南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

満天だ、満点(off)ーペルセウス座流星群観測@恋路峠

02、04、06年に続く4度目の恋路峠流星観測。連年で来たのは初めて。そして全ての面で欠けることなく、ベストな結果を得た。天気は日中から良好で、雷雨も夕立もなし。18時40分、野尻駅着。国道19号沿いのタイムリーへ買い出しに行く。今夜のおかずと夜食(寧ろおやつ)、それに朝飯を買って、駅に戻って夕飯。02年以外はこのパターンだな、多分。昨年はここで雷雨に降り込められて身動き取れず。今回は、19時半に野尻宿を発し、峠へ向かう。道すがら、立ち止まっては空を眺め、その凄さに感動しまくり。前3回で空がよかったのは、上から順に04年、02年、06年。月明かりがひどかったのは06年だっけな? 今年は新月だから、全く心配ない。
木星の下に見える赤い星は、名古屋でバイト帰りに見ながら何だろうな、と思っていたが、しだいに周りの星が見えてくるにつれ、なんとサソリであることが分かった。サソリの最高高度は30度くらいで、まさか名古屋のような都会では見えるはずがない、と思っていた。ところが、随分高い位置にアンタレスが光っているので、驚いた。木曽川のほとりでは周りが十分に開けるので、サソリの尾までしっかり辿れる。さすがにここまでは名古屋では出来ない。やっぱりJの形が綺麗だと、改めて感じる。
多少弱く感じる懐中電灯一本で、フォレスパ木曽から先の林道を登る。いわゆる毎回恒例の肝試しだ。本当に自分の目前以外は何も見えないから、かなり怖い。先回はこれに加えて稲光があり、いつ自分に堕ちるか分からぬ不安もあった。今回は異常に長さを感じた。なかなか上にたどり着けない。こんなに距離あったかなぁ。
上には、予想通り先客があった。毎年お盆には柿其渓谷に遊びに来ているらしい。最近は毎週だとか。一昨年(私は北海道に行っていたが)、地元の方に言って電気がつくようにして置いてくれた。この2人と会った04年の夜空は、それだけ感動させるものだったのだ。あのときはお互いに吃驚したものだけど、星空というのは誰でも打ち解けさせるものだな、と感じた。あの年は22時から23時にかけて、よく流れた。火球っぽいのが流れて、以来火球に過剰反応するようになった人もいる。彼らが来ているとありがたいのは、安心して林道に寝転べることである。山奥とはいえ、19号の脇道、裏道として知っているドライバーが深夜入り込んでこないとも限らない。その辺の不安から、小屋周辺に椅子を出して眺めるのが精一杯だった02年。地面に転がれる余裕というのは、やはり度胸がいる。座って首だけ持ち上げるのと寝転がるのとでは、視野の範囲が全く違うし、疲れ方も違う。長時間観測するのだから、できるだけ楽な姿勢が好ましい。今回は12日21時から、翌日4時まで寝転んだ状態で観測できた。最高。
星空の案内人は楽しい。夏の大三角だけでも十分広く共有できる。一人で見るのと、何人かで見るのとはやはり違う。天の川がはっきり見えるだけでも都会人にとっては珍しいのだから。
それにしても天然プラネタリウムはいつまで見ていても感動する。すばらしい。峠とはいえ、木々が高いので視野は限られるが、それでも人間の視界にぴったり合うので問題ない。流れ星を目の端で見落とした、なんていうことはない。二つの目で適量の範囲が見られればいいのじゃないかと。
21時台、22時台はみなで見た。21時台は10数個、22時台は4,5個で、妙にとまった感があったので、先客は飽きてしまった。20時台からいくつか数えていたらしいので、確かに停滞ぎみなのかもしれない。ただ、そこで諦めて寝てしまったのは彼らの早計だった。以下は、独り4時まで観測した結果である。
23時台:7個
0時台:10個
1時台:12個
2時台:21個
3時台:19個(3時50分まで)
23時台は確かにまだ少ない。が日付変わってから二桁を続けた。しかも、0時台は私自身眠くなって(しばしば薄い雲がかかることがあった)30分ほど曖昧であるから、30分間で10個記録していると考えてもよい。2時前後はかなり勢いがよかった。1分間に3個くらい行ったときもある。全体的に明るくて尾の長いものが多い。ただし、流れる向きがペルセウス座を中心としているようには、必ずしも思えないものが見られて不審であった。
なかなかここまで晴れて満天の星空は、見られるものではない。4時まで粘ったのは個数だけでなく、ペルセウス座そのものが見てみたかったからである。かつて愛知東部東栄町の御園で観測をやったとき、友人に「この辺がペルセウス座だよ」と教わったのだが、いまいち星座の形がつかめず、疑問を残したままだったからだ。あまり明るく目立つ星がなくて、探すのに苦労するらしい。ところが今日の空は、最高どころか絶頂で、もはや見えない星座は存在しないといえるほど好条件なので、絶対見えると思った。そして3時半過ぎ、初めてペルセウス座を形作ることに成功した。感動した。この空では、アンドロメダ銀河もプレアデス星団も見える。スバルがあんなに綺麗に輝く集まりだとは思わなかった。星座早見には2,3個の星しか載っていない星座でも、この空では無数に星が輝いている。たとえば大三角の隣にある「とかげ座」は、早見なら2つだが、実際には細かな星が何十もあって、非常に驚いた。メジャーな星座だけでなく、末端星座も次々に見つかったし、12星座で聞いたことあっても実際に目にしたことないようなのまであった。22時台に、いて座が見られたのが一番印象的だった。12日から13日にかけて確認した星座を、ほぼ時間順に羅列する。
さそり座、北斗七星(おおぐま座の一部)、北極星こぐま座の一部)、はくちょう座、こと座、わし座、ヘルクレス座、かんむり座、いて座、や座、いるか座、りゅう座、ペガサス座、みずがめ座、とかげ座、うお座アンドロメダ座、さんかく座、くじら座、おひつじ座、カシオペア座ペルセウス座
「みずがめ」とか「うお」なんてのも、星が暗すぎて普段は見えるはずもない。それがきちんと象れる凄さが今夜にはあった。ケフェウスはいまいち星が形にならなかった。条件がよくなければ星が限られるのだろうが、ここでは逆に見定められないほどなのである。それからフォマルハウトが低い位置で明るかったのだが、ちょっと自信がないので記録していない。くじら座と見間違えていた可能性がある。
いずれにしてもこんないい空は御岳でも見た記憶がない。絶賛。さらに2時頃は、この空を星が降るのだから最高というほかない。明るく綺麗に流れるたびに、背筋がぞくっとして、何か怖いものを見てしまったような気がした。ときどきアラレをつまみながら、星空を眺めるなんて、贅沢なものである。中国へ行く前に、是非是非これをやっておきたかったのよ。