南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

廈門Feverの旅 2:厦门観光(园林植物园,珍珠湾)

一路アモイへ

6時起床でチェックアウトしたものの、6時半の時点でまだ湖贝站の出口が閉じられている。朝の早い中国において6時を過ぎても地下鉄の始発が動いていないことに衝撃を受けた。これは通勤客の分散を妨げることにならないか。人民とともに開封を待ちながら焦りを覚えた。昨夕の5号線には回らず、2号線で市民中心から4号線へとつなぐ。ちなみに朝食を摂った記憶はないが、どこかでミルクティーを買っている。
2011年に脱線転落事故を起こした高速鉄道線の延長上にあたる厦深铁路。おなじみのCRH車両だが、席番を頼りに乗車してビックリ、寝台車である。切符にも「软卧代二等座」と記載してある。リクライニングもないし、詐欺じゃないかと思われるかもしれない。が、現在中国鉄路で最高級ともいえる寝台新幹線の软卧(一等寝台)を二等座料金で利用できるなんて逆に幸運じゃないかと思う。きっちり扉のついたコンパートメントで各部屋ごとに空調も調整できる。本来上下4人分のベッドがある1ボックスに6人が座る。私以外は農民工らしき一団で、いわゆる大型な農村バッグやバケツに生活用品を詰めて携帯している。こんな最先端列車の時代になっても、荷物は大概通路に置いていた。彼らも寝台シートに興奮し、上段に登ったりして騒いでは乗務員にたしなめられていた。彼らの訛りはあまり南方らしからず、河南人民を懐かしくさせる。
停車駅には潮汕(Chaoshan)といった海沿いらしい地名が多いが、海岸線はほとんど見えない。11時頃、漳州(Zhangzhou)を過ぎたことを友人に伝えると、あと小1時間だという。地理も停車駅も所要時間も読めず、些か乗り疲れた。

厦门到着と再会

改札を出るとすぐに、出迎えの人だかりから名を呼ばれた。留学時代以来約6年ぶりの再会となる友人、练さんだ。福建省龙岩(Longyan)出身で厦门在住。親戚の営む貿易関係企業で働いている。学生時代はもっと細身でスタイルもよかったのに、食が豊かになったせいか太まっていて凄いショック。日本語は久しぶりに使う、という割には結構話せて、アモイ滞在中私が中国語を口にする機会は激少だった。
高铁駅の厦门北は本土にあり、市中へはバスで移動する。特に島へ渡る厦门大桥付近では物凄い渋滞に巻き込まれる。巨大な機材を投じて架橋工事が行われていた。马垅(Malong)付近で昼食。

特色香酥肉

唐揚げに大根おろしのようなとろみのあるタレをつけて食べる。

甘辛いナスのスープ

今回は同伴者がいるので遠慮なく料理を撮れる。练さんは次々と福建名物を食べさせてくれるので、眼と舌が三日間忙しい。

马垅社区

出発前から、宿は马垅社がいいとチラと聞いていた。さっそく手引きしてもらう。安宿の管理人さん、外国人を泊めることに難色気味だったけど、练さんがなんとか話をまとめていった。退房するまで彼とは挨拶すら交わしてはいない。马垅のストリートに面した二階の一室で、トイレ・シャワー・デスクトップパソコン*1付。1泊80元、2泊と押金の計200元を払う。カギは部屋のと、階段についた鉄格子門のカードキーがあったように思う。荷物を置いて出かける際トイレに行くと流すレバーがない。练さんに聞いたら、バケツに水汲んで流せってww
全体が軽い傾斜になっている小ぢんまりした街、马垅。地図上では古い小镇のようだけど、小奇麗なファッション店やドリンク屋などがひしめく若者の街だ。また南国フルーツ商の天国でもある。

杨梅(ヤマモモ)。甘酸っぱくて手軽に食べられる

园林植物园

市バスの中でも练さんは遠慮なく日本語で話しかけてくる。幾分ぎこちなくなった日本語にふざけて横やり入れる。しまいには「あなたが中国語で話してください」って窘められた。そして、去年の开封帰郷旅行で练さんの恩師でもあるK先輩に会いに行ったことを話したら、许昌(Xuchang)の発音を思いきり矯正されたw。こうして戯れているうちに全然異国にいる緊張感がなくなって、フィーバーに突入。もう学生時代のように「练ちゃん」と呼ぶほうが相応しい。
名古屋でいえば平和公園や東山のような緑の多い坂道を上っていくと、植物園の東門に到着。入園はせず向かいの奇観へ。交通量の多い峠道に生えた脇道の一筋は奇妙な坂、その名も非常道(怪坡)という名所になっている。分岐点に立って眺めると左手のメインロードは下り、非常道は僅かながら上っているように見える。しかし実際はいずれも下りなのだ。その事実を有料レンタサイクルで体験できる。

峠道は坂の下に見えるが、じつは見上げている

奇観体感もそこそこに、自転車に跨って変顔で写真撮ったりした。あとでFacebookに載せたら「写真でそんな顔、普段あんまりしないよね」とかコメントされた。练ちゃんは自転車のレンタル料が高すぎる、と交渉した少年に暫く文句言っていた。

南国らしい色鮮やかな花々

バスを待つのも煩わしいらしく、ビーチまで道なりに下って歩くことにする。他愛もない話だけでなく、車で通り過ぎてしまえば一瞬の沿道にも面白いものがある。

沿道風景

珍珠湾


中国で広い海原を見たのは初めてな気がする。河南出身の学生が卒業後に就職先などではじめて海水浴して感激しているのが理解できる。

暮れかけた浜辺

ここでも非常道と同様、ふざけたポーズで写真撮りまくる。潮風に吹かれながら抱き合っているカップルに負けぬよう、調子に乗りまくる。

ヤシの実ジュース

飲むのは台湾以来。はじめは新鮮で舌も喜ぶが、だんだん飽きてクセを感じる。大きさと重さも煩わしくなる。2本のストローからも分かるように、二人がかりで飲むほうが適量だ。练ちゃんは付き合ってくれないので、適当に投げた。

鼓浪屿遠望

海岸線を西方へバスで移動*2海上へ張り出した橋(演武大桥)から鼓浪屿(コロンス島)が望める。

鼓浪屿

アモイを代表する観光スポットの一つだが、それほど面白いところでもない、と练ちゃんはいう。もし行きたいのなら明後日にしよう、となった。
その鼓浪屿へ渡る船が発着する观光码头。接続駅ともいえる轮渡公交场は、中国でも珍しい複数站台のある市バスターミナルだ。大都市では、長距離バスや城乡公交でなく市内公交にもきちんとしたターミナル施設が必要だ、というのが持論なのでアモイのこれは非常に評価できる。バスを待つ間、练ちゃんが小吃を買ってきてくれた。

金包银

米粉だろうか、半透明の餅状の饅頭に肉が詰まっている。アツアツで薄いビニール一枚では持っていられない。

夜の马垅


門前で今日の晩ごはん。ビールも1本つけてもらってご機嫌である。店頭が夜市のようになっていて、自然と开封気分みたく高揚する。

莆田卤面

日本の中華飯をそのままラーメンにした味で、日本人にとって非常に馴染み深い。まさに中華飯の源流ここにありって感じだ。感動を率直に伝えると、练ちゃん喜んでくれた。ちなみに莆田(Putian)は省都福州市の近くにある地名。
明朝7時、この場所で待ち合わせる約束をして別れる。

宿から望む马垅の夜

つづく

*1:電源は入らず

*2:たぶん马垅へ戻るバスを探しやすい港へ行ったのだと思う