南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

开封市1年9ヵ月の変貌と考察

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开封市8ヶ月間の変貌報告書 - 南蛇井総本気(2009年)
开封市2年半の変貌と考察 - 南蛇井総本気(2012年)
开封市2年3ヶ月の変貌と考察 - 南蛇井総本気(2014年)
开封市3年5か月の変貌と考察 - 南蛇井総本気(2017年)

 目次

はじめに

例年に比べ前回との間隔が短く、大幅な変化点は少ないと考えたのは早計だった。市内を巡れば巡るほど、随所で街路の造改修に遭遇し主だったスポットも様変わりしており、受容と記録が追いつかないほどだった。まるで金銀財宝がザクザク出土するように変化ネタが掘り出され、視察時間の不足や収集できる情報量などで記述に難儀するここ2,3回の考察とは比較にならない。
したがって今回は、近年の書式スタイルである「ダイジェスト(或いはテーマ)と交通、その他諸変化」といったトピック分けをせず、初回の2009年版と同様にネタをつらつらと列記していく方法をとる。一応読みやすいように分類こそしてみたが、あまり明確な境界はない。また、あまりに項目が多いので、一部のネタについては旅游集記事や別稿开封朋友との再会結果 2019へ詳述を委ねる。

交通に関するシステム・制度等の変更

老城内および大梁路における軽車両販売ならびに通行規制

最初に気づいたのは向阳路の城門付近で、城内に進入する電動バイクか三輪車を制限するような標示や看板が目についたことだ。また、検問所のような仮設テントに有志らしき市民が常駐している。

市民による監視テント
帰国してから詳しく調べてみた。
www.sohu.com
(ページ内に禁止区域を示す画像あり)
8月1日より、电(机)动三轮・四轮车(電動またはバイクエンジンの三輪車および四輪車両)の老城内および大梁路の終日通行禁止、歩道上での販売禁止などが規定されたらしい。开封名物だった三輪タクシーの営業禁止が施行されて久しいが、今度はとうとう三輪バイク全般を市街地から締め出すことになったか。また、対象は私が愛好している全封闭三轮摩托车(中国式三輪乗用車、ただしナンバープレートを登録したものは除外らしい)や、近年ブームとなっているマイクロカー的な四輪車も含まれる。道路清掃車や障がい者用介助車は除かれる。さらに違法改造車の走行も禁止され、違反者には罰則も設けられる。
また、低速电动车、すなわち電動バイクや老年代步车(高齢者用カート)等に対する規定も強化され、通行禁止・停車禁止・時間帯による通行制限などが設けられた。
开封骑电动车的人必看!市区电动车管理将有大动作!
要するに、道路の拡幅がままならない老城内の主要道路へ多種多様な車両が溢れるのを防ぎ、自動車だけを最優先でスムーズに走らせようというのが趣旨なんだろう。混雑回避だけでなく、路上における「流れ」維持も重視されている。自動車運転者に予測しがたい低速車両が入り乱れることで事故を誘発する。日本なら歩行者や軽車両の動きを常に予測し配慮して運転することを免許取得時に習うが、教習を受けていない運転者もずっと多い中国では規制をかけていくしか事故を減らす手立てがないのだろう。それは理解できる。
けれど方向性的には間違っている気もする。道が狭く混雑しやすい区域だからこそ、低速車両を優先的に走らせるべきなのではないか。共存できなくて事故が多いなら、老城内で保護されるべきは歩行者、軽車両、低速車両、そして公共交通であるべき。それと自動車ドライバーのマナー向上も同時に進めるべきだ。不用意な加減速・駐停車・転回・煽り・車線変更・信号待ちでの口論・暴力、挙げだしたらキリがない。単なる金銭や拘束といった処罰だけでなく、そろそろ講習や矯正も必要となってくるだろう。自動車運転者ばかりを甘やかしてはいけない。せっかくマイクロカーみたいな低速車両がブームとなってきたのに、水を差すような政策ともいえる。开封を愛する者として、撤回や政策転換を促したい。

大梁路公交专用通道

大梁门から郑开大道へと続く東西方向の幹線道路、大梁路に公交専用レーンが設置された。停留所のある最も内側の車線にオレンジの線が描かれ、一般車は走行しないことに気づいた。

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バス専用通行帯
また、大梁路自体の拡幅改良工事も同時に行われたとみえ、従来の歩道と二輪車専用道を合併して自動車道を1車線増やした。これにより片側3車線となり、一般2・バス1の分離通行が可能となる。とくに城門に近い辺りはラッシュ時の渋滞が著しかったので、随分改善されると思われる。

金明广场信号機設置

かつては市街地の西端、将来的な都市計画では新市街と旧市街の境界で开封市全体の中心になるとされている、金明广场。長らくラウンドアバウト(ロータリー式交差点)として、都市へ流出入する車両や環状道路金明大道を往来する車両それぞれを、停止も高速通過もさせない絶妙な速度で捌いてきた。しかし近年の自家用車普及はめざましく、貨物車両なども合わせて交差点内に際限なく進入すると低速流動では効率よく捌ききれなくなったとみえる。ついに、信号機が設置された!!

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金明广场が信号交差点に!
自動車だけでなく自転車や歩行者までもが車の流れに交じって目当ての道までぐるぐる回ったのは過去の話。歩行者や電動バイクは横断歩道を渡る時代に。

鼓楼广场通行区分(既成)

2013年に再建された鼓楼に対し、東方向へ通行する車両について鼓楼の土台部分をくぐる車線と外側を迂回する車線で種別により棲み分けがされている。すなわち一般車およびタクシーは土台部分をくぐり、公交バスおよび電動バイク二輪車は外側を迂回する。これは鼓楼广场で乗降停車するバスに対し、他車両が詰まって混乱するのを防ぐ効果がある。市内最大の繁華街にして集散離合地の鼓楼は間違いなく乗降が多いので、安全な停車が求められる。二輪車ならバスと楼台の間を通行でき、全車両が円滑に鼓楼を通過できる。尚、西方向へは一般車およびタクシーの通行はなく(禁止、東向き一方通行)、バス及び二輪の外側迂回だけが存在する。

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鼓楼へ向かってくる車両の分かれ目風景
これは鼓楼再建と同時に施行されたルールで、今回はじめて知ることではない。しかし、観光目的で鼓楼に登り楼下を通行する多様な車両のスムーズな流れを眺めると、改めて精巧なしくみだなと感心せずにはいられない。

高铁开封北站

これは市内交通ではなく対外交通上の途中駅ではあるけれど、开封市が今後も市街拡大・発展してゆくうえで重要な駅となりうるので言及しておく。2014年末の城铁宋城路站につづき、2016年9月に開業した高速鉄道専用駅。その位置については敷設前よりずっと注目してきたが、結局開業するまで特定できず忸怩たる思いがあった。高速道路の开封ICに近い市北西部に位置し、一帯はようやく高層住宅が建ち並び始めたところだ。駅が完全に市街地に取り込まれ一体化したと認められるにはまだまだ時間を要する。やっと高铁における开封の一玄関口として周知されかけてきたところだから、在来線の开封站と同格の地域密着を達成するには程遠い。
この駅で特筆すべきは、駅前広場に隣接する公交乗り場だ。中国では、日本のような地下鉄主要駅などに設けられるターミナル乗り場が滅多に見られない。伝統建築の回廊を模したようなバス乗り場は、将来的に市内公交だけでなく城乡公交などが乗り入れるようになっても乗車位置を整理でき、利用者を円滑に誘導できるだろう。

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开封北站(駅舎と市バス乗り場)
jaike.hatenablog.jp

公交14路の車両変更

今回は开封公交について特記する項目を設けない。上述の北站公交乗り場でも半分くらいの発着路線は掲示された経路を見なければピンとこないほど、既に系統が多様化して把握しきれない。幸い、概ね2009年までに既成の系統(概ね33路まで)は外环路内においては大きなルート変更はなく、路線番号だけで脳内地図に経路を描くことができる。今後はそれらの気づきを取り上げていくことになろう。
前回2017年の視察で8路の車両変更について記したが、同様に14路もマイクロバスから軽快車へ移行していた。この2路線は市中と近郊を結ぶやや特殊な系統で、車掌こそ添乗していなかったが均一運賃ではなかったはずだ。今回14日に宋城路站から乗車してみて他路線と違和感なかったので、同化されたものと考えられる。たしか起点が火电厂だった気がするので、市東郊の住民にとっては城铁で郑州行くのに便利になるよな。

道路の造成・改修

曹门大規模改造

明清代城壁の曹门外(曹门大街と东环路の交点)で今回見た最大規模の工事が行われているのに、18路のバスで通りがかって遭遇した。てっきり、いよいよ曹门復元工事か、と淡い期待を抱くも、工事の範疇は史跡である城門の完全外側であることに気づいた。この影響で、曹门大街と东环路・公园路・新曹路とを往来する者は公园路(南方向)への迂回を余儀なくされる。今回訪れたときはまだ仮設で、凸凹の未舗装道路を車体を揺らしながら抜けていた。タブレットの地図アプリ*1百度地图、Google mapでちょうど改造の変遷を辿れるので提示してみる。百度が最新でないところにちょっと威信を傷つけられた感はあるよな笑。

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地図アプリ(2009年頃)、百度地图、Google map
左画像は今回の大工事の気配が全くない時期。真ん中では迂回路がほぼ完成しているものの、まだ旧道が運用されている。そして右端では古い道筋が跡形もなくなっている。こうしてみると、今回の大改造事業の目的は城外を流れる护城河の改修と考えられる。また、この箇所は南北に貨物列車の引き込み線があり、2007年時点で既に運行停止していたがレールは半分埋もれる形で残っていた。よく18路のバスに乗ってこの踏切跡にさしかかると、レールを踏んでゴツンと変な揺れ方をしたものだ。そういう遺構の完全撤去も含んでいるかもしれない。右画像では曹门大街が完全に歪む流れとなっているが、今後の河岸開発で公園や施設を整備したとしても、よもや新曹路と分断するような設計にはしないだろう。西の大梁路と繋がる市中貫通の超重要道路なのだから、さすがに自然な車の流出入に反するような道路網設計はできないはずだ。どのような景観の曹门口が出来上がるか、楽しみにしておこう。

武夷路改修

武夷路は、开封大学と西郊乡の間、航天大酒店の南向かいから晋安路まで南北に延びる道。开封大学に最も近い夜市として日本語コーナーの打ち上げによく訪れた。はじめてウサギの肉を食ったのもこの夜市だ。今回大梁路を通りがかったら入口が封鎖されていて、工事中と判明。近年西郊乡の交差点が五差路から十字路に変更され、航天大酒店の前の道が少し整備された。また新たな区画整理が施工される兆しかもしれない。

迎宾路南段改修

迎宾路が省府西街から西门大街まで南北に貫通したことは2017年に報告済みだが、今度は従来の迎宾路(南段)を改修し始めた。対象区間は既存部分でもとくに包公湖橋上をメインとするようだが、さきの延伸区間対面(すなわち省府西街南側)から封鎖は始まっており、そのせいで東西往来は再び混雑していた。工事区間の南端は客运西站の前辺りで、汽车站自体は閉鎖しておらずバスも何とか出入りできるようだ。ただでさえ排ガスの汚いバスが頻繁に出入りするうえ工事の土埃が舞い、沿道の空気は最悪だった。

包公湖橋上の工事風景
右端のクレーンがその片鱗。本来美しい湖を撮るために現場の映り込みを回避したので、これがズラリと並んでいると想像していただければ良い。

外环路东北段工事

塔公园の北側をぐるりと回る環状道路であったが、近年その弯曲部分をまっすぐな道路に修正し、南北の东环路と東西の东京大道に分離させて北東部の市街地拡大が進められていることは、それなりに感知している。河南大学学生寮のほかは集落と田畑くらいしかなかった仁和屯だが、いつしか宿舎は新興団地に囲まれるようになったようだ。その軸を成す东京大道の、解放路との交差点以東が工事区間になっていた。

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东京大道寸断地点
解放路から城壁を出たばかりの交差点。画面奥が黄河へ向かう道、本来なら左から右へ东京大道が貫いているはずなのだが、右側はフェンスで封鎖されている。したがって交差点は丁字路状態。外环路が形成されたころから既に東西南各方向へ市街拡大は進行していたが、北方面だけはこの东京大道が明らかな辺境状態を保ってきた。いよいよこの辺りも本格的な開発への着手を予感させる。と同時に、铁牛村の铁犀はどう保護されるのかなってのも気がかり。

魏都路延伸

魏都路の火车站西側近くまでの延伸については、出発前に把握し以下で言及している。
jaike.hatenablog.jp
現場確認として訪れるも、まだ中山路までの貫通は果たしていなかった。上の記事で「ホテルに阻まれる」とあるのは中山路第一小学校の誤り*2で、既に解体寸前の様相であったので近日貫通するであろう。とりあえず北折れして中山路と五福路の交差点に接続されており、既に通常運用されている。

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Y字路からK字路に
右奥から右手前へはしるのが従来の中山路、左奥方面が五福路、そして左手の黒い車が停止しているのが新設の道路である。中山路が最優先道路のはずなので、この信号交差点は複雑なものとなるだろう。ところが、最新の百度地图を見ると新設の道路が中山路と命名されており、今後火车站周辺の道筋や優先性が大きく変更される可能性がある。
新?中山路出現

各施設やスポットの変化

三毛时代广场改修?

开封市内に超市から便利店まで大小さまざまな店舗を展開する三毛(Sam's)。その総本店ともいうべき三毛时代购物广场、通称大三毛(中山路中段 相国寺交差点(中山路と自由路の交点)南西角、州桥前に所在)が改修あるいは閉店のため、解体工事に入っていた。帰国後に調べると、既に百度地图上から消し去られており民間情報も極端に乏しくなっていることから、完全閉店が正しい見方のようである。愛称が示すように同地のランドマーク的存在感があっただけに、日本のように大型SCは郊外に展開していく時代とはいえ寂しい限りである。ちなみに三毛の本店(および本社?)は、西郊の汉兴路にある三毛未来购物广场らしい。また、三毛は地元に根ざした企業であることを忘れてはならない。开封が育み、ともに発展してゆくのである。
开封三毛集团

开封星消滅(东京外城遗址公园)

大梁路と夷山大街の交差点北東角にあった开封星(小惑星の一つ)纪念碑が姿を消した。移設されたのか、撤去されたのか定かではない。詳しくは以下を参照のこと。
jaike.hatenablog.jp

护城河各所改修

明清代城壁のすぐ外側をぐるりと流れる環濠のような河、护城河。この河岸改修工事が交わる道の随所から見受けられた。いったん緑地化された明伦街口(东京大市场跡地)の再開発もそうだし、先述の曹门大工事も然り。また、大梁路の南側でも大規模工事の様子が垣間見えた。長年生活ゴミや排水を集めて腐臭を放ち、开封の汚点でもあった护城河が改修され環境改善されるのは望ましいことだ。しかし同時に、これまで河岸で栄えていた夜市が立ち退かされるという新たな弊害(城管などお上にとっては好都合)を伴う。东京大夜市は言うに及ばず、大梁路の橋詰近くにも夜市があったのを記憶している。公認の場所に集約して管理・監視しやすくするのかもしれないが、本来夜市は自然発生的な市民交流の場だけにどんどん見失われる恐れが懸念される。

明伦街阳光湖

明伦街の河大南门から城壁にかけての南側沿道に建ち並んでいた商店群が一掃され、店店の背後に隠されていた阳光湖が姿を現した。詳しくは以下の該当項を参照のこと。
开封朋友との再会結果 2019 - 南蛇井総本気

外観古装

宋都御街や书店街といった従来からの景観保護地区のみならず、市内随所で外観を伝統建築風に塗装あるいは改修した建物が目立つ。都市全体で街並みを古都の装いに造り替えてしまおうという意図が感じられなくもない。

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火车站广场向かい
百度地图全景(中国版ストリートビュー)で照合すると、数年前はちょうど屋根の部分に広告板が載っており元からこの造りだったと考えられる。わざわざ今になって広告板を撤去するのも怪しい。
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2016年5月(百度地图全景)と2019年8月
苹果园公交站付近。これは見事にリフォームしているw
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2016年5月?(百度地图全景)と2019年8月
泊まったホテル锦江之星の斜め向かい、中国邮政储蓄银行の入居するビル。ホテルの窓ガラス越しでやや不鮮明だが、「如何にも」な装飾の屋根が際立つ。
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2014年3月(百度地图全景)と2019年8月
汴京饭店。西欧風の豪華絢爛な造りからグレー基調の質素な外観に変貌した。なお、2016年時点で既に改修済み。このように1,2年内外の急変ではなく数年前から徐々に進められているようだ。

おわりに

たしかに今年2019年は建国70周年の節目ではあるが、これらの改修ラッシュは北京五輪を控えた頃のような本格性が感じられる。ただ無闇に集中的に大事業を展開して市民に国威を見せつけるのでなく、一つ一つ十分な計画のもとに将来像をしっかり描いたうえで遂行してほしい。それぞれの改修事業に开封の未来が託されている。次回を乞うご期待。

*1:ラベル非表示は出来ず

*2:2017年帰郷のとき深夜に飛び込んで「満室」と一蹴された7天酒店(开封火车站店)は、もっと火车站广场に隣接している