南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

M-1における暴言騒動について

なんかM-1グランプリの審査員である上沼恵美子さんに対し、とろサーモンの久保田とスーマラの武智が誹謗中傷や女性蔑視ともとれる暴言をSNS上で吐いたとして、メディアで騒ぎになっている。基本的に芸能界が何を騒いでようと一切興味ない私だが、漫才コンビとしてのスーパーマラドーナは非常に贔屓しているので動向と当該芸人の去就が気になった。結局メディアや大御所芸能人たちが好き勝手酷評し、ヤフー掲示板では常識的謝罪を要求し続け、当の芸人はSNS上でしか謝罪できず、上沼さんは直接謝罪を拒絶する形で幕引きの方向である。別にこれくらいの流れなら何をやっててもらっても全然関係ねーんだけど、スーマラが芸能界から追放されたり解散されては非常に残念極まりないので何か擁護っぽいことの一つも吐いておきたくなる。

まず最前提として、暴言は良くない。女性差別的表現は尚宜しくない。それを公に吐いてしまったことは率直に認め、謝るべき。で、

これは個人の資質の問題でしょ。「個人として」多くの視聴者が接することのできる場で暴言を吐きうる人間である、ということであって、コンビとしてネタを作り漫才する才能まで否定したり芽を摘んだりしてはいかんと。彼も駆け出しのペーペーでなく、相方とともに数々の苦難や闘いを積んできている。人間性による小さな過ちで彼らの大きな前途を潰してよいものか。そんな権限を、くだらん番組でカネを回している業界の誰が偉そうに握ろうというのか。そんなに目くじら立てて糾弾するなら、吉本や各事務所が芸人育成段階できちんと倫理教育とやらをやればいいのだ。ネタの才能ばかり評価したり競争させたり、背くらべがまたカネになるから大事なことは後回し。これじゃ武智らは躍らされた犠牲者じゃないか。

とろサーモンの久保田について、キャラや芸風は一切知らない。けれど今回の事件から推すに、けっこう毒舌っぽい話法が売りなんじゃないか。かつて芸人や漫才師は日常や社会現象を鋭く風刺して観衆を魅了してきた。ちょっとばかり過激な発言こそ、真面目に働き生活する人々は日常と違った見方に刺激され、日常と違うがゆえの面白さに興じた。ところが最近は、真面目たるべき政治家や学者、専門家や講師など学識のある者たちがカリスマ性を発揮し、過激な言動で世間を賑わすようになってしまった。日常との対比で飯を喰ってきた芸人が、ありえなかった相手と戦わなければならなくなった。芸人どうしの生存競争に加え、カリスマ学識者とも競合させられる。かつてない熾烈さの中で歪みが露呈するのはある程度仕方ないかな、と思わないでもない。

どうかこの一件で腐らずに、より洗練された芸を磨いてカムバックされることを期待、いや切望する。