南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

城北線ホリデーフリー

まだ風邪が治りきっていないけれど、PC不良とか何かとストレスが蓄積していたので、気晴らしに行った。勝川までは自転車。

起点勝川

ホームへ上がる階段下に、乱雑に駐輪されているが、そこは辞めて勝川駅第二駐輪場に置く。1面1線のホームには2,3人の待ち客と、その十倍あまりのスズメ。掲示されたポスターを見て、初めて、勝ち星切符は10月1日の発売であることを知る。残念ながら今日は買えないし使えない。試合に行くのか、女子中学生が数人、JR駅からやってくる。以上が乗員。列車は、車庫から出てくるのでなく、枇杷島からやってきた。

高所から名古屋を眺めて

東海交通事業城北線の売りは、何と言ってもこれに尽きる。家屋はもとより、中小マンションすら眼下に見下ろすような高所を行く同線は、名古屋城より北に位置する広大な住宅街を一望できる。さらに林立する中心部の高層ビルも、小高い丘から眺めるような気分。名古屋にはモノレールのような交通がない分、かなりその役割を担えると思う。なかなか紹介されないけれども。。

鉄道的に見ると、

まずビックリさせられるのが、城北線は全線複線(勝川駅構内のみ単線)である。1時間に1本、平日のラッシュアワーで2本。しかも1本/hは単一の列車が行き来しているだけ。交換なしなのに何故に複線? 
枇杷島まで所要時間は16分。折り返しの停車時間は約6,7分だから、1時間で十分往復できる。眼下の国道302号を走る車と同速ぐらいであったから、大体時速60km程度だろう。駅を出ていったん加速すると、その後はノー―――ンビリ不必要な振動も無く走り続ける。ので、心地よすぎて眠くなる。
列車は1両で気動車。車内は、紀勢本線太多線など乗りなれたJR線と同じ。あとでも記すけれど、この1両で適量な乗客を運んでいる。適量というのは多くも無く、また少なくも無いということだ。だから同線は廃線にならない。生活鉄道の役割は果たしきっていると言える。

で、どうやって乗ろう?

乗ったとたんに、城北線の中身を語り始めてしまったが、話を戻さねばならん。午後思いついた企画で、しかも勝ち星切符が使えなかったので、ほとんどプランが無い。勝川駅を発車する前に、車内のパンフなどを漁って考えた。まず降りたい駅は星の宮と枇杷島。後の駅は、周辺を訪れたことがある。だが城北線の運賃は高い。星の宮と枇杷島は、勝川から430円(整理券に書いてある)。往復すると860円になる。けれども、現在午後4時。一日フリーを買う時間とはとても言えない。迷ったので、とりあえず500円を両替しておく。
車窓を見ながら考える。ホリデーフリー切符は700円。どんな乗り方をしても、金銭的には絶対オトク。午後4時と言ったって、1時間に1本あれば元をとる時間は充分にある。結局、小田井駅で停車したときに運転士さんに声をかけてホリデーフリー切符を購入した。両替意味ねー。

乗客がだんだん減っていって...

勝川を出たときは10人弱だったのに、味美で降り、比良で降りていって、結局比良から先は、私専用車でした。あぅ。んでも、意外と若い人が良く乗るのぉ。

枇杷島プラプラ

星の宮と枇杷島、どっち先にしようかな、と思ったけど、切符に印刷されていた枇杷島の問屋記念館に目をつけた。
が、
閉館。入館午後3時まで、閉館4時。えー、せめて5時まで開いててよー。美濃路という街道みちにある。しょうがないので、その辺をアリク。記念館の前に、周辺の史跡案内図があって、「旧村瀬銀行建物」という、他の史跡が「跡」になっている中で、一見物件が残っていそうなモノに目が止まった。
しかし、
何度歩いても、素通りしたらしく見当たらん。もう一度案内図を見て戻ると、どうやらそこは雑草茫々の空き地であった。なんだ、ここも「跡」じゃにゃーか。
ちなみに、この美濃路筋は何度も自転車でとおったことがある。見慣れた空間だけど歩いてみると、微妙に趣が違う。
二ツ杁駅前を通って、明治チューインガムの匂いをかいで枇杷島駅に帰る。駅前で痰を飛ばしてタバコを吸っているオッサンが妙に気になって見ていると、中年男女数人とともに中国語を話している。ヤッパリ。窓口で切符を買って、くわえタバコのまま改札を抜けていく。あれ?JR駅構内って禁煙じゃないのか?

運転士のおじいちゃん

さきにも述べたように、この線は単一列車の往復だから、顔を合わせる運転士は変わらない。たぶん長年JR東海で運転士を務めてきたのだろう、ベテラン格漂うおじいちゃん。いまはワンマン1両列車を往復運転しながら、時折出会える風変わりな人や、なじみの客と話すのが人生なんだろう。小田井駅停車中にフリー切符を売ってくれ、枇杷島で下車時に切符と顔を見せてから、しっかり覚えこまれてしまった感。JRやそこらの私鉄と違って、「ありがとうございました」などと堅い言葉は出てこない。「ありがとー」と響きが思い切り親しみやすくて、何往復も乗りたくなる。もちろん笑顔。これも廃線にならない秘訣かも。
入線してきた下り勝川行きに乗り込むと、彼と目が合った。ボックス席を覗き込むような感じだったが、目が笑っている。整理券がまだ枇杷島発勝川行きに切り替わっていなくて、星の宮の整理券を取ってしまった男性が、枇杷島の整理券に換えてもらいながら、運転士さんと話をしていた。近頃はなかなか整理券を取ってもらえず、50%くらいだそうだ。定期券利用者は整理券は必要ないし、全線乗り切ってしまう人はあまり証明求めないかな? 因みに枇杷島で降りて、そのままJR線に乗り換える人は、降車証明書という切符を受け取る。今はJRのほとんどの駅でで自動改札機が設置され、乗車駅をきちんと確認するシステムになっているから、これがないとキセルを疑われる。

尾張星の宮で降りてみる

往復するだけで700円の元は取れるもんね。と言いつつ星の宮で降りる。星の宮で降りたら、行くところは勿論星の宮だ。星の宮というからには、そういう宮があるはずだ。駅前の案内図で、それは徒歩5分のところにあった。河原神社。通称を星の宮といい、境内の両脇にある“神眼池”の水には、目の病を癒す効力があるとされる。〔星と目の関係〕がイマイチ分かってない南蛇井だけれど、ニュアンスとしてつかむ。目星とかね。尤も、現在の神眼池は干上がっており、枯葉や小枝が溜まっている。「面影だけが残っている」と説明書きにもあった。
駅名の「星の宮」の前につく『尾張』の文字が気になった。普通、他県に星の宮駅が無ければ、こんな処置にはならない。普通に星の宮でいい。たぶん星の宮という神社が全国的に存在するためだろう。でも、星の宮は古い地名だし、神社名だけを駅名に採用するだろうか。ということで、私の説。この辺り一帯をかつて阿原(村)といったことから、「あわら」を「おわり」に転換したのではないか。何となく音が似ているから。
そんなことを何気に考えながら時間を潰す。50分は長い。

二時間半で帰ってきました

まだ夜景モードは無理な名古屋の空と小牧の空を交互に眺めつつ、勝川行き。星の宮で私と入れ違いに女性が降り、再び南蛇井専用車のまま勝川まで走行。でも上り線には待ってる人いたよ。この電車の折り返しに乗るんだけどさ。専用車は偶然だと思う。休日でこの程度なら、平日はもう少し通勤・通学に利用されて、1両分かつ毎時1本に相応しい運行になるんだろうな。釣合いの取れた感じがする。
そんな感じで、終わった城北線寸旅。如何でしたでしょうか。途中下車は空振りっぽかったけど、乗り心地は思ったほど悪くなかったし、本数もまぁまぁだし、何より人間的な鉄道ですね。頑張って永続してください。また暇があったら、1区間だけでも乗りたいな。
ではでは。