南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

城际线について

以前PCのトラブルで紛失してしまった郑州地铁研究用の資料を改めてあさってみた。地鉄学院というのが開設された(おそらく運転士などを養成するんだろう)とか、運営の専門家が不足しているといった記事が転がっている。まぁ古いのもあるかもしれないが、大抵は今年2月ごろのものだ。その中から比較的質のいい路線図を入手する。
「郑州市城市快速轨道交通近期建设规划图」
1号から6号までの計画線と、近期建設予定の1,2号線(1号線は既に建設開始)は路線データと予算が付いている。それによると、1号線(名づけるなら東西線)一期は延長26.34km(地下24.20km、高架2.14km)、22駅、本年建設開始の2013年完成予定。尤も遅延等を加えて2015年と見ても構わない。路線の形状からして相当難航しそうだからな。2号線(同南北線)一期は全区間地下の19.05km、16駅、2011年工事開始の15年完成である。
地下鉄に関してはまた眺めるとして、この図にはまだまだ気になる線が載っている。国鉄の京广铁路を分流させ、市東部に新郑州站を設けて新ターミナルとするようである。この駅はさらに城际线を集約し、現在の火车站への一極集中を解消させると同時にもう一つの役割を持ちそうだ。
城际线とは都市間高速鉄道の意味であると思われる。この計画図では東西南北四方に線が伸びている。すでに郑州(火车站)−开封(金明广场)間は敷設が決定し、建設も始まったと聞く。また郑州−洛阳間もすでに決定事項となっているようだ。南北の新乡や许昌方面は、まだ白紙段階と思われるが、可能性はかなり高い。現在郑州と开封の間には、片道7元の都市間公交が走っており、これに替わるさらなる大量輸送機関として造られているようだ。それが新郑州站に集約されるとなると、これは長距離バスの市中心部への進入を削減させる。また輸送量の競争によって個人営業の長途バスを廃業させ、利益集約を図ることになる。沿線に設けられた駅を通じて乗降を行うため、現行の長途バスにおける路上停車での乗降といった非効率的運行が解消される。これは道路交通による個人志向の高まりを踏まえた、公共交通の強さを示す試みではないかと評価できる。
一方で、都市間移動における自動車利用を都市電車が集客していった場合、今後増え続ける自動車の役割は何処で果たせばよいのだろうか、という懸念が発生する。高速道路や国道、新たな自動車専用道路が築かれながら、都市の狭い道に車が溢れ、交通事故や渋滞が多発し、市民の生活が脅かされるのだとしたらこれは善策ではない。人口が密集した都市にこそ、自家用車による個人の秩序なき自由が制約されるべきであり、公共交通の力が発揮されるべきなのだ。
という批判的な口調になるのは結構個人的な理由なのかもしれない。すなわち、都市間自動車移動による環状道路周辺駐車場の収益を期待している私にとって、都市間鉄道の活躍は仇敵となってしまうからだ。省を超える移動は鉄道や空路で、都市を越える移動は自動車で、市内は公共共通で、といった理想に固執してはダメなのだろうか。ある専門書では、都市内での移動を公共交通や自家用車の利用を個人の選択に委ねるべきであり、その何れにも加担・優遇してはならないとある。しかし、その結果こそが今の市内に氾濫した自家用車の暴挙ぶりではないのかと思えてならないのだ。また、これまで長距離移動に重用されてきた鉄道が、都市間という近距離で日本のように効果を発揮するかどうか、疑わしい感もある。どうなんだろう。