南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

洛陽の紙価を高める

洛阳(为之)纸贵。
(晋の左思が「三都賦」を作った時、洛陽の人が争ってこれを転写したために洛陽の紙の値段が高くなったという故事から)著書が好評を博して盛んに売れること。(広辞苑
これはおととい添削を頼まれた答案(大学院入試の過去問題)における、漢字の問題での選択肢の一つ。ラクの字がキーなのだが、日本人でも「ラクヨウの紙価を高める」を目にして、即「洛陽」に変換できる者は多くあるまい。私もまず「落葉」と思い浮かべてみて、クエスチョンになった。意味が通らない。んで、辞典に頼って、この慣用句(成語)を初めて知ったわけだ。中国人が、中国語のこの成語を日本語にリンケージできるなら、誤答にはならないだろう。この答案も「落葉」と脇に走り書きして、誤っていた。ごく自然だと思う。
昨夜一気に答案を見させてもらって、意外と難易度の高いことが判明した。日本語能力試験の1級と2級の中間ぐらいだと判断した。問題は一応、北京外国語大学大学院入試(2002〜04年)と記されているが、到底全国の外語学の頂点に君臨するような学校が作成したものとは思われないほど、問題の各所に欠陥を有している。今日授業後にその回答者(即ち、2週間後、院入試を受験される方)と会って、文法・語法問題のみ解説をさせてもらった。たぶん日本語学科でない、第二外国語として日本語を選択された方だと思われるが、それにしては十分習得していらっしゃる。たとえ話せなくとも、読解などの筆記試験にはここまで強くなれてしまうのだな、と感心した。逆にそういうところ、語感が未熟なので、組み合わせで覚えてしまえ、みたいな解説はできない。あらためてその語法の根源に迫らないといけない上、中国語で説明するのは結構しんどい。
問題形式は割とこないだの日本語能力試験一級に酷似している。が、それ以上に感じたのが、かつて自分が受験した静岡県大国際関係学部の二次試験英語の形式にそっくりなのであった。簡単な語法問題があって、読解があって、最後にドバッとひたすら翻訳の問題が出る*1。翻訳(この試験では中文訳)は、まず凡その意味が通ること、次に文法や語法を誤らないこと。この2点で得点は稼げる。今回もあの頃を思い出しながら、この2点を基準にその中文を読ませてもらった。
彼女の試験までまだそれなりに時間があるので、私の可能な限りで添削と解釈をしてあげたい。今日もまた、2001年だっけか、の答案を受け取った。結構読解も我々日本人をも悩ませる問題がある。ほら、センター試験の国語とか厄介だったじゃない。

*1:静県の際は、午前中が普通の試験で、午後に英訳オンリーの過酷な試験があった