南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

中国都市部と農村部の所得格差と教育問題

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 次年度のゼミ選択期間が幕を開け、オフィスアワーで筆者が台湾論を論じに行ってから丁度1年が経過した。半年余り現在のゼミを受講して、如何に短絡的に選択したかを思い知らされた気もする。可能ならば、もう一度この選択期間を2年次と共に享受したいものである。明日は学生による自ゼミ紹介もあるので、何一つ隠すことなく批判をしてみようと思う。
 さて今週のプレゼンは、上記のタイトルに示したが、近現代化する中国の国内問題として、歴史色とイデオロギー色の少ないテーマであったことが幾分筆者を救った様でもあるし、また苦しめたようにも思える。発展の華々しい沿岸部大都市圏とは裏腹に、内陸部や農村部では、義務教育もまともに受けられず、教育設備も大変厳しい状態にある。財政的には、まだ中国は途上国状態であり、小学校ですら有料となっている。その為、親は充分に子の教育を受けさせることができず、労働力として使わざるを得ない。そうした問題を解決すべく導入されたのが、希望工程と呼ばれる教育システムで、貧困地区の子供を小学校に復学させる、或いは児童が小学校を卒業するまでの学費を援助するものである。また、農村部だけでなく、民工と呼ばれる出稼ぎ労働者が都市部に流入し、その子息が教育を受けられないという問題が発生している。民工の労働受入先が「民工子弟学校」を設置して、子供を受け入れているが、それは非合法である。現在では漸く、増えすぎた民工子弟学校を処理する為、大都市などで大規模な取り締まりを行ったり、一方で一定の基準を満たした学校を認可するなどの対策を採っている。民工問題は、都市戸籍農村戸籍という特殊な戸籍制度が大きく関与しており、容易には解決できない。
 中国は開放以前の大躍進などで農業の強制による共産主義発展を図ろうとして失敗した。それが開放政策を経て、大規模な工業化と資本主義システムの一部導入を行うことによって、いわば農村部社会主義から都市部社会主義へと転換したのではないか。あるいは完全な転換でなくとも、それを模索する方向に入ったのではないか。従って、現政府の主眼は都市部の発展にしかなく、また農村部の住民も現代文明に高い関心を示す。
結:ならば、今は農村への教育よりも、人民の都市流入を緩和する戸籍制度改正や民工の生活改善を先行させるべきではないのだろうか。【2005/10/27/PM】