《01年9月の同時多発テロで崩壊したニューヨークの世界貿易センター(WTC)ビル跡で4日、再建されるビル群の中心になる「フリーダム・タワー(自由の塔)」の起工式が行われた。この日は米国の独立記念日で、ニューヨーク州のパタキ知事は「テロリストも自由を尊ぶ我々の信念を破壊できないことを示す最良の日」と意義を強調した。(アサヒコム)》これこそが近代民主主義の元祖を自称する国家の、ありのままの姿なのです。以前にも述べました。「自由の女神」は、「金日成銅像」である、と。疑うべくもなく、「フリーダム・タワー」は、「主体(チュチェ)思想塔」です。その起工式を、独立記念日に行うという、象徴による国民の統一と威圧。
アメリカ合衆国は、独立の歴史(過程)とそこで勝ち得た文化、すなわち自由と民主主義を重視する。子々孫々伝えつづけるほど意味深きものである。限られた人間の熟考の賜物、主体思想。人々のヨーロッパからの脱却によって生まれた思想。生まれ育ちは異なれど、向かう先は全球制覇。とすれば、象徴に頼るのも無理はない。これから来訪者を競うのだ。
一見、自由と民主主義は、いかなる国も受け入れるべきものであるように錯覚する。しかし、あくまでもアメリカにおいて通ずる思想なのであり、同等に受け入れることは各国に自国の文化・文明を否定・歪曲させることとなる。
もう一つ、この記事より注目すべき言葉を取り上げておこう。≪知事は「テロリストも自由を尊ぶ我々の信念を破壊できないことを示す最良の日」と意義を強調≫の句である。「自由を尊ぶわれわれの信念を破壊できない」とは、平和的ではないか。なぜなら、破壊することは誰も望まないし、世界秩序にあってはならないのだ。が、誤解してはならない。「敵なし」を明言しているのではない。絶えず批判の攻撃が及ぶことを覚悟しなければならない。ここで逆上する国家こそ、思想も何も持たない軟体動物と化するのだということを熟知していただきたい。
結:もう言わないでもわかるでしょう。世界秩序は、対等対極社会。【2004/07/05/PM】