民主党が戦争自体の意義まで問わない理由はもう一つある。それはアメリカの実質的実権は、大統領にある、ということだ。日本は議員内閣制で、首相が代表のような顔をしているけれど、それは国会議員の中から選ばれるものであって、国民の直接選挙によるものではない。ところが大統領は一部に間接的なところはあるが、全国的な大統領選というものをやって決める。だから大統領は国の元首であり、軍や政府を統率するものである。今回のイラク戦争は、アメリカ大統領の実権を存分に活用?した政策?であった。大統領は天皇と違って国民が決めた元首だから、その決定責任は国民が負う。だからバックは国民に任せて何でもできる。自分の趣味、好き嫌いに合わせて政府や軍を動かし、自国や世界を料理する。権威を利用し、人気を保てば、大統領なんて簡単な職業だ。そのことを見事に実証したのがジョージ・ブッシュだったのだ。そして、その大統領制を生かしておき、いつでもわがまま放題できる制度をこれからも利用するつもりの民主党候補ケリー。「馬鹿でもなれる大統領」を一掃する気があるのなら、この戦争自体を叩くことができるだろう。あなただってこの制度があれば、戦争を起こす気になるでしょう?と問えば、ケリーだって頷く。自分の思い通りになる職業を目指す人は、国内でも後を絶たない。昔、そんな人間は「王」「皇帝」など、世襲か数々の戦闘を潜り抜けた英雄だった。ところが今、アメリカでは選挙でもっともらしいことを言って、人気を取れば簡単になれるのだ。大統領が戦争を起こした、戦争責任をとれ、と民主党が唱えれば、では大統領がこれだけの実権を握っている事実はあなたは利用しないつもりか、と問う。大統領制を手放せない人間は、やはり一個人だけを戦争責任に問えないだろう。結:大統領選自体を放棄するか、民主党。【2004/03/29/PM】