南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

近鉄南大阪線系の旅 3:富田林、河内ニラそば

窓の外がちっとも明るくならないまま起床、みそ汁付きの朝飯を食って退出する。無人の受付に鍵を置いていくよう言われており、見送りのないチェックアウト。玄関の感知ブザーは鳴るものの、朝は宿主も確認にこない。結局チェックインした28日以降、一度も宿主と顔すら合わせていない。随分寂しい気もするが、休業していてもおかしくない年末年始に寝床を提供してくださるだけでも有難いことだ。また、温かい風呂、無料Wi-Fi、外出時に施錠していったにも関わらず布団やテーブル周りを整えておいてくださるなど、料金以上に行き届いていた。快適な2泊をありがとう。
断続的に降り続いていた雨もこのときだけはやんでおり、昨日以上にギリギリの出発で商店街を小走りに駆けのぼる。踏切を電車が通過し、あぁ30分後に遅らすかな、と思いきや、まだ上下交換で停まっているではないか。私が躊躇いがちに改札へ近づくものだから、駅員も戸惑いつつホームの車掌へ発車を待つよう合図し切符も見ずに乗車を急き立てた。てっきり対向電車が来るまで停まっているものだと勘違いしてたら、ただの時間調整だった。朝っぱらからご迷惑かけました。

富田林

あいにくの天気だが訪れておきたい町、富田林。こちらも駅から程近いところに古い町並み、寺内町が残っているのらしい。初日に好天の御所で満喫したぶん、雨の中を歩く寺内町も対照的でいいよなと敢えて今日に充てた。とはいえ丸々2時間も晒されるのはしんどいので、コノミヤで暫し調整して小降りを見計らい出陣。
楠公道路から東高野街道へ入る形で、伝統建築保存地区へ。

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頼りになる案内図
ここは、御所よりすごかった! 江戸時代から昭和初期にかけての町屋がほとんど現代家屋を挟まずに建ち並んでいる。御所よりもさらに密が濃い。メインストリート城之門筋の交差点に立ってみれば、まるでタイムスリップしたかのようだ。
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奥谷家
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町は丘の上に築かれており、少し下ると近代建築も残る。
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中内眼科
富田林寺内町本願寺一家衆興正寺別院を中心とした、宗教自治都市であるといわれる。
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興正寺別院
寺より南には比較的古い時代の建物が多い。
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東高野街道との入口では火器の持込を取り締まり、大火を防いだ
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重文の旧杉山家
「明星」などで活躍した歌人石上露子(いそのかみ つゆこ)の生家でもある。美貌の肖像写真を見たとき、明治新政府の女子渡米留学の一員かと思った。
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屋根瓦の重なりが気になって
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雨脚がやや強まり、1時間余りで引き揚げ。主要な町屋の戸口には説明板が付されており、資料館やじないまち交流館が閉まっている日でも十分に楽しめる。悪天候でなければもう一回りしたいくらい、見ごたえあり名残惜しい。

河内ニラそば

ここまでコンビニや大衆食堂等で3食済ませてきたが、一度くらい地域色のあるもん食っていきたい。と、沿線の名物やB級グルメなどを散々引っ掻き回して検索した*1結果、地産地消を掲げ地元産の野菜を使った飲食店を数多く紹介している松原市が目に留まった。
まつばら味さんぽ2018電子書籍版)
しかし、駅近の店を精査しても「松原バーガー」以外にあまり魅力が感じられず、唯一ぜひ行きたいと思ったのが河内ニラそばを提供するラーメン三宅吉祥だったのだ。松原は難波葱の産地でもあるそうな。だが、最寄りの河内天美駅からでも徒歩約20分(約1.5km)と離れており、高速のインターに近く公共交通はない。ほかに目ぼしいところもなく、他サイトの口コミからもどうしても食べたい欲が募り、知らない夜道は危険と昨夕を断念して最終チャンスに賭けることに。帰りの近鉄大阪・名古屋線の既定スケジュールを侵さぬよう、昼時の込み具合も踏まえ十分に余裕をもった滞在時間とする。旅先で思いつきのネタは如何に。
15分早めに移動した分、分かりやすい最短ルートがないだけにあっさり遠回りしてしまい、工場やSC建設予定地など開発途上の殺風景なところを放浪する余裕ができてよかったw 拡幅された県道へ出る頃にはいったん雨もやみ、迂回しても意外と距離のないことがわかった。

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ラーメン三宅吉祥
県道に面さずコンテナ改造の店舗だと聞いていたが、コンテナはともかく県道に面し未舗装ながら約15台の駐車スペースがある。正午少し前とあって幸い来客は少ない。テーブルに着くや否や、迷わず一番人気の河内ニラそばを注文。
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河内ニラそば
冷めぬよう、「焼いた石が2つ入ってます」と言われる。箸で探ると小石が2つ感じられる。濃厚な味噌スープに葱とニラが埋め尽くすように浮かんでいる。物珍しいから食べにきたけど、よく考えたら味噌台湾ラーメンだよな、これ。と名古屋もんの枠に嵌めてしまいながら、味わってすする。辛さはそれほどキツくないが、葱とニラの香りは食後もずーっと口に残る。三大スタミナメニューというだけにこの量で物凄く腹いっぱいになる。まるで駅との程よい距離は、ニラそばを美味しく食べられるだけの空腹を催し、電車に乗れるだけの腹ごなしをするためかのようだ。税込858円、ごちそうさまでした。

おみやげ

日程上ゆっくりおみやげを買うタイミングが少なく、また駅売店に地元みやげの見当たらないことを憂慮していた。最終観光地の富田林で何か探そうと考えていたら、こんな和菓子店を見つけた。
御菓子司 かつら屋
なかでも「大阪産(もん)」と呼ばれる、大阪の農産品であるぶどうやイチジクを用いた風土銘菓河内もなかに魅かれる。富田林市内の本店はやや不便だが、のちの道明寺線柏原と大阪線堅下の乗継ルート上に柏原店があると知り寄っていくことに。
ところが、河内ニラそばが想定以上に早く済んでしまい、道明寺線待ちがてら古市駅前の近鉄プラザ内にある銘品店で買えてしまうことに。独立店舗のかつら屋店内に閉じ込められて買わざるを得なくなるより、スーパーの一角の銘品店のほうが気楽に吟味できる。目当ての河内もなかと、イチジク餡をつめた饅頭河内のいち押しを各々3個ずつで1500円のセットを購入。サンプルをそのまま蓋して包みだすので些か唖然とした。ラス1だったんかいw 老舗の和菓子屋なので、ちょっと高価なお土産である。

道明寺線

今回これといった鉄道ネタもなく沿線を乗り遊ぶことに専念してきたが、出口だけは道明寺線と決めていた。大阪線南大阪線を接続できそうなほどに接近しながら、大阪線堅下駅と道明寺線柏原駅大阪線安堂駅と道明寺線柏原南口駅は隣接せず一旦改札を出て数百m歩かないといけない。これを最後にやってみたくて、前者の堅下~柏原間を乗り継いでみる。南大阪線道明寺から大和川を渡るだけの道明寺線。現在では毎時2本の零細枝線だが、歴史は近鉄路線で最も古く長野線とともに今の南大阪線より先に開通したためまっすぐな軌道をしている。JR(国鉄)の柏原駅に乗り入れているのも貨物輸送が目的だったとされる。
柏原はJRの管轄駅で、近鉄の改札口がない。降りたホーム上にIC改札機をタッチするようクドいまでの表示がある。近鉄企画きっぷの私は自動改札機に通しちゃマズいと思い、駅員に提示して出札。駅前の道をそのまま行くと小学校に突き当たり、左に一本ズレると間もなく堅下駅だ。案外巨大ターミナル駅とかの連絡よりも短いのではないか。むかし家族旅行で乗り換えた田原本~西田原本も当時不思議だったけど、近鉄発展の過程でいろいろあるもんだな。

帰路

堅下からの普通電車を河内国分で急行に乗り換え。普通の車内アナウンスで「五位堂までこの電車が先に参ります」というのをスルーした。つまり緩急乗継は五位堂のほうが短時間で済むが、座席は早めに確保できる。このさき伊勢中川まで直通なので早く落ち着きたい。大阪線の急行がクロスシートなのはビックリ。あまり期待してなかった。伊勢中川では名古屋行き急行の乗車ホームをめぐり右往左往したが、20分もあるのを忘れていた。夏の時もそうだし、伊勢中川の接続は勘違いが多い。同じホームから特急名古屋行きや大阪行きが発着してゆき、大きな荷物を抱えた帰省客が徐々に片付いていく。名古屋線でも座っていきたい私にはホッとする光景だ。結局扉付近に座れて、転寝はさみながら帰ることができた。ちなみにこの急行、なばなの里イルミネーション開催のため、長島駅に臨時停車する。18時帰着。夕飯も名駅の外食で済ませず、予定の市バスで帰宅。ちょっとだけ打ち上げをした。

近畿地方の一空白地帯が既知の世界になった。また、長期休暇で出不精になるのを危惧しての企画だったので、連日しっかりウォーキングできて良い運動になり一石二鳥。

*1:その割には、近鉄の車内広告にあった「富田林コロッケ」が全くかからなかったのは不思議