南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

信濃路の旅 2:JR小海線

信濃路の旅 1:静岡丸子宿・岳南電車、山梨下部温泉よりつづく)

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旅館からの眺め

5時半ぐらいからだいたい目覚めていて、おにぎりと味噌汁の朝飯を摂りゆとりもって旅立ち。もともと07:12発の電車を予定していたが、ちょうど出発時に踏切の音が響き06:52発の電車が入場、十分乗れたね。

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メロディーブリッジからの下部川風景

今日は「山の日」、甲信地方の山々を余すことなく挙げていきたい。

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いずみ旅館と丸一食堂

さらば、下部温泉

甲斐路回想

下部温泉無人駅なので、今日の18きっぷ日付入れは終点の甲府駅でしてもらうつもりだった。ところが甲斐岩間付近で車掌が回ってきたため、利用以来初めて車掌による日付入れをゲット。車掌のネーム印と日付・列車番号を手書きで記入される。スタンプ1発でないだけにちょっと手間。
身延以北の明るい車窓は初めてだけれど、ロングシートなのでちょっと味わいづらかった。地方路線としては軽快な感じはするが。甲府盆地に出ると意外と乗降が目立つ。前回は暗闇に佇む駅舎が見えたか定かでない南甲府*1、今日はウッカリ見過ごした。
甲府の中央線乗継は30分近くある。甲斐路2日目、駅前からちょっと舞鶴城公園に登って冠雪の富士山を撮ってきた記憶があるのだけど、10数年の間に甲府駅前は一変したらしく、ビルの陰で全然公園の姿が見えない。こんなに隔絶されたのかと愕然とした。また北口も開発が進んでいるようで広場にチラと見える藤村記念館など興味を引く。
30分くらいの短時間で途中下車し観音像を間近で撮ろうとした韮崎。見上げながら近づいていったため駅への効率よい戻り方がわからず、またも予定の電車に乗り遅れる羽目に。幹線のわりに普通電車の本数が少ない中央線においてこれは致命傷となり、適切な時間に帰宅するために塩尻で逃した普通を追い越すためワイドビューしなの木曽福島まで乗る(運賃と特急料金を別途支払う)という18きっぷ旅として苦渋の選択をする。結局平和観音像は車窓から夕陽のシルエットで撮影している。今思えばあれは車窓から遠望するほうが美しいんであって、今回急斜面の上にたち陽光に眩しく輝く白い観音様を見て、足元を目指すものじゃないと改めて思った。

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日野春駅より望む南アルプス

甲斐路行で小淵沢駅から甲斐駒ヶ岳を眺めたのと重なる。

小海線の旅

本旅で唯一となる非電化路線トリップ。鉄道ファンや家族連れなどで小淵沢駅ホームは大混雑。駅弁にちょっと魅かれるも小諸まで我慢。

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小海線の起点

駅から八ヶ岳、は見えないか。
関西線亀山~木津間に似たレールバス二両編成では、席を確保できるだけ幸いの様相。それでも僅かな間隙を狙って窓端の席を狙えば、ボックス席のようにもたれながら景色を望める*2。まだ暫くは山梨県。ファームで耳にする清里など夏休み向けイベントをやってそうな雰囲気があって沿線もわりと賑やか。
ところで、小海線は愛称を八ヶ岳高原線という。私は長年この高原という語を正しく理解していなかったようだ。てっきり北海道の富良野とかのような丘の点在するファーム地帯だと思い込んでいた。高原と聞くとすぐ牛乳を思い浮かべる。〇〇高原牛乳という名称は多い。だから牧場がいっぱいある地形だと勝手に想像していた。もちろん八ヶ岳高原以外にも全国各地の高原を既に幾度も訪れているはずなんだが、とくに意識せず解釈を改めてこなかった。
今回小海線に乗ってみて、なんだ、普通の山里じゃねえか、と拍子抜けした。そもそも高原の定義は、

標高が高く、連続した広い平坦面を持つ地形である。標高の高い平地、起伏が少ない高地という表現もできるが、高原と高地の境界は明確ではない。
高原 - Wikipedia

つまり山間でも盆地でも、標高が高く平坦な土地が広がっているということだ。たしかに低地のように広々とした平野だ。

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高原風景

そして、野辺山駅はJR線で最も標高の高い駅である。

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JR線最高駅野辺山

ただの里山風景でも標高の高いことがミソであると学んだ。
主に沿線東側の車窓を眺めていたので、信濃川上で長野県に入ると秩父山地を間近に望むことになる。ふと、この時期に航空機事故のあった御巣鷹山に接近するのでは、と鎮魂の思いで山々を見つめてしまう。
このシーズンはほぼ観光列車なので、主要駅は家族連れの乗降で賑わうが大半の駅は閑散としている。車内の空気がガラッと変わるのは新幹線の接続する佐久平。大きなスーツケースを転がした乗客で混みあいながら小諸へ。ちなみに折り返しとの時間にもっと余裕があれば、しなの鉄道の中軽井沢へ足延ばして「あってり麺」*3を食べる思惑もあった。

小諸

小諸駅に降り立って愕然とした。駅前にコンビニが一軒もない。すぐ食べられそうな飲食店も目につかない。信州そば目当てに駅弁スルーしてまで終着駅を目指してきたがアッサリかわされた。せめてお弁当買って懐古園で食べようという目論見も外れた。駅の売店で手作りパンを買い、空腹を宥めながら懐古園へ。

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小諸城三の門

1487年に築かれた小諸城は幾たびの拡張・改造を重ねられたが維新後に廃城処分となったところを、神社を祀り造園して懐古園と名付けられた。陳列館である徴古館を外し、散策券(300円)で園内をのんびり見て回る。しかし随所にある売店で軽食を物色し、終始そわそわ(笑)
城門以外の建築物は残っていないが、天守台などの堅固な石垣は現存している。

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小諸城の石垣群

さきほど小海線の長野県内をずっと寄り添ってきた千曲川

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水の手展望台の眼下に千曲川

小諸城はこの千曲川を背にして築かれており、また大手門から本丸方向へ土地が低くなるように造られている。川と絶壁が絶対的なバックとなるので、このような構造の城になったようだ。のちの大手門にて得た見聞。

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徴古神社と鏡石

地下道で鉄道線を越えて、小諸城の表玄関大手門

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小諸城大手門

楼に登ると、城全体を見下ろすような地形構造がはっきりと見て取れる。侵入者は大手門から三の門へ鉤状に折れた通路を攻め込むため、見通しはきかない。
ロータリー近くの小諸みやげ店に立ち寄り、冷凍おやきを買う。その場で温めてもらいながら、そいえばおやきも信州名物だったな、去り際に口福ゲットを喜ぶ。車中でいただく熱々のおやきは格別だった。

八千穂

本数の少ないローカル小海線では乗りっぱなし往復が精一杯と思われたが、諏訪大社上社を今夕から翌朝にスライドしたことで一回の途中下車が可能になった。小諸より長い1時間半をどこでどう過ごすか。小海線ファンサイト - 小海線沿線のイベント、グルメ、観光、撮影スポット情報を発信します。で厳選した結果、駅前に美術館のある八千穂駅でまったりすることに。山あいとはいえ最も気温の高い時間帯なので、美術館で涼みつつ近くをぶらりとできればいい。

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八千穂駅にて

着いたら2,30分ほど、駅前のベンチでコーヒー片手にぼんやりと山を眺めて物思いにふける。夏山の空気を浴びながら、悠久のときが流れるって感じだ。この辺りで望める山は蓼科になるんだね。
奥村土牛記念美術館
奥村土牛記念美術館 | 長野県佐久穂町観光協会公式ホームページ 旅行・観光情報

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奥村土牛記念美術館

駅のほぼ正面に位置する近代建築の建物。もともと黒澤合名会社(酒造)の社屋として建てられ、佐久穂町の指定文化財となっている。画伯奥村土牛はこの離れで終戦直後の数年間暮らし、多くのスケッチを残したという。建物を資料館として整備する際、画伯から寄贈された大量の素描を展示することになったことから記念美術館として開館。
本旅ではじめて、入館に際し検温と個人情報(氏名・住所・連絡先)の提示を求められた。万が一施設利用においてコロナ感染者が発生した場合、感染経路などの確認がとれるようにだろう。以後、長野県内の見学施設ではすべてこのようなチェックがなされ、長野はコロナ対策がしっかりしているなと感心したものだ。
おもに素描作品ということで、下絵のような鉛筆画が溢れている。舞妓さんの絵が印象に残る。また、大正末期の建築がそのまま使われており、装飾や庭園に社屋としての趣向も際立つ。
パンフの案内図に示された美術館周辺の文化財を束の間に訪ね、天神社の高札場だけ見てきた。一里塚(佐久甲州街道)まではちょっと行けない。帰り際はパーッと俄雨に降られ、山の天気は変わりやすく読めないものだと改めて思う。

各々思い思いの小海線沿線を楽しんだ行楽客を回収するように、小淵沢へ近づくにつれどんどん混雑が増してゆく。ベトナム人らしい外国人客もチラホラ。昨日の吉原ほどじゃないけど、小淵沢でも乗り継ぐ電車を間違えそうになってヒヤリとする場面あり。茅野の停車時間、乗り込んできた女性客を追うように駅員がきて「ICカードの残金が不足していないか」などと尋ねチャージさせていた。改札口で駅員が逐一残金チェックなんかしてんだろうか、そしてわざわざ追っかけてきてチャージサービスまですんのだろうか。乗り越し精算機でチャージできる都会もんには分からない事情なのかも。

上諏訪温泉

温泉2泊目は、約5年ぶりの上諏訪
jaike.hatenablog.jp
前回すっかり気に入った民宿すわ湖をリピートする気満々だったが、コロナ不安のせいか1か月前まで予約フォームが開かなかった為、早めの宿確保を優先して駅近のホテルをキープ。ちょうど前回歩いた秋色に染まるけやき並木通りに面する、諏訪シティホテル成田屋だ。てっきり朝食付の予約と思い込んでいたが、出発直前の確認メールで素泊りと判明する。のちに発生する新たなアクシデントにて、素泊りで正解だったことを痛感する。ちょっと懐かしい上諏訪駅東口を南に進んで踏切渡ったらスグ。チェックインは「最上階の浴場は混雑時を避けて利用するように」と言われたぐらいで、コロナ対策上の煩雑なことは特になし。

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諏訪シティホテル成田屋の一室

湯上りやモーニングに楽しめるドリンクセットが嬉しい。窓は山側向き、朝日が入りそうで有難い。
さぁ今夜は食前にひと風呂浴びるぞ。ビジネスホテル向けのせいか、小ぢんまりとした展望温泉。かなり薄暗く足元も覚束ない浴場には2,3人気配があるも、構わず入る。露天はないが大胆なガラス張りで薄暗さも相まって、まるで夜空と一体になった気分。夜景も一層映える。源泉かけ流しの湯口には不動明王が鎮座し、パワースポットでもあるそうな。

さて、今日の夕飯は諏訪のご当地グルメみそ天丼
信州諏訪 みそ天丼 - 天ぷらに味噌ダレをかけたどんぶり
じつは前回、駅西口の飲食店頭でチラとその名を見かけ気になっていたのだ。上サイトの参加店舗一覧より、場所と価格で選んだれすとらん割烹 いずみ屋 - 信州諏訪 みそ天丼へ赴く。というか、さきほど駅からホテルまでの道すがら寄ったところ混んでいる様子だったので、チェックインと温泉を先行したのだ。時間を置いて再来しても一頻り待たされて、通されたのは二階の大座敷。ちょうど先客が退出し片付いたばかりの座敷にぽつねんと座るのは些か落ち着かない。みそ天丼をじっくり味わうため、ミニ丼のセットではなく単品(980円)。

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信州諏訪みそ天丼

ふだん滅多に食べないが、天丼というとダシがしみてふんわりとした天ぷらを思い浮かべるけれど、この天丼はカラッとサクッと揚げてあって美味しい。また海老天だけじゃなくて多彩な天ぷらがのってるのも良い。コロナ対策とはいえ、食べ終わるまで誰一人来客なしの広間独占だったw
akr6460327847.owst.jp

食後にのんびりと寛ぎながら、明日の行程をチェック。すると、とんでもない事実が発覚した。前回行きそびれた諏訪大社上社を午前中に参るアクセス方法として、上諏訪駅東口08:40発のすわライナー(毎日運行)を利用、いっぽう戻りはかりんちゃんライナーでJRに接続する運びとなっていた。ところがこのかりんちゃんライナー、平日運行だがお盆休みと年末年始は運休する。参照した上諏訪駅から諏訪大社上社本宮までのバス時刻表でお盆休みは13日からとなっていた為てっきり信用しきっていたが、念のため諏訪市のHPを確認したところ11日からだった!! 急きょかりんちゃんライナー抜きでのスケジュールを組みなおす羽目になり、大幅前倒しして07:15発内回り線へ変更。後ろへ余った時間は諏訪湖畔を散策して過ごすことに。しかしまぁ、もし知らずにゆっくり朝食摂って出発してたら、危うく今回も参りそこなうとこだった。こういう融通の利く素泊まりで良かったよ。安堵を取り戻して、就寝前の夜景温泉を堪能しにゆく。

信濃路の旅 3:上諏訪・大町へつづく)

*1:1928年の駅開業時に建てられたコンクリート造り

*2:片足を組むのは行儀悪いが

*3:マネーの虎」に出演し不思議な味のスープをアピールするもノーマネーに終わった志願者の店