南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

小説を読もう

日中モノに飽きてきたことは先日書いたが、今年に入ってから名作が読みたくなった。太宰とか漱石とか川端康成とかそういう作家を読みたい。高校時代は通学時に電車の中で文庫一冊を心がけていたもんで、名作は何にしても小説はよく読んだ。それが大学に入って読書イコール研究みたいな雰囲気になって、気楽に読めるものから遠ざかっていた。今は別に強制的に勉強させられているわけではないので、無理なく幅広く読めるはずなのに、癖がついてしまっている。頭の中が熱くならずにすうっと読みきれる奴がいい。そんな気で手に取ったのが『鉄道員』。近年映画にもなった奴で、観た事はないけど原作を読んでみたくなった。
これが今日読んでみて、久しぶりに素直な感動を味わった気がした。難しいこと考えずに、自然に心に響く文章があるのだということをあらためて実感した。これは侘寂の感触じゃないのかな。素朴な中に人間が伝わってくる、いい作品だと思った。熱帯夜から何となく書き始めた心霊的小説がいかにプロの文章にかなわないか、いかに文学に疎くなっているかを痛感させられた。まだまだ既製品をよく読んで真似ばねばならない。あんなものは書かないほうがいい。また在庫か。