南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

京津城际铁路(开封帰郷旅行2014エンディング)

はじめに断っておくが、まちがっても京阪京津線のことではない。北と天(Tianjin)を結ぶ都市間高速鉄道である。といっても、昨日紹介した郑开城际铁路のような地方交通とは違って*1、れっきとした中国鉄路(国鉄)の主要路線だ。在来線軌道を走る动车组(頭文字D)として開業しながら、のちに主流となる高铁(頭文字G)と同じ専用軌道で造られたことから、城际动车组(頭文字C)という形で区別されている。つまりこの種別は北京-天津間でしか乗れないことから、少し縁遠い存在であった。今回天津経由で北京へ戻る案を思いついてから、折角なら普快や快速よりもCを選ぼうと思った。乗り継ぎという形で早朝に珍しい種別に乗車するパターンとしては、2008年9月末の信阳編帰路で利用した管内快速(頭文字N、現在廃止)と状況が似ている。尤も、帰京および帰国という一連の流れにおける移動に過ぎず、鉄路趣味的満足感のほかは何も残していない。夜中の3時から6時半という異様な時間帯ながら、初めて天津の地を踏んで北京へ戻ったという経緯を記録するために設定したタイトルともいえる。
それでは、前日夕方开封を発ってから、天津、北京を経て日本へ帰国するまでを、印象的な出来事をかいつまんで綴ることにする。

开封から天津

めいっぱい市中で過ごし改札時刻ギリギリに駆け込んだ候车厅には、乗車予定の车次は表示されていなかった。开封土産を買うのも忘れてヤキモキしていたら突如改札が始まり、ホームに上がると既に列車は入線していた。こんな余裕ないのに乗車位置はかなり先頭で、東へ走らされた。牽引機関車が駅ホームの末端ギリギリに停車していて、初めて开封站のプラットフォームの果てを間近に見た気がする。結局発車は規定時刻より10分ほど遅れた*2。ボックスに相席の男性はみな腕に刺青が入っていて異様な心地がした。車内では夕刻のあいだ旅情をそそるようなBGMが流れていて、开封を河南を徐々に離れていく感慨が増した。旅途を少しでも快適にするサービスも出てきたか。
列車は商丘から京九线に入る。場内に宋江や吴用の像があるらしい梁山駅を是非見てやろうと思っていたが、真っ暗すぎていつの間にか通過していた。そして間もなく、5日ぶりの聊城。これを以って京九线は北京から阜阳まで855kmを制覇。同じく長距離制覇している陇海线(徐州-蔡家坡間)は990kmで、まだまだ敵わない。聊城からは上手に転寝しつつ天津コールを聞き逃さないようにして硬座夜行を凌ぐ。京九线上の任丘(Renqiu)まではほぼ1時間間隔で停まるが、その先0時半から3時の天津まで停車駅がないので結構不安になる。約15分遅れで天津に到着。

天津から北京(京津城际铁路)

未明の天津駅は人影こそ多数あれど、明かりが少なく真っ暗に等しい。招待所勧誘の声をかいくぐって、夜食を買いに超市へ直行。まず牛乳で小腹を満たし切符売り場へ。天津駅の售票厅は京津城际铁路と他種が明確に区分されている。そして購入者の少ない時間帯、京津城际铁路の退票窓口と全路線用の通常券売窓口が各一つずつ開いており、どちらを利用すべきか暫し迷った。結局後者のほうでCを指定せずに請求した。たぶん常識的にCが優先手配されると思う。〔列車情報:C2002次 天津06:20発-北京南06:53着 二等软座54.5元〕 C2002は天津の始発。
暗闇の中で比較的古めかしいコンクリート調の駅ビルに見えた天津駅。その構内もセキュリティーチェックを抜けた1階部分や階段は照明も減らされ外見相応だったが、2階の候车大厅は間仕切りなしの大ホールでギャップに驚く。去年利用した新築の苏州駅と同じ。無料のお湯を注いで红烧牛肉面をすするも、すぐにトイレで下してしまう。白酒の反乱は一向に収まらない。上海リニア並みに短時間のトリップで着いた北京南駅でまず最初にしたことは、顔面蒼白でトイレを探し回ることだった。また、空港行く前に香瓜子を確保しておこうと入った物産商店では1軒目と2軒目で価格が大きく異なり15元ぐらい損した。も少し心身ともに健康なときに再訪したい北京南站。

帰国へ

地铁の4号线と10号线を使って三元桥へ。乗り鉄行動はとっていないが、4号线を市中方向へ乗って2号线へ継ぎ东直门で机场线に乗り換えても良かったなと。机场线も均一運賃なのでより長く乗ったほうがお得ではある。
 
出発ターミナルのベンチで数分間「大の字」。無料の充電コーナーは何とか使えるも吸収が遅く待ちくたびれ、Wi-Fiは接続設定が分からずじまい。昼は味千ラーメンを探し回った後、バーガーキング(汉堡王)で皇堡大餐にどら焼きをつけて贅沢を愉しむ。冷たいLサイズペプシコーラが痛いかなと思えば、案の定食後はトイレ。会社へのお土産はやはりクッキーが無難に思われたが、散々悩んだ挙句、数量の確保と店員の執拗さに負けて甘栗チョコレートを2箱。家族には中国茶4種のセット。最終日だけで今旅行費用の3分の1以上を使ったのも疲れの表れかもしれない。最後に自販機で雀巢咖啡を買ったら、缶が半分潰れていた。そんな商品が出てくるところ、まだまだ中国。

开封帰郷旅行2014 完

*1:誤認。郑开城际铁路も中国鉄路の一部である

*2:列車情報:K716次 开封16:43発-天津03:02着 硬座105元