとに分析した結果、渡り鳥の行動と感染の広がり方が大きく関係している、と推測している。感染した渡り鳥の南下北上活動によって、北部と南部の蚊にウィルスが渡されていく。鳥は感染して死なないのかというと、どうやら鳥はウィルスとうまくやっているらしい。日本でも鳥インフルエンザに渡り鳥が関与しているのではないか、という研究が始まっているようだ。越冬を終えた鳥達が北上を開始する時期にあたるこの春、鳥インフルエンザは勢いを増して北東を目指すだろう。もはや自然の原理に逆らうことはできない。むしろ感染症と共生し折り合いを付ける手段を見つけるより他ない。結:暖かな春とともにやってくる鳥インフルエンザを温かく迎えてやろうじゃないか。【2004/03/04/PM】