南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

近鉄南大阪線系の旅1:橿原神宮、御所

夏にビッグイベントの中国行きをやったので、コンパクトなリフレッシュ旅を企画。前々から目を付けていた、近鉄の週末フリーパス(4200円で、土日を含む連続3日間、近鉄全線乗り放題)を使ってみようと。近畿地方にはまだまだ未知の世界が多い。3日間もあれば存分に乗りつぶせそうな気がするも、生駒山周辺と南大阪線沿線に絞りバリエーションの豊富さから後者が選ばれた。南大阪線とその枝線が前身会社による敷設と合併の経緯から狭軌であることはさして関心ないが、その沿線地域はほとんどが未踏*1で非常に興味ある。河内長野とか富田林とか、耳にしたことはあれど全然イメージがつかない。行程は旧国名でいうと山城と河内にまたがる。また沿線「津々浦々」は全国っぽいし、「ぶらり途中下車」も違和感ある。結局シリーズタイトルは企画名をそのまま用いた。尚、桜や紅葉の名勝・吉野についてはそのシーズンに訪れたくもあるので敢えて割愛。きっぷは前日購入のため2週間前に名駅で購入。乗車日指定。近鉄全線乗車券と、葛城山ロープウェイ割引券の2枚セット。事前購入は予定が定まるから気分が高まっていい。

奈良盆地ニ至ル

今冬一番冷え込む早朝、軽い朝飯を摂って出発。名駅12系統だと市バス1本で行けるが庄内橋や名駅周辺での道路状況による時間が読みづらいため、上小田井に出て名鉄線を利用する。名鉄名古屋近鉄名古屋の両駅が隣接していて乗換至便なのも理由。名古屋線では日光の当たる左側に陣取って車窓を眺めていく。伊勢や奈良方面とを頻繁に利用し、GWには自転車でも走ってだいぶ見慣れた風景となった。それでも富田駅を発して直ぐの城跡なる小山や、海蔵川など新しい発見?もある。往路は乗継がやや細かくて、伊勢中川と名張を挟んで大和八木へ。十字交差の橿原線橿原神宮前に到着。アパートを出てから実に4時間、名駅からでも3時間かかる。フゥ

橿原

標準軌狭軌でY字を成す駅の中央口へ出る。工事関係車両を案内板の前に停める非常識さに呆れながら、軽い空腹を覚えつつもそのまま南大阪線の線路伝いに歩き始める。

橿原神宮

こんもりとした鎮守の森、久米寺への小さな踏切を見て神宮の入口探し、終始表参道を避け裏から入る格好に。でも本来この池で手を清めるんだから間違いじゃあるまい。
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神武天皇を祀るため1890年に創建された、130年と比較的新しい神社。拝殿は東向き。

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年の瀬で参拝者も少なく落ち着いてお参りできる。仮設テントでは日向国より東遷される神武天皇の物語が絵図で説かれている。
設営真っ最中のテキヤを行きに辟易せず良かったと思いながら表参道を退出し、南大阪線を渡って駅西口へ。めぼしい食堂もなく、値引きされたコンビニ弁当を8%税で買ってイートインで食ってやった。温めや包装廃棄でも何も言われんかったし。

久米寺

予定の電車まで十分に時間が余り、久米寺もお参りしていく。

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そのまま橿原神宮西口まで歩いて行けちゃいそうだけども、あくせく歩き回るのはやめとこう。また、寺が面する道沿いには趣きある家屋が建ち、街道か何か古い道だなと思わせる。
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南大阪線デビュー

本旅の主役、近鉄南大阪線に乗車。狭軌と呼ばれる線路は神宮参りの折に身近で見たけれど、まぁほんの30㎝程の差だし感覚的にしか分からない。でもそんな一般人には分からない微差が、近鉄路線網において南大阪線系が他線と車両を共有できず独立した営業展開を続けているなんて不思議だよな。アーバンライナーもしまかぜも乗り入れてこない主要路線。
一駅一駅足元を確かめるように準急で尺土へ。浮孔とかウヒアハみたいで面白いよな。高田市には駅近の宿を取ろうと思ったのだけど、年末年始やらなさそうだったので回避。
南大阪線にはアーバン風の吉野特急「さくらライナー」と、

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青の交響曲(シンフォニー)
ちょうど尺土駅に入場してきたところを撮影。「さくらライナー」も、通過駅ホームを流れていく柔らかな薄桃色の車体が綺麗。

御所

前述のように橿原や明日香は家族旅行で、JR桜井線・和歌山線乗り鉄旅で行ったことがあるものの、御所(ごせ)という町は聞き覚えがあるに過ぎなかった。2両電車の長閑な御所線に乗って、午後はノンビリ御所満喫とする。尚、週末フリーパスに含まれる葛城山ロープウェイ御所駅より近鉄バスで約20分の山麓にて利用できる。滞在時間内におけるバスの発着時刻や近鉄との接続、町歩きとの配分等が芳しくなくて、今回は諦める。

御所まち散策

「御所まち」とは江戸時代初期の陣屋町で、奈良中南部の中心地として栄えた。現在はJR線の東側に広がり、葛城川をはさんで商業都市の西御所と、寺内町の東御所に分かれる。江戸時代の検地絵図がいまでも使えるほど、町のかたちはよく残っている。年末年始ということで観光案内所や資料館が休み、スマホ以外に散策マップを入手できないので街角にあったこの検地絵図を頼りに歩いてみる。
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和歌山線を越えた先の商店街の雰囲気がなんとも言えない。

西御所

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まず、保存地区の規模と状態にとても驚いた。入口の町屋ぐらいは「あぁ、ここからか」と思う程度だったが、町に踏み入ると最早どの道どの筋歩いても旧家が建ち並んでいるというぐらいそこかしこに残っている。十字路の四つ角のうち3つが町屋なんてスゲェ。今まで数多くの保存地区や街道の宿場町を見てきたつもりだけど、これほどまとまった数が一帯に溢れかえっている町は初めてだな。ハンパじゃなくて歩き回りながら感激しまくり。

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西御所の町並み
それでも一応住宅地の中に散らばっているので、正月準備にいそしんだりや家族親戚を出迎えたりする住民の車には十分注意しないといけない。観光らしき人は滅多にいない。中心部の大きな造り酒屋は年末まで慌ただしく稼働している。
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二階の窓の形や壁塗りが多様で面白い
注目どころめぐり
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衝波除石(柵の奥の石)
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イカチ(西柏)の巨木
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二間幅の道(たぶん)
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鉤型の道
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遠見遮断
ここは冒頭画像のちょうど裏にあたるのだけど、東御所まで一通り見終わって戻ってくるまで気づかなかった。高札場に立つ案内板には、「古い瓦には職人の刻印が押されている。町内に10数か所(忘れた)あるので探してみては」とあり、もう一度西御所だけ瓦を注視して歩いてみたら5箇所ぐらい見つけられた。閑静な町なので縦横無尽に歩いているだけでも満たされるが、テーマを作ると一層楽しめる。

東御所(寺内町

西御所よりは若干まばらな感じもするが、こちらもよく残っている。

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東御所の町並み
中心の大きな寺院、円照寺
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町はずれの吉祥草寺
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本来は円照寺を核とする城下町みたいな意味合いだろうけど、「寺の内」という意味ではこの二つに挟まれた(護られた)地区でもあるよな。
葛城川を渡って駅へ戻るとき、山のほうで雲間から光が差し込んで神秘的な光景に。
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神仏降臨?

大淀(下市口)

日暮れとともに寒さが身に沁み、30分早めの撤収。一人旅で初めて乗る吉野線橿原神宮前で各駅停車となる急行は、阿部野橋はもとより南大阪線の主要駅ならどこでも利用でき乗継なしで吉野方面に行けてしまう。本旅の宿を吉野目前の沿線山あいにとったワケもその交通至便にある。しかし大阪直通だけに吉野線も地方交通や観光路線を脱し、もはや都市近郊型の通勤路線に豹変した。利用客も旅行者より、都会とを毎日往来するような人々のほうが明らかに多い。すっかり大阪都市圏に取り込まれてしまった感がある。今回それを存分活用する旅だけに非難めいたことはいえないが。
橿原で乗車率はぐっと落ちる。JRと接続する吉野口以外はしんとした駅ばかりで車窓も真っ暗。単線で、頻繁に行き違いや時間調整停車がある。ちなみに御所から吉野口まではJR和歌山線のほうが断然ストレートで速い。近鉄フリーパスの今回は遠回りとさえ思わないが。下市口駅は自動改札機がなく、駅員にフリーパスを見せる。
駅裏のローソンは23時まで。片田舎にしては遅くまでやっている。正月休みでほぼ全てシャッターの下りた駅前商店街。ネットでチェックしてきた飲食店は営業してるかな。

旅館 松月館

駅から徒歩5分余り、吉野川近くの小さな旅館。素泊まりで2泊してもビジネスホテル1泊程度の安さから、本旅の拠点とする。料金払ってキーを渡され2階の部屋に通される。宿でふすまの戸に鍵をかけるなんて初めてかもw 2人では狭すぎるという4畳半、実際に入ってみて納得。でも無線LANにミニ冷蔵庫完備としっかりしている。

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松月館
宿主さんに声かけたおかげで、どんちゃん食堂はやってると確認できて良かった。ラーメン屋と定食屋が調理場で一続きになった店。普段自炊で食べているような「豚野菜炒め定食」でお腹いっぱい。今回はあまり食にこだわらないつもり。引き返して旅館前を通り過ぎ、少しだけ探検。もう一軒目をつけていた中華料理の来来飯店はちょっと小綺麗ぽくて大衆食堂じゃないな。ちかくのローソンで明日の朝食を買って戻る。
それにしても奈良のドライバーは横着いな。とんでもない角度と勢いで曲がってくるし撥ねられそうになった。狭い道でも結構飛ばす。名古屋と同レベルかそれ以上にヤバいかも。
交代制の風呂に合間を縫って浸かり温まる。30日最終日の予報が雨天と定まってきたので、古市古墳群を明日午後にもってこれるようプランを大幅に改編した。早めに休もうと思ったのに鉄道時刻などを弄っているうちに0時をも回ってしまう。畳の敷布団はやっぱり休まる。

つづく

*1:橿原と明日香のみ訪れたことあり