南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

イデオロギーの対立候補と二極化(世弥)

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 事情は明確に説明しなければならない。筆者はしばらく非営利組織論の各週課題と中国語検定の試験勉強に追われて、この約千字の文章を書く事業を怠らざるを得なかった。再起などと申しながら、実際に準じたのは「不定期更新」の文字列であったことを大変お詫び申し上げる。さて、題字の後部に(世弥)と記したのは、筆者の所属ゼミで議論されたことや、筆者がゼミ内で質問したり考察したことをまとめたカテゴリである。今後も暗号として用いていく所存なので承知いただきたい。さらに、この暗号を目にした際は、以後新しい言及の無い限り、田中明彦/著『新しい中世』日経新聞社を資料として参照していただけると有難い。
 これは先々週の内容(ポスト冷戦期)に値する。先月の報告で、マルクス・レーニン主義について筆者の考えるところを論じたが、これはその続きと言ってもよい。冷戦はマルクス・レーニン主義の衰退と計画経済の限界によって終結し、これによって冷戦後の世界が多極であるか単極であるか、あるいは二極の方向へ向かうかという議論である。いわゆる東側イデオロギーの崩壊によって、自由主義的民主制の世界が圧倒的な極を形成し、もはやこれを対等に迎え撃つようなイデオロギーは存在しないかに見える。さらに、分析によれば、自由主義的民主制をとる国同士は良好な関係(平和)を維持しやすいとある。
 しかし、なまじっか日本共産党の書籍に目を通している筆者からすれば、マルクス・レーニン主義の完全な衰退が決定されたとは言い切れない。数多の修正を加えながら、マルクス社会主義を研究している日本共産党の主張に基づけば、新種イデオロギーの誕生も考えられなくは無い。未だ実践の例は無いため信頼性は非常に薄いが、現実のソ連政権を元祖から研究した結果であるから、決して現実味のないものとは言い切れないであろう。現在、アジア各国の共産党と連携し、この主張を共有すべく奔走している模様である。例えば中国やベトナムは、部分的資本主義システムの導入を経て、最終的には修正型社会主義への移行を考えている。どこが自由主義的民主制と異なるのか、まだ説明はつかないが、日本からの小さな異論が世界を席巻する姿を想像することができないか。結:マルクスは未だ捨てられない。【2005/05/25/AM】