南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

大和路の旅 1:大和郡山・天理

2年連続の年末近鉄旅は、近鉄全線3日間フリーきっぷを見て即決。Go To トラベル便乗なのか、週末フリーきっぷ(4200円)を全日対象にし様々な特典付けて3000円だなんて、使わない手はない。行き先は、昨年南大阪線系にその座を譲った生駒方面。中日は京都へ行こうと思ったが、目当てである二条城の開城日と二の丸御殿公開日の折り合い悪くてやめ。代わりに初日を、秋に日帰りしようと思ってた伊勢志摩で満たす。残る二日は奈良盆地を反時計回りにグルグルと。それらを合体してシリーズ名にしたら、また"旧国名"路の旅になってまった。それから今年は山梨、長野、滋賀、奈良と、内陸県ばっかりだね。宿は西大寺近くの民宿を2カ月前に連泊で予約。そこがまた素泊り2600円という破格で、つごう宿泊費と交通費あわせて2泊3日で8000円という学生時代でも有り得ない格安旅行となり、これは俄然やるっきゃないと。
(「参宮&大和路の旅」12月27〜29日用の前書き)

出発日に訃報を受け中止となった企画を、伊勢神宮を割愛して2日間に凝縮し催行。縮小したのは一旦消沈した気分と、先のキャンセル料請求を懸念した調整。伊勢初詣の混雑も考慮した。宿は再予約の空きがなく*1、天理に新たな旅館を見つけて確保。天理線まで乗れて一石二鳥。宿泊費と交通費合わせて1泊2日を5000円強と、引き続き格安旅行に変わりなし。
帰省先のJR大曽根駅より出発。当初伊勢参りを踏まえて近鉄名古屋08:40発の五十鈴川行き急行に固定してしまい、アパートをゆっくり出発できると見込んだものの適当な時間での名駅アクセスに散々苦悩。結局名駅12系統で早く着きすぎた場合は四日市まで準急に乗り先述の急行へつなぐという苦肉の策で組む。幸い延期決行によりJRを使え、無駄な調整が要らなくなった。
例年なら伊勢参拝客で満員なはずの急行車内も席が埋まる程度に空く。車両を移ってきたとき一瞬信長かと思うような丁髷姿など、ちょっと派手目な若輩の子連れ一団が伊勢参りに行くっぽかった。普段車で移動してそうだけど、こういうときは特急使わないんだ、みたいな。伊勢中川からの大阪線は急行に直結してなくて、名張まで普通。途中西青山駅のホームに雪が残っており、乗客の一人が停車中にとって来れそうな言動をしていた。そいえばいつかの年始に伊賀を訪れたときも残雪見かけたな。大和八木の橿原線接続が一番ひどくて、寒さと空腹の中15分以上も構内に佇む。少しでも早く郡山に着こうと、平端で普通から急行に乗り継ぐも5分と違わない。むかし家族旅行で来た覚えのある田原本では、田原本線西田原本駅まで少し歩いた記憶をもつも、今回の車窓から目と鼻の先にあり違和感。そして4時間にわたる電車旅の果てにたどり着いた近鉄郡山駅の改札で派手に躓き、フリーきっぷが何度も改札機のブザーを鳴らした。やむなく駅員を呼び出し別の機械に通すと難なくパス。挿入する向きを誤ったせいとは気づいたが、背後で他の客がトラブル起こしているのを見ると当駅の改札機自体にも問題があるように思えて仕方ない。

大和郡山

近鉄線を挟んで北西側に城、東側に城下町が広がる。駅前に目立った食堂が見当たらず、街はずれの吉野家で昼食後そこを散策の起点とする。狭い道に商店がひしめく柳町商店街は風情あってよかった。

城下町

大和郡山城下町マップを頼りに、街中を歩きつくす。もともと年末年始で休館中の資料館など全くあてにしていないので歩き回るしかない。
まずは、源九郎稲荷神社源義経が兄頼朝に追われて吉野へ落ち延びる際、稲荷の白狐に幾度も助けられたことから九郎の名を贈られたとされる。

f:id:Nanjai:20210103125922j:plain
源九郎神社

藺町(いのまち)通りからの参道や稲荷周辺には趣ある古民家が目立つ。

f:id:Nanjai:20210103125950j:plainf:id:Nanjai:20210103130139j:plain
洞泉寺町の町家

木格子の三階建ては珍しい!と思った町家物語館(旧川本家住宅)(右画像)は、もと遊郭なのだそう。
紺屋町を横目にJR郡山駅方面へ向かうと、外堀緑地。旧市街の東端に沿って、郡山城の外堀を模した遊歩道が造られている。

f:id:Nanjai:20210103131411j:plainf:id:Nanjai:20210103131548j:plain
外堀緑地

沿道には寺院もあるが、遊歩道に活用されるべき集合住宅が目立ち風情を損なわない絵を撮るのに苦労する。そのまま地図の端っこに載っている羅城門跡というのに魅かれて足延ばしてみる。JR関西線の踏切を渡り、川も越えるのかなと堤防を上がろうとしたら案内表示が後方を指している。振り返ると陸橋の下に礎石があった。また、佐保川の橋上から平城京のスケールを実感できるというので眺めてみた。

f:id:Nanjai:20210103134358j:plainf:id:Nanjai:20210103134105j:plain
平城京羅城門跡

なるほど、'新春'18きっぷで訪れる古都宮城(2)平城京で訪れた平城宮跡がかすかに見えるわ。しかし平城京の表玄関がここだとすると、相当広大だったんだな。そう考えると、翌朝近鉄乗って九条という駅を通ったとき、ああ都の九条大路に由来するのかと納得。
鍛冶町大門跡(これは郡山城の城門か)の碑を認めたあと外堀に戻るため入った鍛冶町は、狭いながら旧街道筋の趣が残る。
城址、源九郎神社とならぶメインスポットとしてピックアップしてきた、紺屋町。年始のため、箱本館「紺屋」は休館。郡山の城下町は箱本十三町とよばれ、郡山城豊臣秀長がつくった商工業種別ごとの町による当番制の自治組織である。当番の町は特許状の入った朱印箱を置き、「箱本」と染めぬいた小旗を立て、一か月全町の治安・消火・天馬の世話をしたという。通りの真ん中に小堀があり、もうちょっと風情が感じられるかと思ったけど物足りない。

f:id:Nanjai:20210103141510j:plainf:id:Nanjai:20210103141824j:plain
紺屋町

また、郡山市大和郡山藩主柳澤氏以来の金魚養殖が盛んで、柳町商店街には金魚PRの幟が並んでいた。「紺屋」前にも綺麗な金魚の水槽があり和ませる。

f:id:Nanjai:20210103141549j:plain
紺屋の金魚

かつて柳町商店街には、著作権問題となった金魚電話ボックスがあったという。
www.google.co.jp
市役所前の旧中堀にかかる橋、百寿橋土木遺産に認定されている。>

f:id:Nanjai:20210103142407j:plainf:id:Nanjai:20210103142440j:plain
百寿橋

昭和11年に造られた鉄筋コンクリート製。欄干には城形のオブジェがのる。

郡山城

1580年筒井順慶により築城され、豊臣秀長の時代には完成し増田長盛の外堀普請によって城郭の規模が定まったとされている。内堀、中堀、外堀という三重の堀に囲まれた惣堀(そうぼり)の構えをもつ。天守閣こそ残らず復元もされていないが、城郭自体は立派に保存されている。柳御門跡鉄御門跡と堅固な石垣がよく残る。

f:id:Nanjai:20210103142636j:plainf:id:Nanjai:20210103142940j:plain
郡山城門跡

本丸跡に建つ柳澤神社天守閣がなく本丸に神社が祀られている城というと、昨夏の小諸城を思い出す。

f:id:Nanjai:20210103143607j:plainf:id:Nanjai:20210103145056j:plain
柳澤神社と天守

天守台からは城下はもとより奈良盆地、古都奈良の寺院まで見渡せる。

f:id:Nanjai:20210103144338j:plainf:id:Nanjai:20210103144259j:plain
天守台からの眺め

右画像では平城京太極殿や薬師寺の仏塔まで望めた。また城内の説明版で、大和国をあらわす「和州」という語にはじめて遭遇した。紀州尾州などはお馴染みだが、どこの旧国名にも略称というべき〇州が存在するのだな。
城内建造物で異彩を放つのが、奈良県立図書館城址会館)だ。日露戦争戦捷記念として明治41年に竣工したのを移転保存したもので、県指定文化財だそうだ。残念ながら内部は見学できないが、車寄せの梁などは見ごたえある。

f:id:Nanjai:20210103150052j:plainf:id:Nanjai:20210103150131j:plain
奈良県立図書館

追手門側は櫓などが復元されており、堀に張り出すような危うい造りの櫓もある。

f:id:Nanjai:20210103150458j:plainf:id:Nanjai:20210103150659j:plain
追手門

復元天守閣を資料館として観覧できれば、もう少し時間をもたせるだろうにと惜しまれるほど、意外にあっさり見終わった。

ふたたび城下

近鉄駅前で小休憩ののち、城南側を少し歩いてみる。住宅街を抜けて大納言塚豊臣秀長墓所)。墓前に「お願いの砂」というのがあり、今日お参りできた礼を申し上げたあと、自分の名と願い事を唱えながら石の箱へ3回砂を通すと願い事が叶うという。
金魚の養殖池を眺めながら中心部へ戻ってゆく。じつは近鉄郡山駅到着直前の踏切からチラと望めた街並みがちょっと趣あったので、ちょうどこの通りだろうと思って歩いてみた。意外と変哲なかった。そうして柳町商店街に帰結し、最後に郡山八幡神社をお参りして締める。
予定より1時間以上早いが、明るい時間に見ておきたいものもあるので天理へ。

天理

平端駅の橿原線ホームと天理線ホームは少し離れた構造になっているので、駅で乗り換えるよりは天理線直通電車を利用するほうがよい。またも筒井を通過してしまうが、明朝は普通電車で停まる予定だ。
天理教の総本山として知られる天理市。今晩泊まる旅館も信者向けではないかと家族に訝られた。天理教の祭礼時に大勢の信者を出迎えるため、異様に幅広い頭端式ホームを有する近鉄天理駅

f:id:Nanjai:20210103163244j:plain
近鉄天理駅

JR線より西側に延びるので駅出入口の位置が気がかりだったが、高架のJRを貫通して東側に開いており安堵した。

田井庄池公園

さきの天理駅到着の際にチラと見えたSLを見学に行く。駅の南西側に位置するがクルリと回り込むだけで思いのほか近い。これが昼間のうちに見ておきたかったお目当て。明朝早出しても良かったが、日暮れに間に合うなら今日のほうがいい。

f:id:Nanjai:20210103164314j:plainf:id:Nanjai:20210103164346j:plain
蒸気機関車と客車全景

蒸気機関車D51 692)と、旧型客車(オハ61 930)。フェンスの網目にレンズを差し入れて接近撮り。

f:id:Nanjai:20210103164437j:plainf:id:Nanjai:20210103164555j:plainf:id:Nanjai:20210103164725j:plain
夕陽を浴びるSL

また園内では天理市光の祭典2020が催されており、池の周りに散りばめられたイルミネーションが次第に灯りはじめ幻想的な光景を生み出す。

f:id:Nanjai:20210103170733j:plainf:id:Nanjai:20210103170855j:plain
光の祭典
f:id:Nanjai:20210103170941j:plainf:id:Nanjai:20210103171035j:plain
池に映るイルミネーション
f:id:Nanjai:20210103171550j:plainf:id:Nanjai:20210103171636j:plain
電飾のトンネル

個人的にはハート型と、光のトンネルが好きだな。スマホの壁紙にしたいぐらい。夕暮れ時だからこそ楽しめるひとときを郡山と天理の双方から貰った。
ぎゃくに天理駅前広場に近年整備されたコフフンは、それほど面白くなかった。巻向などJR桜井線沿線は古墳や遺跡が集中し、宗教以外の目玉として古墳をPRしたい意図はわかるけど、あまり「らしく」なかった。また、合間に明日の朝飯を調達しようと思ったが、駅前に便利なスーパーがなくコンビニで済ませたのも少し残念。だから生活臭より宗教色が際立ってしまうのかも。

彩華ラーメン本店

本来なら今日は参宮ついでに鳥羽のふるさと館でかきフライ定食を堪能し、ほかの食事はさっきの昼みたく吉野家やコンビニなどで済ませるつもりだった。せっかく奈良のみの行程になったのだから1つくらい地元グルメを味わいたい、ということで挙がったのが天理ラーメン。「天理スタミナラーメン」と「彩華ラーメン」の2チェーンが展開しており、近鉄沿線で行きやすそうな店舗を調べた結果*2、彩華ラーメン本店に決まり。
天理線を一つ戻り、前栽(せんざい)駅で下車。狭いわりに往来の激しい県道と、あちこち溜池が潜む住宅地を歩くこと15分ほど。店は盛況の超満員で、エントランスに席待ち客がぎっしり。一般的な夕飯時間帯を回避したつもりだが、混みっぷりに一瞬ひるむも記名して待つ。幸い一人客は捌きやすく、早々とカウンター席にありつける。迷わずサイカラーメン、しかも量を後悔したくないので大を注文。

f:id:Nanjai:20210103182251j:plain
天理ラーメン@彩華

醤油ダレスープに本場四川の辣酱で辛みをつけ、白菜をたっぷりとのせたラーメン。野菜ラーメンでもないのに、白菜を主としてこれだけ野菜をたくさん浮かべたラーメンも珍しい。白菜の食感とピリ辛を愉しみながら、がっつくように麺をどんどん啜っていく。いい食ネタになった。ごちそうさま。
[公式] 彩華-サイカラーメンは体も心も温まる味を創り続けていきます[公式]彩華(サイカラーメン)
帰りは国道と県道を伝っていったが、郡山で歩き疲れて足裏を痛めており街灯少ない夜道の足元は覚束ない。

旅館やまべ

訃報により当日キャンセルした菖蒲池の山翠旅館HPでリンクされていた、ビジネス旅館やまべ。前者よりさらに安い、素泊り2350円が目を引き予約。天理駅から北へ徒歩5分ほどに位置する小さな旅館だ。予約時も領収書にも2350円と記載されているのに、実際は2300円しか請求されていない。遅めの予約ということでフロント前の部屋「松」に通された。昨年の南大阪線系の旅で連泊した松月館と似た和室で、テレビ兼用のデスクトップパソコンが据えてあるもネット接続はできない。Wi-Fiは申し分なく使える。一休みののち2階で入浴し、早々に就寝。寝られるだけで十分な安宿だけれども、接するJR線と北大路の騒音でなかなか寝付けない。また夜分遅くにチェックインする客が絶えず、襖越しに会話や足音が響くのも気に障る。客層はビジネス客の連泊から冬休みの旅行まで幅広いようだ。なんとなく聞いているうちに眠りに落ちる。

大和路の旅 2:生駒・馬見古墳群へつづく)

*1:当日キャンセルした恐縮で避けた訳ではない

*2:屋台は寒そうだから回避