南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

ドニチエコ徹底駆使、市バスでナゴヤ周遊

この日は、名駅の名鉄百貨店最上階にある魚福という料理店で皿洗いをすることになっていた。ところが実際現場に行ってみると無視され、結局支店に問い合わせた結果、キャンセルにされてしまった。問い合わせている間、これはどうもまともに働ける場所ではないと感じており、向こうが無効にしなければこっちから破断しようと考えていた。だから結果的にはあんまり被害ではない。けれど、弁当もって家に引き返すのも癪なので、名古屋⇔豊橋往復切符1500円でも買おうかと思った。さすがに交通費プラス1000円の今回の収入に対して、いくら腹いせとはいえ高価なお買い物なので、しばらく思案した結果、久々に市バスを乗り遊んでみようと思った。近頃は一日乗車券といわずに、土曜・日曜をエコな交通で行動しようという意味の「ドニチエコ」と称している。これがたった600円で、市営地下鉄と市バスに乗り放題なのだから、使わない手は無い。今回は全然鉄路ではないけれど、着発時刻をメモ帳に徹底記録したので、そのまま「鉄道の旅」フォルダに保存してある。だからまぁご愛嬌ということで、乗り鉄ならぬ乗りバスをご賞味あれ。
地下鉄桜通線東側改札の駅員より、ドニチエコを求める。そのまま改札を通して同線のホームに下りるも、やっぱりバスを乗りつぶそうと思い直し、西側の改札を出てしまう。なんとも訳のわからない行為であったが、地下鉄の改札を通ったことには変わりない。
地上に出て、広小路通り沿いの笈瀬通り停留所より、本編は始まる。時刻10時23分。このバスは、名駅22系統という。鉄道だと、○○鉄道××線という名称があるが、バスでは系統番号が重要だから、発着と系統を徹底して記録することにした。大門から南へ入って近鉄烏森駅前を通る。この路線で印象に残っているのは、竪出(たてだし)という停留所である。このバス停がコールされたとき、おっちゃんが他の乗客にこれの読み方を尋ねていた。けれど、地元らしいおばさんでも答えられない。しばらくして分かって、みなで驚いていた。あとで調べてみると、竪出という地名はもう残っておらず、バス停だけが存在しているらしい。やや難読だが、永く消さないでほしい。このバスの終着は横井町(10:46)。庄内川の堤防下に何気に車庫がある。横井緑地は春祭りの模様。
さて、鉄道でもそうだけど、乗りつぶすときは如何に乗り継ぎをスムーズにするかで出来が決まる。次の中村11系統には10:53乗車。名駅から来る奴は横井町で止まってしまうが、中村公園から出るのがその先まで運行している。富田図書館なんてのは初めて前を通った。高齢者の乗車率が高い。終着は春田駅(11:03)。
だいぶ西の果てまで来てしまったので、少し戻りぎみなターミナルへ向かう。稲永方面があるとよかったが、春田駅では望めなかった。金山22系統に11:07乗車。これも数分単位で乗り継げて好調。市内南西方面というのは、やはり知らないところが多い。八王子経由といわれてもクエスチョンである。終着の地下鉄高畑には11:21着。ちなみに到着時刻は発着時刻表では確認できないことが多いので、バス運転席上部にあるデジタル時計を下車時に確認して記録する。
金山22系統は西から来て高畑交差点で左折し、北西角に北向きで停車した。しかし、私がこれから行きたいのは全く逆方向であるので、南東側へ信号を渡ってバス停を探す。これが4分でできたのかどうか疑わしいが、11時25分、高畑16系統に継投。もちろんこんな短時間で路線図や系統図を確認できるわけがない。闇雲だ。再び、少し南下しつつ西の最果てへ。戸田川緑地や南陽支所前を通る。戸田川緑地で下車ってご飯にしようかと思ったが、通過してしまった。結局、果ての果ての車庫まで乗ってしまう。住民でもない人がこんなところで降りることはない、という感じの何も無いところ。河合小橋11:50着。
昼が近い。戸田川緑地まで歩くにも空腹がひどい。系統図を見ると、一つ二つ戻ったところに2,3系統がクロスするバス停があるらしい。2区間くらいならそんなに遠くはない。適当に歩いていく。ちょうどその停留所、南陽町西福田に着くころ、後ろからバスが追ってきた。これはさっき自分が河合小橋まで乗っていったバスで、ただの折り返しである。素直に折り返しに乗ればよかったと思った。ので、記録では偽造だが乗ったことにしてある。河合小橋12:00発で南陽町西福田12:03着、系統はさっきと同じ高畑16。
軽い空腹は、バス停前のサークルケイで抑える。停留所にはベンチがあるが、さすがにここでは落ち着いてお弁当を開けない。もう少し我慢することにした。ついでにトイレも我慢しているので、あまり気分が優れぬ。ここではつなぎが悪く、15分まった。12:18、東海12系統乗車。選挙カーがすぐ脇を通るとうるさい。それは当然で、車内には何人もの有権者がいるのだから、街宣にも自然力がこもるわけだ。さきほど南陽支所前でも、期日前投票らしい乗客を見かけた。それにしても、車内でドニチエコを求める客の多いことには驚かされた。皆乗ってくるとすぐ求める。こんなに周知しているとは知らなかった。港区役所12:48下車。このバスは港区役所が終着だが、乗客の80%は一つ手前の東海通で降りる。バスの乗り継ぎを意識する上でも、こちらで降りたほうが便利。終点まで乗る癖がついていたので、これは失策。
また次まで少々時間がある。区役所に併設する防災センターを訪れた。ここは地震体験コーナーがあることで前々から知っていたが、一度も来たことはない。今日は休日ながら生憎の曇天で、来訪者がなくしんとしている。地震体験コーナーは一階にあったが、2階にも2,3の企画がある。上がって行くと、年配の男性職員が親切に一つの企画に案内してくれた。バスの時間が気になったが、思い切ってしまう。伊勢湾台風の3D映像で、専用のメガネを着用して昭和30年代当時の茶の間に座る。予想に反してほんの2,3分の映像だったが、高潮による濁流のすさまじい破壊力と被災地の惨状を体感できた。なかなか興味深いところである。
お年寄りが数名乗って、港区役所を13:09出発。幹・築地1系統で、漸く目指していた稲永方面へ。終点の野跡駅で降りて、そのままターミナルで昼食。藤前干潟など行こうかと思ったが、それよりジャンジャン乗ることを優先した。それと同じ系統に乗るのはなるべく避けること。食べながら、時々時刻表を見に行ったりして検討した。
13:51発、金山25系統に乗車。その名のとおり金山方向を目指す。が、イメージとしては名古屋を反時計回りに周るのが目的で、途中で乗り継ぐことにしていた。築地口のほうが系統が集中していると思われたが、あえて閑散とした、しかし一つの系統が分かれている港楽町停留所で下車(14:11)。
系統図で路線のあることは確認していたが、時刻までは分からない。早速調べてみると、多少待ち時間のあることが分かった。鉄道の乗継だと20分あってもまだ痛くはないが、バスだと何故か20分は無駄な感じがする。ましてや工場と団地の中の分岐なので、時間の潰しようがなかった。14:30、名港11系統に乗車。
この系統は、いわばローカル線である。かなり本数が限られてくるので、乗り継げただけでも幸いだと思う。面白い線を見つけたと思った。南の外郭をうまくたどる路線で、名鉄築港線東名古屋港駅などを経由する。工場地帯で働く人々が平日に利用するのだろうか。
「お客さん、終点ですよ。」運転手さんの声で目覚めた。「終点で良かったですよね?」「あ、はい・・・」下車(14:58)。途中から記憶がない。昼食後で、座席に着くと気持ちよくなって寝てしまったらしい。まぁこういうこともある。
ここは、鳴尾車庫。車庫の口のところで下車したので、表の通りに出てバス停を探す。さらに東進したかったがつなぎが悪いので、西方向にする。柴田まで戻る感じの新瑞13系統に乗車(15:06)。少し雨が降っている。
さっきは寝ていて要町を見過ごした。なるほど、こんな停留所だったの。環状線に入ったころから雨が強くなってきた。バスの乗継ばかりだけど、大きな動きは控えることにする。新瑞橋に15:47到着。
降りしきる雨のせいか、大きなバスターミナルは乗車を待つ客で猛烈にごった返している。そんな中で自分の乗りたい路線を探すのは結構難しい。やっとのことで長蛇の列にくっつくことができた。当然、肩擦れ合うほどの満員御礼である。16時ちょうど、幹・新瑞1系統乗車。
平針住宅ってあるから、平針駅にも当然行くものだと思い込んでいたが、これが誤算だった。一度も地下鉄の駅らしいところに停まることなく、どんどん客が減っていって、新興住宅地の中へ踏み込んでいく。これは拙い、と思ったところで終点に到着。さっぱり場所が分からない。参った、参った。この系統では終点だけれど、他の系統はここを通過点にしている。それで平針駅に出るのはないか、時刻表に目を凝らしていると、道路の反対側にバスが止まっている。これが地下鉄平針行きだった。幹・新瑞1系統を16:33に降りて、16:34にこのバス(平針11系統)が発車したから、何と1分乗継である。疑わしいけれども、奇跡的な乗継であった。
ほんの数停留所で平針駅(16:41着)。ここも待ち人でかなり混雑している。さらにバスの到着が遅れていたので、騒がしかった。幹・本郷1系統に、16:45を10分程度遅れて乗車。
半分くらいの行程は立っていたと思う。どんなに初めは混んでいるバスでも、その運行区間の半分まで来れば大抵座れる。国立東名古屋病院付近では、突き当たりの停留所まで脇道へ入る。こういうのは実際に乗ってみないと、普段サイクリングで通っている場所でも分からないものだと思った。ちなみにこの系統も、東の外郭を通っているので、意図せずしてイメージどおりになった。本郷17:26到着。
これで一応、今日のバス乗りつぶしは終わりにしようと思った。系統を探すのに少々疲れてきていた。地下鉄東山線に乗って本山で途中下車し休憩。すると、余力が出てきた。そこで、さらに千種駅まで乗って、またバスを探した。(本郷17:34⇒本山17:43−18:03⇒千種18:09)
うまく大曽根方面に近づける路線があるといいと思ったが、残念ながらその線は繋げなかったので、砂田橋にした。千種駅前を18:16に出発(千種11系統)。本山ほどではないが、東へまたかなり戻ってしまう。暗かったので車窓もどうともならないが、学生っぽいのが結構乗ってきた。砂田橋18:37着。
あとは地下鉄名城線で一駅。帰宅。いやぁ、仕事するより疲れるわ。細かな予定を立てない分、その場でうまく判断しないと、とんでもない地で無駄な乗り継ぎをさせられることになりかねない。バスといえども、都心部はまだ良いが、周辺部となると本数も限られてくるので注意。けれど、意外な地域の意外な名古屋が見られて、冒険的で楽しかった。暇があれば、また600円投資したいな。