≪小泉首相は27日のNHKの党首討論番組で、現在の憲法解釈では禁じられている集団的自衛権の行使について「日本を守るために一緒に戦っている米軍が攻撃された時に、集団的自衛権を行使できないのはおかしい。憲法ではっきりしていくことが大事だ。憲法を改正して、日本が攻撃された場合には米国と一緒に行動できるような(形にすべきだ)」と述べた。日本防衛にあたる米軍への攻撃排除に限って、集団的自衛権が行使できるよう憲法改正すべきだとの発言だ。(朝日コム)≫
これは日本国民の緊張感を誘うつもりなのであろうか。米国と協力して、仮想敵を作って戦争ができる国にすると言えば、野党の反論は必至だろうが。想定というのは現実味が少ないだけ、国民に的確な判断を求めにくい。せめて反論をかわす努力でもしたらどうです?共産党は避けられないにしても、少なくとも冷静な判断を国民に求められるような状態にはできるはずだと確信している。これは技術であって、知識は明らかに政府与党のほうがお持ちだ。なぜならこれは日米間の有事法制に関する本音だからだ。出生率のように後から突然出てくるのかも。(別に都合の悪い話ではないはず)
前置きが長くなったようですが、この話は『有事法制批判』という岩波新書を参考にしている。先日韓国の貿易会社勤務、金鮮一さんがイラクで武装グループに拉致、殺害された。資本主義的利潤追求の象徴である貿易会社社員。これからイラクはアメリカをはじめとする独占資本主義国家の市場と化す。そこが不安定な武装勢力の温床であっては、当然非常に困る訳で、市場確保のための集団的自衛が必要となるのだ。つまり今回の発言は、彼の脳裏に韓国人の事件がある。
で日本がイラクで市場進出しなければいいではないかというと、そういう意味ではなく、有事法制の裏には、日本の東南アジア市場における安全確保という項目が入っている。現地工場もある今、この市場はすでに活動している日本にとっても、これからの市場確保を狙うアメリカにとっても重要なのだ。
イラク戦争にせよ、有事法制にせよ、問題は国防でなく経済なのです。そしてこの話のほうが国民にとってより身近であるはずなのですが、それを持ち出さない意図が現在の筆者では読めぬ。
結:国民全体を守る国防的意図とビジネスマンを守る経済的意図を併用してみてはいかが。【2004/06/28/PM】