「行ったら書く、書いたら行く」を計画旅行のルールとしているにもかかわらず、昨夏の福井旅行を前書きから一文も進められずに冬を迎えてしまった。そこでなるべく企画を凝らず印象に残りにくい小旅行にしようと。ノンビリするなら、正月は安定の伊勢志摩でしょ。ここ数年、伊勢は第二の故郷、中国河南に行けない今はとくにそう思うようになって定期的に行きたくなる。
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まるでルーティン(馬鹿の一つ覚え)のように、毎回やること、泊まるところが決まっている。つっても、まだこれで3回目だけどね。母に薦められて一度味をしめた日から、はや5年になるんだな。シリーズタイトルも5年前のをほぼパクった。
近鉄の伊勢神宮初詣割引きっぷ(往復乗車券タイプ2400円)を利用。松阪~賢島のフリー区間は3日間乗り降り自由。日帰りも含めてこの沿線くまなく乗り遊んできたので、そろそろネタが尽きてきている。そこで電車賃が割安なときこそ別の交通費をかけても良いと思えて、鳥羽の離島に行ってみようと。鳥羽港から定期船が出ている離島4島のうち、見どころと船賃を検討して答志島を選ぶ。また、近鉄志摩線終着の賢島を初めて訪れる。タイトルに「島々」と付加したのはこの意味。既知と未知をバランスよく整える。
レイルラボでみる乗り鉄行程
伊勢へ
特急には乗らないものの、伊勢まで直行したいので五十鈴川行き急行を確実に選ぶ。近鉄名古屋駅改札を通ると、ちょうど特急ひのとりが発車間際。
正月4日にしては伊勢参り乗客は多くない。隣席も一時的にしか座られなかった。特急の混み具合はどうなんだろうな。
伊勢市駅では、伊勢神宮参拝客はJR駅のある南口へ跨線橋を渡るようアナウンスされる。私は群衆を避けて、そのまま北口を出て踏切へ回る。おかげ横丁へ合流するまでの道すがら、やけに交差点など要所要所に警察官が目につくな、とは感じた。
勘で歩いたのに巧く若草堂へ行き着いたので、さっそく伊勢うどんで腹ごしらえしてく。この店は早朝6時から営業してる食堂で、いわゆる牛丼チェーンのない伊勢市駅界隈で朝ごはんを摂れる貴重な店。すでに昼時のせいか、朝定食のメニューは見当たらない。素の伊勢うどん(550円)を啜る。くたくたに軟らかいうどんと、うどんに隠れるような濃厚醤油ダレ。以前はかなり老齢のおばあちゃん一人で切り盛りしていたが、今回は男性店員もいた。そろそろ代替わりだろうか。
伊勢神宮外宮
通りには右翼街宣車がチラつき、白バイなど警察車両も目立つ。外宮火除橋前には警察官が集結し、入念な配備打ち合わせが行われている。ようやく気付いた。正月4日といえば、首相の伊勢神宮参拝じゃないか。5年前も安倍さんの参拝とニアミスしたっけ。今回は見事にかち合ってしまったらしい。暫し佇んでいると、背後で花火か爆竹のような激しい音がした。関係者が藪を捜索する。が、緊迫感やや薄かったので演習と挙動確認ではないかと推す*1。「あと15分ほどで規制がかかります。宜しければご参拝お急ぎください」とアナウンスがあり、外宮なら狭いから15分程度で参れるだろうと正殿へ向かう。すでに参道の半分がロープで仕切られ、丁寧に熊手で玉砂利を整えられている。そのロープ際には岸田首相を一目見んと群がる人が列をなす。この時間はもう正殿直前の鳥居をくぐれない経路になっていたので、伊勢参りとして惜しいと思い、総理を待つことに。しかし、どこからか「30分くらい遅れる」との声を聞き、一部の不遠慮な参拝客に混じってロープをくぐり正面から堂々と外宮参拝を済ませたw お参りの済んだ者は参道に留まれず、北御門方面への退出を促される。近鉄きっぷ参拝記念品は内宮で受け取ろう。
そうして再び火除橋前に戻ってくると、ちょうど”キッシー”が到着するところだった! 普段どこぞの有名人と遭遇しても写メるのはあまり好まないけど、現職総理なんて一生のうちにそうそう間近でお目にかかれるもんでもない。群衆の肩越しではあるけれど、我ながらちょっと貪欲に撮ってみた。
youtu.be
縦動画で撮ったのを切り取ったので画質はよくない。瞬間を捉えるのは難しく、あとで静止画にすればいいと判断した。短いので動画のまま公開。SPに護られながら群衆へぐるりと挨拶回りされており、跡を追えばもっと撮れたし接近もできただろう。そういうのは趣味じゃない。一度おがめりゃ十分。
伊勢神宮内宮
外宮前より、三重交通が運行する臨時の内宮直行バスをICカードで利用する。路線バスも観光バスも総動員で参拝客を輸送するから、1分と待たずに乗れる。歩道上の石灯篭落下事故が起きたのはこの辺りかなぁ、と思いながら乗る。
内宮前ではまたもや物々しい警備体制が敷かれており、既に参拝規制中。首相参拝は外宮のみだと思ってただけに、「またキッシーかよぉ。俺がちょっと先に移動しただけかい!」 結局また先行パトカーとSP車に続いてキッシーが到着し、群衆越しに姿を拝むことと相成ってしまう。内宮参拝は規制時間が長いと予想し、コーヒーブレイクで暇つぶす。お帰りを待ち構える群衆を尻目に、宇治橋から境内へ向かって徐々に規制解除されていく。規制で滞留してた参拝客が正殿へ一挙に押し寄せる様は、まぁ元日に等しいだろうなと。
いや、正月の伊勢神宮ならごく普通の光景か。
神楽殿がハンパなく混んでいたので、参集殿に向かおうとすると規制がかかっている。別経路を辿っていたら解除された。近鉄きっぷ参拝記念品「初幸の卯」を受け取る。ここを逃したら、残り二日のうち時間をみて再度外宮を訪れないといけない。
いい加減人ごみに疲れたので外宮へは戻らず、近鉄五十鈴川駅行きの直行バスに乗る。せっかく近鉄フリー区間乗り放題なのに、三交バス運賃をかけているのは勿体ない。ここでふと、フリー区間きっぷがないことに気づき焦った。往路きっぷは伊勢市駅で回収されてる。よくよく見たら「周遊・かえり」と記載されてて、名古屋に帰着するまでの3日間復路きっぷでフリー乗車券を兼ねるのだと理解する。じっさい宇治山田駅でもこの点を悩んでいる利用者がいた。
ともかく、一息つこうと降り立った宇治山田駅。「この時間帯は後方の臨時改札口しか利用できません」とアナウンスされている。なんと!三たびキッシー!近鉄特急でお帰りになられる直前だったのだ。もうキッシーと行程被りすぎやん。妙に警備の手薄な駅舎内に佇んでいたら、「警察の者ですが...」と私服っぽいのが近づいてきて「ここでは岸田さんを見られないので、外に場所を設けてある」という。素直に従いつつも、自分を襲撃者と警戒しての声掛けだなと読む。不当な被疑者扱いを噛みついたりはしないけど。
いやぁ三度もキッシーに遭遇するとは思ってもみなかった。というか、すっかり翻弄されてまった。
河崎
今度こそマジで人ごみを離れよう、と向かったのが、河崎のまちなみ。以前家族旅行で訪れた気もするんだけど、確かな記憶がない。常宿キャッスルイン伊勢にも近く、夕暮れまでゆっくり歩ける。
河崎は、勢田川の水運を利用し、江戸時代には大きな問屋街へと発展。伊勢神宮への参宮客で賑わう伊勢の台所としての役割を果たしていた、という。おもに勢田川左岸に沿って古い町家や商家の町並みが連なっている。
いつも伊勢市駅からホテルへ向かう道を、一歩外れただけなのに全然別世界が続いていて驚く。防火壁とおぼしきレンガ積みの壁や、木造の蔵などが目立つ。
江戸時代から酒問屋を営んでいた小川酒店の、商家を改装した資料館、伊勢河崎商人館を見学。明治末期の大八車が映る写真を見ると、当時のままの道幅と町家が今も残されていることが分かる。
母屋では、河崎の商家の暮らしを垣間見ることができる。河崎の町並みに特徴的な瓦の産地や家紋が興味深かった。土蔵を活用した河崎まちなみ館では、河崎の成り立ちや勢田川との関わりを知ることができる。環濠により水害や外敵を防いできた歴史や、勢田川改修事業を機に町並み保存運動が起こったことなどが印象に残る。小川酒店時代に製造されていた幻のエスサイダー復刻版を、帰りがけに1本買ってこうか迷った。
河崎・川の駅より勢田川堤防に出て、「川の港」として栄えた名残を求める。
帰宅して見直すまで、商人館の裏(川側)なのに気づかず。
今は正月休みぽいが、ホテルから来られそうな飲食店もあって再訪の機会ありそう。
キャッスルイン伊勢
ここからは伊勢の定番イベント。ぎゅーとら八間通店で夕飯と酒を買い込んでホテルへ向かう。プチ一人新年会も兼ねて、発泡酒500ml缶と350ml缶各1個ずつ。二日分で350缶パックにしようかと思ったけど、ぎゅーとらが思いの外割高だった。種類も少ない。夕飯をスーパーで調達するのは食費節約じゃなく、ホテルでの行動順序にある。基本、一風呂浴びて寛ぎながら飲食したいので、浴衣では外出しづらいし煩わしい。自然とチェックイン(帰宿)前に用意することとなる。
前述のようにまだ3回目なのにすっかり常宿感あるのは、同じキャッスルインチェーンで利用した玉垣店(現:鈴鹿中央)も含めているからだろうな。
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展望大浴場、気持ちイイ。けど、洗髪すると頭冷えるので露天に出づらい。いつしか夜と朝で男女入替制になり、男は露天の朝風呂を楽しめなくなって非常に残念。外の景色を拝むなら日が暮れる前に入浴しないとな。
冷えた発泡酒を350缶から呑んでイイ気分。でも揚げもんメインの夕餉だったので腹ふくれて、500缶後半から呑みづらくなった。ほろ酔いを断続的に持たせるよう調整しながら呑んで、チャンネルAも100円だけ観て、初日のキャッスルナイトを堪能した。まぁ敢えて連夜呑む必要はないな。
(新春志摩島々の旅 2:磯部・答志島へつづく)
*1:演習ではなく、確かに事件だった。岸田首相の訪問直前、伊勢神宮で爆竹破裂 けが人なしも…ウクライナ訪問の警護・警備体制は大丈夫か - zakzak:夕刊フジ公式サイト