南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

「日本政治論」講にて

Nanjai2004-08-16
 今月の初めに、「日本政治論」なる集中講義を受講した。日本政治を適当におさらいして、教授の口から零れた本音を読もうというのが筆者の狙いであったが、どこまで的中し成功したかは、極めて判定が難しい。出席はしておいたが、受講態度は下から数えても異存はない。もっとも数量化できるかどうかは、読者の判断に委ねるが。
 第一ラウンドは的中し、55年体制から政界再編成までの復習から始まる。爽やかに聞き流す。そして、この講義の主題の一つである政界再編成を詳細にやりだした。さらに、同時期における国民の支持政党の傾向と変遷や投票率、無党派層の研究などを徹底的にグラフを用いて論じていく。統計学に疎い筆者は、少々休みつつ、適度に聴いておく。
 講義後半、我が関心は炸裂した。政界再編成末期、即ち1995年4月、オウム真理教の犯行による地下鉄サリン事件が起こる。ここから始まるニューテロリズムと権威主義的パーソナリティの話に、筆者は陶酔した。まず、政治・経済の不安定とニューテロリズムの誕生・躍進の関係。オウム真理教の誕生は、第3時宗教ブームの時期にあたる。1973年の石油ショックで経済至上主義が崩壊。第二次石油ショック(79年)では、国内にさほどの混乱はなかったものの、国民は経済に敏感であることが証明される。オウム真理教やパナ・ウェーブ研究所の結成は、1980年代前半である。これと全く同じ現象が、なんとアルカイダ形成でも起こっていたという。9.11におけるテロ実行犯のうち、大半がサウジアラビア人であり、オウムも同様だが、豊かな国の裕福な家庭出身者である。教授のサウジアラビア研究によれば、わが国が石油危機に陥っている時期、同国は逆の高度成長期を迎える。石油低価格時代には、その跳ね返りが大きくサウジ経済にのしかかった。1980年代にはマイナス成長となり、以降も経済混迷状態が続く。アルカイダ創設は80年代半ばである。
 ドイツでヒトラー政権成立前、世界恐慌によって下層中産階級が没落。価値観が崩壊し、サド・マゾ的性格をもつ権威主義的パーソナリティが目立ち始めた。政治・経済の混迷は、価値観を崩壊させ、権威を嫌いつつも自分が権威になりたいという心理と、それにすがる民衆とともに、ニューテロリズムを躍進させる。
結:関心のある部分だけ聴け!!!【2004/08/16/PM】