南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

隔年恒例のペルセウス座流星群観測@恋路峠〔前編〕

隔年で三度目となる、恋路峠での観測。初めては高3の時で、河合塾の模試失敗で腐っていた気分を晴らそうと出かけた柿其渓谷で、日付に気づいて居残り観測したのが始まり。二回目は一昨年、ピークと思っていた2時頃は曇ったが、11時頃にラッシュがあった。それと、たまたまキャンプ場から車で登ってきた二人と、思いがけない時間を過ごしたのが印象的だった。先代ブログWorld Scissorsに記録がある。そして三度目。今回もかなり波乱だったのと、初回・二回の合成版みたいな感じだった。
(この1夜は、旅行でもなく鉄道遊びでもないので、敢えてカテゴリ化しない)

雷雲に追われて

家を出るとき、既にいやな雲が西の空に押し寄せていた。天気予報では、午後に一部雨るほかは、夜も晴れるようになっていたので、それを信じた。中央線を信州に向かって上っていく。ついに高蔵寺で追いつかれた。同駅は豪雨と雷に覆われていた。が、多治見に抜けると、再び後方に雷鳴を聞きつつも、晴れ間だった。多治見でセントラルライナーに乗り換えて、中津川までは快適。しかし中津川では、下り電車の到着が10分余り遅れて、影響で発車も遅れた。(あとで野尻駅での住民の会話によると、岡谷で停電があったらしい。また薮原付近が集中雨だったようだ)
中津川から先、南木曽にいたるまで、雲行きは怪しいもののさほど雨はなかった。その先からだ。電車も徐行するほどやばくなってきたのは。そして、野尻駅着。もぅ一歩も踏み出せないほどの雷雨。時間がやや遅かったので(17時)、十二兼で降りて峠まで下見に行ってから野尻に下って買い物をするという計画はやめたのだが正解だった。これをやると峠まで1時間余、峠から野尻宿まで40分はかかる。2回まではこれをやっていたのだが、雲を見て判断してよかった。ただ、この時点でもまだ、雷雨はそのうちやみ、峠へ行って星を見られると思っていた。というのは、初めて峠で観測をしたときは、18時から21時頃まで、ひどい雷に見舞われていた。場所が場所だけにかなり怖い思いをしたのだが、下のキャンプ場から聞こえる声などに励まされ耐えた。その結果、深夜にはすばらしい星空を拝んだのだ。今回もそうなると思った。

野尻駅足止め3時間

その考えは甘く、雷雨はしだいに激しさを増した。下り電車は30分遅れ、下車した地元民も迎えに来る車を待って足止め状態。駅には、無人駅とは思えないほど人があふれた。まぁ私だけがよそ者で、あとは地元民という構図がつらかったものの、人がいるというのは助かった。私には電車も車も迎えにこんからね。ただ、やむのを待つのみ。近くの山々にばしばし雷が落ち、稲妻も何本見えたことか。18時にはお腹もすいてきたので、峠で食うはずだった御握りを頬張って、ひたすら待つ。電車も到着し、しだいに待ち人も減っていく。ついに20時前には独りになった。やまねば帰るしかない。名古屋に今日中に着くには、20時10分の電車しかない。途方にくれていた。

やんだら晴れ間、いけるぞいけるぞ

三回ほど集中して降った後、小康状態になった。雷はやみきらなかったが、雨はとまったのでやっと動ける状態になった。田舎町は暗いので駅前で観測するにせよ、食うものがない。ので、いつものように19号沿いのタイムリーに買出しに行く。稲光だけが時折照らし、まだまだ怖い。駅で方向性を考えよう、と戻ると、いつの間にか空は晴れて山里らしい良い星空が出ていた。
これは、いける。確信して出発。峠に向かった。

先回に続く二度目の肝試し敢行

前回は買出しに野尻へでるのが遅れて、フォレスパ木曽(温泉レジャー施設)につく頃に日が暮れてしまった為、懐中電灯一本で林道を登る肝試しをした。あれはまだ日暮れ時だったが、今回は20時。見事に真っ暗。しかも時折雷が鳴る。怖いも怖くないもない。フォレスパまで20分。その間に20時10分の中津川行きを見送ったので、もう帰る手段はない。あんまり怖いので、峠まで登る途中、一度戻りかけたこともあった。かつて峠からフォレスパまで下るのに使っていた自然歩道が災害の為通行止めになっていたり、崩れたらしい岩の破片や木々が路面に散らばっていて、さらに恐怖をあおった。土砂崩れが起きるかもしれないのだ。何よりも懐中電灯一本で、自分の周りしか見えない形で歩くのは度胸がいる。まぁなんとか、避難小屋についた。

避難小屋、ひそかに新装

とりあえず懐中電灯で小屋の中を照らしながら、観測体勢をつくる。相変わらずオブジェみたいなテーブルといすのほかには、ほぼ何もない。が、観測用にいすを持ち出そうとしたところ、テーブルと鎖でつながれていることが分かった。やられた...。ビニールシートと懐中電灯と星座早見をもって小屋の外に出る。
生憎、峠まで登りきったところで雲が出てきた。薄曇りで時折星空が見える程度。まぁ待つしかない。今、天頂は夏の大三角。それっぽい星を追いつつ、晴れるのを待つ。久々の観測で、なかなか星座をチェックできない。どうせ曇っているので、小屋の中で確認しようと戻るとき、何気に室内灯のスイッチを押してみた。これまで2回とも電気はつかなかった。ところが、今回は灯ったのである。マジびっくり。つくんかよ、これ。戯れで押してみない限り、気づかなかったよ。フロントと室内3方向に分かれて電気がつく。おまけに、水道台からは水が出た。なんだ、これは。この2年でえらい進歩した。おかげさまで、多少寒かったけど、明るい小屋の中で早見板を見たり、夜食をとったりできた。(この進歩の理由は後で分かる)

小屋の内外を行ったり来たり

まぁしかし、電灯がつくというのは困ることもある。今回は深夜になっても曇りがちで、出たり入ったりを繰り返すうちに、明るい空間と暗い外を往復するから目が疲れやすい。ただでさえ眠い時間なのに、さらに明暗で運動させたら疲れるのは当然。もちろん深夜に小屋を使っているのがばれたり、怪しまれたりするのは困るので、一個だけ点けて自粛していたが、それでも懐中電灯一本よりは明るいわけで、目は疲れる。
外に出ても、座って雲が切れるのを待つだけで、しだいにウトウトが混じり始める。時々立って東の空を見に行ったりする。ペガサスが高く上ってきたところで日付が変わった。(つづく)