南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

台湾論の目的

Nanjai2004-11-11
 このたびのゼミ登録で、台湾論(公式には「日台関係」と称す)を研究テーマに仮設定することを決めた。それは、先回紹介した教授との議論がきっかけなのだが、研究テーマと志望理由をまとめた書類を提出せねばならないので、改めて「台湾論」研究は何を目指しているのかということをまとめてみようと思う。
 この研究を始めた契機は言うまでもなく、小林よしのり氏の『新ゴー宣スペシャル台湾論』を読んでからである。もともとの目的は、彼の思想に反論するために、より関連した書籍を調べることであった。彼の憂国思想が大東亜戦争での日本の功績を立証し、日本人としてのアイデンティティ構築を目指す為の手段(アイテム)として台湾を用いているに過ぎないのだということを、筆者が検証してやろうという目的だ。先程記載の書に紹介されていた本は、ほとんど目を通した。
 しかし、研究を進めるにつれて、検証よりも彼の思想そのものに漬かっていく感がある。そこで、春学期に提出したレポートを参考に自らの目標を策定してみた。レポートでは、「戦争と平和」がテーマだったが、その中で《日本は明治期から、欧米諸国の影響を受けて近代国家へと成長していったが、当初から欧米列強に対する劣等感を持っていた。それが同じ劣等とされたアジア諸国との協調につながった。しかし、太平洋戦争末期では、日本も近代国家としての優等意識に捕らわれた。つまり、日本は明治維新から終戦までの間に、何らかの国家意識対外政策に関する変化を経験しているのではないか》。大東亜共栄圏を例にとって、このレポートでは説明している。要するに、台湾は日清戦争以来、日本国土と運命をともにしてきたので、この変化を読み取れるのではないか。さらにここから、日本の戦前期における歴史の再認識が生み出せるはずである。日本の植民地観の変化を教授の前で言及することはできなかったが、かの断片的な議論の焦点はそこに行き着く。
 両国間の歴史、現在までの過程を読み解くことで、新たなる政治・外交関係が生み出されるであろう。というのが、筆者の目的の真髄である。大学への提出書類には、現在のことも言及しておく必要があるので、別稿にて。
結:「台湾論」綱領、完成。【2004/11/11/PM】