南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

そぅっと下呂温泉 1

会社の稼働都合で急きょ休みになり、籠り腐っているのも嫌で出かける。オミクロン株が猛威を振るい外出自粛が求められる時勢なので、そっと下呂温泉へ。しかし温泉だけ往復するのは物足りず*1、スパ湯の華アイランドへ寄る日帰りコースで温存してあった中山道鵜沼宿御嶽宿を踏破する。最近の発案で、土日休みを利用する1日半程度のプランを組んであったものを、転がり込んできた4連休をこれ幸いと丸2日間に改編。1.5日では太田宿(JR美濃太田駅)よりも太田の渡し(名鉄日本ライン今渡駅)で分割し、時間と脚力的に鵜沼~太田あるいは渡し~御嶽のいずれかを切らざるを得ないと思っていたので、フルにやれるのは好運。冬の西風を気にして鵜沼宿から御嶽宿へ東進し、太田宿に一泊するイメージで下呂温泉を挟む、というのが旅程。
今回はフリーきっぷや割引等を一切利用せず普通運賃のみで行く。新しい乗り鉄区間もなし。10時半出発、普通電車を乗り継いで11時半に鵜沼。

中山道 鵜沼宿~太田宿

道程に関しては太田~鵜沼を歩く(中山道) - 旧街道ウォーキング - 人力を常時参照。進行方向は逆だが頼りになる。ただ距離は宿場間より長めで、目安時間も多めに書かれているので、自分なりに少なく見積もって挑んだ。

まず、このときの道標へたどり着くのに一苦労した。
jaike.hatenablog.jp
中山道をなるべく正しく辿りたいのと、既訪地点をピッタリ繋ぎたいというこだわりから、右往左往して見つけ出した。ややタイムロス。

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今回の出発点

ほどなく始まる難所、うとう峠の登り坂。今回は両日とも暖かい日で、歩き出して早々にセーターを脱ぐ。峠の手前で日本ラインうぬまの森ハイキングコースへ入り、眺望の丘を目指す。本旅では希少な山道を登ると、絶景ともいうべき見晴らしが広がる。

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眺望の丘からの眺め

鵜沼の市街地から犬山城まで見通せる。まだ空腹が物足りず、もう一息登れそうだと展望塔を目指す。園内には散策を楽しんだりランニングで鍛えたりする市民が意外といる。

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平和観音像

この背後を少し登ると展望塔。眺望の丘よりは鵜沼市街から若干離れる分、今度は木曽川や対岸の山々が際立つ。この辺の継鹿尾(つがお)山や鳩吹山は幼いころ登った。

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展望台からの眺め

ここで昼飯。買い弁ではなく持参の弁当を食う。ここで先の時間をちょっと憂慮。JR高山線普通列車を15時33分に乗る。今夕と明朝の食品買い出し時間も考慮すると、太田宿へ15時には着きたい。残り1時間45分、さてどうだろう?
さらに公園内で道に迷った。難なく駐車場に出て中山道へ合流できるものと安易に考えていたのが甘かった。しかし方向感覚を誤らず、素直に道標に従って「中山道」と指すほうへ小道を伝っていったら、石畳の道の末端へ無事合流できた。ちなみに参照する地図では実は中山道旧道をなぞっておらず、正しく辿るとこれより短縮できる。脚さえくじかなければ、下りか平坦な道のりは加速歩行に都合よし。

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JRと国道をくぐる水路

「雨天時はここで引き返してください」って言われても、二度と峠を登り返す気はない。ここからは木曽川を右手に眺めながら、ひたすら国道21号を進むことになる。トラックやダンプの轟音に煽られながらの徒歩は心地よいとは言い難い。逐一アプリで美濃太田駅までの所要時間を確かめながら、やや速足で時間短縮に励む。中山道の通る木曽川右岸は切り立った崖の目立つところだ。対岸もまだ中流域だというのに大きな岩が見受けられる。そもそも先のうとう峠はこうした絶壁に道を設けられず、やむなく山道を迂回するルートが採られた結果だ。岩肌に張りつく観音堂を拝んでゆく。

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岩屋観音堂
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観音堂前で望む木曽川の流れ

少し川幅にゆとりができたところで、堤防上に散策道が現れたので喧騒な国道を離脱する。狭く不安定な歩道よりは断然歩きやすい。俄然時短も捗る。行幸公園を過ぎ、川と国道(中山道)が乖離する箇所は仕方なく国道に回帰。中洲のところで再び堤防沿いへ。この中洲と木曽川を挟んだ先が湯の華アイランド。ようやく太田到着と買い出し時間の確保に目途がつく。ただし、太田宿見物は明日へ持ち越しだな。

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緩やかな流れになった木曽川

14時45分、太田宿入り。枡形のはっきり分かる道筋や、町屋風の建物が数多く残っており見ごたえある感じで明日が楽しみ。

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太田宿界隈

休業中の「魚徳」店頭に掲げられた、「太田宿名物 鮎の甘露煮」が気をひく。中山道会館に土産売ってないか期待。では、ひとまず中山道を離れます。

JR高山線 美濃太田下呂

宿場とJR駅の中間に位置するコノミヤで買い出し。発泡酒缶とお惣菜を幾つか、それにおにぎり2個とカップみそ汁。お惣菜についた値引きシールの50円引きを50%オフと勘違いして買いあさり、会計でアレっとなった。弁当食って身軽だったバッグが急に膨れ上がる。駅前通り商店街の歩道には、黄道十二星座銅像が散りばめてあって面白い。
美濃太田駅では往復切符を買っとこうかと一瞬の迷いが生じた。JR東海の非電化路線は最近車両が変わった。快速みえの車両が転用されたり、全席ロングシートの新型車両が導入されたりしている。個人的には車窓を愉しみやすいボックスシートを推進してほしい。今回の高山線は往復ともロングシート車だったので、行き違いの列車を見るたび羨ましかった。ただ、加減速は従来よりずっと向上し、ローカル高山線とは思えぬほど快走する。もうじき特急にも新型車が導入され、馴染み深いワイドビューの名は姿を消す。今回利用した普通列車は、停車駅のほかにいくつかの信号場でも行き違い待ちをする。翌朝の上り列車より10分ほど余分に要する。
山あいに入ると、日当たり悪い場所には点々と残雪が見られる。奥飛騨の山々には冠雪がある。日中暖かい時分を運動してきたので、セーター脱ぎっぱなしでこの先の寒さに対応してこなかった。降車前になって下呂の気温を確かめ、まあ宿まで凌ごうと。因みに2両目は途中駅では終始扉が開かないため外気に触れる機会がない。気温差に鈍感なのはそのせいもある。

下呂温泉

おなじみの下呂駅前だけど、到着時にしみじみ眺めるのはたぶん初めて。たいてい送迎バスに乗り込むなどしてすぐに立ち去ってしまうから。

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夕暮れの下呂

今回泊まる宿は飛騨川対岸の温泉街ではなく、此岸を北へ少し歩く。くさかべアルメリア湯快リゾートのような山の上でもなく、JR線沿いに狭隘の住宅地を進む。あとで住所を見て驚いたのだが、下呂市萩原町となっている。飛騨萩原といえば下呂より2駅先であり、下呂市街(旧下呂町中心部)とは離れていると思っていた。旧町境って下呂駅からこんなに近かったんだ。
小さなお宿のおもてなし ふじはら撮り鉄スポットで知られる飛騨川橋梁を間近に望む川べりの旅館。この時勢ながら5名ほどの宿泊者名を掲示して迎えられる。お一人様だから4.5畳ほどの小部屋かと思えば、広々とした客間に通されて驚く。窓からは飛騨川や高山線橋梁も望め、絶好。

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客室

チェックイン可能な17時早々に着いたのは、まだ同泊者の少ない温泉を先取りするため。入口に「なるべく交代でご利用ください」と書かれた湯処は、通常なら3,4人浸かれるほどの小さな浴場。窓に沿って縁側のように細長い湯池が造られている。偽りのない温泉の香り、それが敢えて下呂温泉に足を運んだ一番の目的だ。痺れるような熱さと肌に染み入る軟らかさは筆舌に尽くしがたい極楽だ。思い立つままにやってきて良かった。

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ひとりの宴

お造りや鍋物などの贅沢はないが、気兼ねない酒宴を堪能する。酔いがひとしきり醒めたころ、就寝前の一風呂。火照って眠れない過ちに留意しつつ、温泉を肌身に噛みしめる。

そぅっと下呂温泉 2へつづく)

*1:また名駅下呂温泉を往来するシャトルバスも逆に密閉が懸念される