南蛇井総本気

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

THE 四国一周!! 3:高知~愛媛

計画では鉄道乗りつぶし気味な一日でメインは2日になると予想されたが、体力回復と好天に恵まれ最も充実した日となった。

高知 その2

起きて巻き寿司を食べ、7時半を目処にチェックアウト。昨夜屯していた外国人団体は、まるでレスキューみたいな作業服を着て大荷物を抱えワゴンタクシーに乗り込んでいた。
一日乗車券で難なく乗り継いでいた昨日と違い、今朝は乗換券を受け取らねばならない。デンテツターミナルビル前で降車時に運賃支払いと引き換えでもらう。
 記念切符にならないのが残念。

はりまや橋


即座に乗り換えないで、折角だからはりまや橋を見ていく。正しくは「播磨屋橋」で、江戸時代の高知の豪商の名を冠している。小橋のかかっていた堀川は現在埋め立てられ、水路風の公園に整備されている。ちなみに橋の東側だけ見物したので、朱塗りの復元小橋は高知駅のエントランスでのみ拝見。

駅コンコースで明治牛乳の広告に触発され、コンビニでひまわり牛乳を買う。またホームでは駅弁も販売されていたが、これは宇和島のを楽しみにとっておく。見上げればアーチ状の木組み屋根が美しい高知駅。さよなら、高知。(と思ったが、予土線で県境を越えるまでに随分かかり、改めて同県は東西に長いことを知る。)

特急しまんと1号で窪川へ。特急「しまんと」および併結している「南風」は都合3回乗り降りしている。牛乳を飲みながら山側を眺めていたら腹がおかしくなった。佐川を出て間もなく*1、山の斜面に張り付くように不気味な工場が目に飛びこんできた。ラピュタかタタラ場みたく、まるで城だな、と。(あとで調べると、炭酸カルシウムの製造会社白石工業の工場だそうである。)

JR予土線

徳島線とともに、今旅で全区間普通列車を利用するJR線である。軽い腹痛を覚え、車中トイレのないレールバスで2時間半は不安だったので、窪川駅構内のトイレへ行けば14分の乗継時間いっぱいと思しき待ち人の列。小用で済ませるしかなかった。おかげで青ざめ気味の出発となり、列車に気を留める余裕はなかった。当然座席は先客で埋まり、乗降口に立ち位置を求めるだけで難儀した。
列車はワンマンながら沿線の見どころを上手にアナウンスしてくれる。愛称「しまんとグリーンライン」のとおり、途中の江川崎までは四万十川に沿って走り、幾度も川を渡るので両側の車窓より川を楽しむことができる。新緑と日光に煌めく川面が美しい。
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乗客をチラチラ見やれば、大多数が観光客でしかも同じ「バースディきっぷ」ユーザーが多いことに気づく。途中駅での乗降は滅多にない。てっきり終点まで同行し立ち席のままかと思いきや、十川(とおかわ)で一定の降車があり席ゲット。土佐大正と土佐昭和の駅間が長いのは、昭和の長さを表しているのか。
 これはネタとして外せない。
江川崎では列車行き違いのため約20分停車。ホームで思いきり深呼吸。一日ぶりにまた山の中。あらためて乗っている列車を見やれば、両端が0系新幹線の格好をしている。

この車両は「鉄道ホビートレイン」と呼ばれている。車内は一部の座席が外され、列車の模型がガラスケースで展示されている。また4席のクロスシート0系新幹線登場時のものである。運賃表示器の下部には、新幹線開業時の東京-新大阪間の駅名がズラリ。鉄道ファンにはウハウハの一両である。さらに宇和島側からやってきた列車はカッパがたくさん描かれた、その名も「かっぱうようよ号」。

「しまんトロッコ」とこの2両を合わせて、「予土3兄弟」と呼んでいるそうである。JR四国きってのローカル線を盛り上げようと必死なのが窺える。駅売店では鉄道グッズも豊富なほか、レンタサイクルの手続きもできるらしい。
予土線もやはり難読駅が多い。真土(まつち)、出目(いずめ)、吉野生(よしのぶ)...。独特なだけに旧国名をつけずに済むともいえる。最後の務田~北宇和島間が非常に長くて、傾斜をどんどん下ってゆくのがありありと感じられた。

愛媛 その1

滞在時間も立ち寄った町も四県で最多となった愛媛。しかも県域をまんべんなく周遊する結果に。

宇和島

昼食と特急乗継が目的の宇和島。ところが、駅前には駅弁を売る店も、うどん蕎麦や名物料理を食べられそうな定食屋も見当たらない。セブンイレブンにもお土産こそあれ、特徴的なお弁当は一切ない。今旅で初めてハズレを直感した。ともかく駅から遠ざかりすぎない程度に歩き回ってみる。名物じゃこ天の専門店は何軒か見受けられたが、弁当は置いてない。唯一時間的に惜しかったのは「かどや駅前本店」の鯛めしだろうか。諦めて、「三元豚のねぎ塩豚カルビ弁当」をセブンで買い待合室で早食い。その場で食べたのは、次の卯之町まで乗車時間が短いからだ。

宇和島城とかゆっくり見物して旨い物食べたいので、またいつかのお楽しみ。

宇和町

計画の初期段階では伊予大洲に降りて、「伊予の小京都」と呼ばれる大洲の町を歩くはずだった。しかし、大洲の観光地は駅から離れておりバスの接続も芳しくなかった。出発前日にガイドブックを眺めていたところ、JR駅から徒歩数分で古い町並みが残っているという「卯之町」を発見、急きょ変更した。アクセス面だけでなく、四国最古の小学校「開明学校」をはじめとする資料館の入場共通券が大洲のより安いことも決め手となった。そこに思いもよらない落とし穴が待ち受けていようとは。
アンパンマン列車の特急「宇和海」を卯之町駅に降り立ったとき、大手旅行情報誌に掲載されたスポットにしてはGWなのに降車が少ないな、とは感じた。国道を横切り、落ち着いた商店街の脇道を入った途端、とても理想的な風情のある家並みが目に飛び込む。午後のノンビリ散策に最適だ、と思ったまでは良かった。
 

ところが、「開明学校」の前で愕然。通常は月曜休館だが、30日が祝日のため翌日の今日に振替となっていたのである。全然思い至らず、計画の甘さが出た。当然、向かいの宇和民具館や愛媛県歴史文化博物館なども休みである。町並みは十分に美しく、見ごたえある。しかし、30分もあれば歩き回れる規模のため、展示館見学なしでは2時間は持て余してしまう。
本旅はじめての現地での計画変更。幸いこのスポットが駅から近いことと「宇和海」が1時間1本運行されていることが、柔軟な変更を可能にした。行き先は、この卯之町を見つけた情報誌に同じく載っていた、内子。大洲と同じく駅からは些か距離がある印象だったが、手早く検索すると駅前の観光案内所よりレンタサイクルを利用できることが分かった。また、松山・道後温泉到着が予定より1時間以上遅くなり、チェックインや温泉満喫が時間に圧される不安もあったが、明日は悪天候が予想されるため貴重な好天を目いっぱい楽しみたい。1時間で卯之町をあとにする。ちなみに滞在中少しも市町村を意識しなかったけれど、ここ宇和町西予市というのですね。

内子

この内子が的中、大当たりだったんだ!! 即興なのに成功、というか本旅で一番良かったかもしれない。
駅前の案内所「旅里庵」で観光マップを手にすると、親切に「景観地区の端まで何も見ずに普通に歩けば25分くらい」と教えてくれる*2。この言葉が良い目安となり、おっ自転車なしでも行けるかも、と思わせた。ちょうど民宿を探しに来たお遍路さんへの対応でレンタル手続きが難しくなったので、そのまま歩き出す。こちらも道幅広めの長閑な商店街がつづく。

まずは、内子座(400円)。大正5年に建てられ、今年で102年になるという今も現役の芝居小屋。したがって休演中も舞台、客席から奈落にいたるまでどこでも自由に見学できる。明治村でしか記憶にないような桝席や大正期らしい内容の天井広告が面白い。すりガラスも一部は建てられた当時のものという。


 ビジターセンターと児童館。
明治・大正期の薬屋を改装した商いと暮らし博物館(200円)。当時の商家の暮らしぶりが人形で再現され、部屋に入ると家族の会話や奉公人の独り言などを聴くことができる。店の仕事をこなしながら試験勉強に励む奉公人の姿が印象的。奥には、木蝋や和紙の産業で発展した内子の歴史が展示されている。

伊予銀行を左に折れ急坂を登ると、八日市・護国の町並み。江戸後期から明治にかけて木蝋で栄えた町で、町家や豪商の屋敷が建ち並ぶ景観地区。木蝋細工の民芸店やカフェが軒を連ねる。



この町並みの入口にある町家資料館(無料)までが限界かなと思ってきたが、まだ十分余裕がある。さきの薬屋ほど造り込んでいないが素朴な生活臭を漂わせる、ちょっと覗ける資料館。また、観光臭くない駄菓子屋みたいな商店もあって、おやつを求めながら難なく街はずれまで歩ききってしまう。戻りは近道がてら、内子線旧線跡と思しき道を辿る。ぴったり2時間、完璧。
 駅前広場のC12。

松山


三つ目の県庁所在地、松山に到着。駅構内には架線がある。そうか、予讃線この先は電化されているのか。4県で最も小ぢんまりした駅舎。それだけに、道後温泉への玄関口でもあり古風な情緒がある。

チェックイン予定が18時なので少し急ぎめに移動する。地下道をくぐり伊予鉄道市内5系統道後温泉行きに乗車。観光客でかなり混んでいる。伊予鉄の均一運賃は160円なので、ほぼ確実に両替が必要となる。昨年秋に起きた暴走車の事件で松山市内を縦横無尽に走り回る映像が脳裏に残り、少しだけ街並みに見覚えがあったりする。松山城を迂回するように走るので、カーブが多い。

道後温泉


駅舎脇の引き込み線に「坊っちゃん列車」。
 
とりあえず、なにはともあれチェックイン。道後商店街(ハイカラ通り)を突っ切り、足湯のある道後館へと坂を登り、少し住宅地の方へさらに上がると、温泉街のはずれに今夜の宿エスポワール愛媛文教会館はある。一見教職員用の研修施設的なイメージだが、客室の階は落ち着いたホテルムードが漂う。まずは温泉引き湯で旅の汗を流す。スーパー銭湯を縮小したような造りの浴場を貸切状態w 部屋は空調も照明も手入れされ、3晩で最も清潔で快適な宿泊となる。

フロントにキーを預けて、いよいよ夕食と道後温泉満喫へ。椿の湯対面の「かどや」の鯛めし以外は目につかなかったので、ハイカラ通りを中心に一通り探してみる。しかし、大半が土産物店か夕刻閉店の飲食店ばかりで、夕餉を摂れる店は意外に多くない。宿泊客はホテルで2食付くため、素泊まり向けの飲食店は需要が少ないということか。数軒の鯛めし屋には長い行列ができ、ラーメンや丼系で済ませるのも気が進まない。辿り着いたのが、ちょうど有名な道後温泉本館の傍らにあるすし丸道後店。外から見る限り、満席だが待ち客は少ない。ここも鯛めしを掲げているが、同時に目を引いたのが「松山鮓(もぶりめし)」。正岡子規夏目漱石も愛したというこの料理に惹かれ、入店。寿司屋らしいカウンターとテーブル席で、奥はホテルのレストランともつながっているように見える。20分ほど待たされて席にありつくも、まだ料理を待っている人は多い。GWの急な賑わいに店の手際が追い付いていない感じがする。松山鮓と宇和島名物のじゃこ天を注文。

前菜にじゃこ天。レモンと大根おろしの調味が堪らん。周囲の客と同様、ビールのつまみにしたい逸品。

大どんぶりのちらし寿司、松山鮓。さすが寿司屋だけに魚介の鮮度が素晴らしい。超満腹の1500円。

この頃になると小雨がぱらつき始めている。道後温泉といえば、この本館が最大の名所といっても過言ではない。尤も最近では別館「飛鳥之温泉」なども建てられ、伝統性は薄れつつあるかもしれない。


本館には「霊の湯」と「神の湯」の二つの浴場があり、入浴コースも4つの等級が用意されている。せっかくなので、せんべい食べて寛げる「二階席」コースを選ぶつもりだったが、夕飯を贅沢してしまったため入浴のみ(410円)。タオルは持参せず、30円でレンタル。物凄い混雑のせいか、番台の客扱いはやや手荒い。男湯の浴室は2つあり、造りは同じ。地元で愛され使い込まれてきた年月が、湯舟の石の風合いに滲み出ている。湯池の底は深く、立ち湯の構造。円筒形の「湯釜」の彫刻や美しい陶板画を湯けむりの合間に眺める。浴室間を裸で移動するのに半濡れはマナー違反なのか、常連らしき方に注意された。脱衣場内だから構わないではないか。水分補給のお茶をいただきながら、道後温泉の歴史をパネルで学ぶ。

雨が気にならないほど、妙に名残惜しい。


つづく

*1:と記憶しているが、トンネルのせいで短時間後に感じられたようだ

*2:卯之町の一件があるので、こちらの各資料館は開館しているか、やや語気強めに確認