幸いにも今年は鉄道の日にちょうど休みを頂けたので、レイルラボ記録上JR東海唯一未乗車となっている名松線を乗りに行った。一人で乗り鉄するようになった初期の頃に、一度完乗している。
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今回は、平地寄りの途中駅を乗り降りする企画。花見もした前回とはちょうど真反対のシーズンだが、紅葉にはちと早い。
勝川が無人駅なのもあって、青空フリーパスは前日に大曽根で購入。中央線も関西線も通勤客よりは行楽客が多くて、快速みえは津まで座れなかった。みえは、新型車に換えなかったんだ。行き違い停車が目立って快速感弱いな。
嬉野
本数極少の名松線を途中下車すると組み立てに苦しく、紀勢線を六軒で降りて名松線の権現前へ歩いて向かう。行くまでずっと、権現ってどこなのかわからず、ネットにも明解がなかった。松阪市中の愛宕大権現への参道でも伸びているのかと。須加神社をお参りして解決した。
江戸時代には須加権現と称された、と記述がある。名松線の最初の終点は権現前駅だったそうだが、敷設当時周辺に目立つものがないとはいえ、地名でもなくローカルすぎやせんか。鳥居前と駅前をまっすぐ参道で結んでいるけども。
須加神社の裏山上に造られた、旧嬉野町(現:松阪市)の公共施設群。嬉野ふるさと館の2階に設けられた資料館、嬉野考古館を見学。縄文時代の天白遺跡をはじめ、嬉野地区から発掘された弥生・古墳時代の遺跡や古寺跡などを解説する。とくに天白遺跡からは赤色顔料の付着した土器が出土し、祭祀場であったことを窺わせる。夏の飛騨で慣れ親しんだ石棒も出土している。
西山古墳も見に行くつもりだったけど、権現前駅から歩いて片道30分の距離に断念。近鉄を伊勢中原から伊勢中川まで1駅乗ろうとも一時考えた。プラン時は、昼飯含めても行けると思ったんかな?
20年ぶりの名松線
ただ1両のディーゼルカーは行楽客で混んでいる。車両番号を見てビックリ、朝乗ったばかりの城北線と兄弟のように近い番号だった(城北線キハ11-302、名松線キハ11-304、帰りもキハ11-306)。周りの客と同じようにシートで揺られながらコンビニ弁当を頬張る。
名松線は、雲出(くもず)川を遡ってゆく。家城までは概ね平地で列車もそこそこ飛ばすが、その先は川に沿って狭隘となり傾斜もあってか、かなり徐行する。雲出川の上流と中流で異なる表情や、沿線の茶畑や棚田を見て楽しむ。
15分ほど停車する家城駅でのタブレット交換も、間近で見られた。20年前降り立った伊勢竹原の木造駅舎は、姿を望めなかった。また、当時工事中だった伊勢奥津駅駅舎は、観光案内交流施設も合わさって終着駅ながら以前より人けを感じる。
国の登録有形文化財になったという、これを見にきたかったんだ。
折り返しはボックス席に収まって揺られてく。家城神社のこぶ湯や、関ノ宮に宮はあるのか等、新たな沿線スポットが気になる。
とことめの里一志
昔からずうっと気になってた名松線近辺の日帰り温泉。最寄駅から少し距離があるので、余裕のあるときに立ち寄りたい。周りほぼ田んぼの井関(いせぎ)駅。今日は六軒も権現前も、駅前ほぼ田んぼ。雲出川とは一山隔てた川筋に沿って歩くこと30分ほど。井関の集落は伊勢街道とは外れるが、蔵などの古い家屋が軒をつらねて趣ある。
丘の上にある一志温泉やすらぎの湯は、図書館や保健センターなど公共施設の集まる”とことめの里一志”の一角を成す。スーパー銭湯料金が値上がりする中、550円と銭湯並みの安さ。地域の高齢者が圧倒的に多い。泉質は微かにぬめりと臭いが感じられることから、一応温泉のようだ。浴場は内風呂が二手に分かれて露天風呂を挟む、変わった造りをしている。タオルを腰に巻いたまま湯に浸かるという、マナーのないガキどもの信じられん光景を目にした。当然、他の入浴者がキツく注意したが、こっちの風情は半減。あの格好は公共放送上やむを得ない事情であって衛生上は好ましくなく、近年は「宿や温浴施設の許可を得て、タオルを着用しています」などと但し書きを付すようになった。あまりに堂々とやられて一瞬唖然としたわ。
一志温泉では、とことめの里を発するバスを時刻ごとに場内アナウンスしてくれる。まぁ、裸で聴いて慌てて間に合うようなタイミングじゃないとは思うが親切だ。帰りは三重交通バスの久居駅行きに乗り、川合高岡で下車。近鉄川合高岡駅と名松線一志駅は近接している。わりと宅地の中にある一志駅。今日乗り降りしたどの駅よりも、田んぼ真っ只中っぽい上ノ庄駅を経て、松阪からは快速みえでまっすぐ帰る。
久しぶりに名松線乗って、思い出す部分もあり新たな発見もあり。また、休日これくらい賑わっていれば盲腸線とはいえ、まだ廃線にしてはいけないな。
終