南蛇井総本氣

南蛇井にとらわれた言語的表現の場

秋の中山道ハイキング(武並駅~大湫宿~細久手宿~御嵩宿)

日頃の運動不足を少しでも解消するため、ときどき暇をみてはやっている中山道をしっかり歩いてみようと。もともと恵那峡温泉で一泊した翌日の行軍設計だったのを日帰りに改編。企画から当日の道しるべまで、以下のページを徹底的に参考にさせていただいた。
www.yamareco.com
全行程27㎞と、近頃歩いていない愚脚にはやや厳しめに思われたが、登山と違って旧街道だけに歩きづらい箇所は少なかろう、と上のページを参考に休憩含め概ね7時間で歩ききる予定を組む。実際コース全体が中山道かつ東海自然歩道に整備されており、非常に歩きやすかった。時折悩ましい分岐もあるが、道標は充実していて安心。ただ、全体の半分くらいは宿場町も含めアスファルト舗装の林道区間で、未舗装の山道は案外多くない。また、里山程度のこの辺りでは紅葉にはちょっと早く、緑葉がまだ大勢であった。

JR武並駅より中山道入り

名鉄味美駅より名古屋空港直行バス勝川駅行きに乗り出発。近鉄の出札記録がないことを理由にICカードが使えず、券売機で切符を買ってJRを利用する羽目に。快速中津川行きは、おそらく塩尻方面接続する都合と、高蔵寺以東の本数の関係から行楽客などで非常に混雑。とくに山歩き装備の中高年団体が多数を占める。しかし武並駅では数えるほどしか降りなかった。

f:id:Nanjai:20191020092542j:plainf:id:Nanjai:20191020092142j:plain
JR武並駅
さぁ、まずは「ちんちん石」目指してウォーキングスタート!(09:20)
中央道くぐって一山越すと、今回の中山道入り口となる深萱立場跡。町民ウォーク参加者と間違われ、大井宿方面へ誘導されそうになる。ちなみに中山道に武並宿というのはなく、鳥居峠越えのときのように宿場スタートとはならない。
f:id:Nanjai:20191020095419j:plainf:id:Nanjai:20191020095550j:plain
中山道イン

観音様の道

大湫宿までは静かな山道と民家や田畑の脇を通るのが交互につづく。道中随所に観音様が置かれ、茶屋跡が点在する。「ちんちん石」は残念ながら見落としたっぽい。

f:id:Nanjai:20191020102420j:plain
心地よい森林浴
f:id:Nanjai:20191020102738j:plain
見事な棚田
f:id:Nanjai:20191020101157j:plain
くっきりと映える中山道(恵那・瑞浪市境)
 豚コレラに感染した野生イノシシが見つかったということで、靴底を消毒させる石灰の撒かれた箇所が時々ある。
f:id:Nanjai:20191020104645j:plain
樫ノ木坂の石畳
この大井~大湫の間は起伏に富んだ尾根道が多く、昔から難所とされてきた。そのため、随所に馬頭観音さまを祀って旅人の安全を祈願したらしい。
f:id:Nanjai:20191020110736j:plain
頑丈な石窟に安置された三十三所観音像
また、今日歩くコース上には一里塚がいくつも良好な状態で残っている。
f:id:Nanjai:20191020104742j:plainf:id:Nanjai:20191020120952j:plainf:id:Nanjai:20191020132346j:plainf:id:Nanjai:20191020142931j:plain
一里塚(権現山、八瀬沢、奥之田、鴨之巣)
大湫宿に入るまで、ハイカーには一人も会わなかった。

大湫宿

山あいにありながら結構しっかりした宿場町。塩の専売で栄え、大火に遭わなかったためか保存状態がよいという。町に入った途端、案内所(丸森)で茶を薦められ一服。ここで初めて街道歩きのご夫婦と会った。御嵩までというとちょっと遠い感じに反応されたが、途中どこで離脱できるのかな。おいしい梅昆布茶で一息入れ、細久手方面への地図もいただいて暫くスマホが手放せるようになった。宿を出るとちょうどツアー団体が到着したところ。五平餅はガマン。

f:id:Nanjai:20191020112654j:plainf:id:Nanjai:20191020113621j:plainf:id:Nanjai:20191020113948j:plain
煙出しや虫籠窓が特徴的な大湫の町並み
さぁ昼までにもうひと踏ん張り。

大湫~細久手

日本一長いといわれる石畳の琵琶峠を越えて昼飯(八瀬沢、12:20頃)。

f:id:Nanjai:20191020115930j:plainf:id:Nanjai:20191020120724j:plain
石畳と馬頭観音
この先、細久手宿を過ぎるまで舗装された林道をゆく。ときどき集落があったり、警察犬の養成所があったりして歩き心地はいい。だが、静寂なはずの山奥から大音響のスキール音やエンジンの爆音が響いてきて気分を損ねる。おそらくサーキット場が尾根向こうとか非常に近い場所にあるのだろうが、姿が見えないぶん余計耳に障る。けっきょく奥之田一里塚で最も接近し、次第に遠ざかった。たしかに人里からは離れているとはいえ、ハイカーにも大迷惑。ゴルフ場脇を通るときボールが飛んでこないかも気になったが、もし公道ラリーとかだったらいきなり撥ねられやしないかと不安になるではないか。
また、弁天池周辺ではクマ出没の警告が多数あり、鈴を持たず軽装で身の危険を感じなくもない。何者かが柿や栗を食い漁った跡はあったが、ケモノの足跡は見当たらず。

細久手宿

こちらは大湫ほど目立った宿場PRはしておらず、ごく普通の集落といった感じ。

f:id:Nanjai:20191020134244j:plainf:id:Nanjai:20191020134426j:plain
細久手宿
幾度かの大火で全焼し安政以降に再建されたものという。それでも古そうな商店の軒にかかる「塩」の看板は、大湫との共通を感じる。この辺りは瑞浪市コミュニティバス日吉(ひえ)線が一日一往復あるらしく、ちょこちょこバス停を見かける。孤立してしまいそうな集落の貴重な公共交通。

細久手~御嵩

細久手から御嵩まではおよそ12㎞ある。中国旅行などでは健脚を自負する私も、さすがに疲労を覚え始めた。平岩から再び山道に入り緩やかな峠を越えたりするようになると、舗装道路で健闘した脚が痛む。

f:id:Nanjai:20191020141221j:plain
秋葉坂の三尊石窟
f:id:Nanjai:20191020141455j:plainf:id:Nanjai:20191020141531j:plain
足元でヘビに遭遇!!
南蛇井だけに咬まれることはない。
津橋集落からは鈴を携帯した男性と抜きつ抜かれつしながら、「今度こそ、今度こそ最後の峠」と祈る気持ちで頑張って越える。謡坂(うとうさか)の石畳では膝に堪える。けっきょく西洞(さいと)の牛の鼻かけ坂中山道の平坦部と峠道の境目)まで勘弁してはくれなかった。十三峠を歩き終えて、
f:id:Nanjai:20191020154834j:plainf:id:Nanjai:20191020154919j:plain
ススキとともにそよぐ菜の花(のようなセイタカアワダチソウ)畑
この時点で御嵩宿までの距離と疲労具合を鑑み、予定の名鉄電車を1本(30分)遅らす決断に。
御嵩宿目前にして最後の見所、和泉式部廟所恋多き女歌人にして、心赴くままに東山道を下るさなか病に倒れこの地に没したという。
f:id:Nanjai:20191020161345j:plain
和泉式部廟所(歌碑)

御嵩宿にて完歩!!

f:id:Nanjai:20191020164119j:plainf:id:Nanjai:20191020164324j:plainf:id:Nanjai:20191020164457j:plain
御嵩宿の町並み
もう17時ちかく、中山道みたけ館は閉館間際。ハイキングしない機会にまた来たい。余力があれば伏見宿まで足伸ばして明智駅から乗れば運賃節約、なんて甘すぎる話だと身に染みて実感した。7時間半みっちり歩いて、久々に脚がしっかりくたばった。(16:45)
f:id:Nanjai:20191020164848j:plainf:id:Nanjai:20191020165628j:plain
名鉄御嵩
ヘッドに行先標があるため方向幕には「普通」以外表示されない。2両編成、30分に1本のローカル線のわりにベトナム人とか結構乗客がある。途中の明智駅でもかなり乗降がある。明智駅では八百津線の名残が垣間見えたが、新可児との間の学校前駅跡は確認できず。新可児では乗車券拝見のための改札がある。準急中部国際空港行きに乗り継ぎ犬山へ。意外かもしれないが、名鉄広見線を全区間乗るのはこれが初めて。小牧線で18時過ぎ味美に帰着。往路(味美~武並)と復路(御嵩~味美)の所要時間は2分しか違わず。
10何年かぶりに東海自然歩道を真剣に歩いて、大変いい運動になった。(少々筋肉痛w)