少し慌て気味に朝飯食って8時前の電車に駆け乗る。明日の天候を思うと晴れて明るい車窓は貴重だ。吉野口まではかなり狭隘な軌道を走っていることに気づく。とちゅう福神という縁起の良い名の駅がある。副駅名の花吉野ガーデンヒルズは観光名所ではなく住宅地の名だと後に知る。記念乗車券も販売されているらしい。けれど、同じ線に大阿太(仇)とか、葛(クズ)とかあるのを思えば、一つぐらい良いのがないとバランスとれないw
新天地の尺土から先は普通に乗換。南大阪線系は総じて緩急の接続がうまい。この時期は寒いホームでの待機時間は極力短いほうがいい。
當麻寺
当麻寺駅から徒歩15分とあるけれど、そんなにかからない。古くからの参道らしき一本道を緩やかに登っていく。途中、相撲の開祖といわれる当麻蹴速(たいまのけはや)の塚がある。
當麻寺は二上山の麓に位置し、当麻曼荼羅信仰と中将姫伝説で知られる。
後方の奥院拝観は別途500円。極楽浄土を描いた當麻曼荼羅などを収めた宝物館と、二上山に抱かれた浄土庭園がある。宝物館も私一人のためにわざわざ開館し案内してくださる。
古市までの区間もなるだけ二上山を仰ぐように車窓を楽しむ。この辺りはぶどうやイチジクの産地でもあるという。
近鉄長野線
せっかくの好天なので昼時までの小一時間に長野線を乗り鉄だけしておこうと。沿線の富田林は明日訪れるが、朝の吉野線と同様明るい車窓を一目見ておきたくて。下調べで河内長野の駅周りに目ぼしいものはなく、気をひく飲食店があれば昼食べて、なければ1本後で折り返す魂胆。結局ロッテリアのクーポン券を配られたのみ、お菓子のデパート「よしや」で小腹を宥めて引き返した。戻りを富田林に近づくにつれ、左手に奇妙な白い塔が見えてくる。気になって窓ガラス越しに撮ってみた。
調べると、PL大平和祈念塔だそうである。うへぇ
古市古墳群
むかし自分趣向の大阪満喫旅で、百舌鳥の仁徳天皇陵(大仙古墳)を中心とする古墳巡りをやったことがある。
jaike.hatenablog.jp
その百舌鳥古墳群とともに世界遺産に登録されたのが、古市古墳群だ。羽曳野と藤井寺にまたがる一帯には夥しい数の古墳があり、近鉄南大阪線は古墳を避けるためにカーブの多い軌道となっているほどである。ウォーキング・マップ(古市)|世界遺産 百舌鳥・古市古墳群(もず・ふるいちこふんぐん)を参考に、古市を起点、藤井寺駅をゴール*1として可能な限り多くの古墳を巡ってみようと目論んだ。健脚向けコースでも7.4㎞(約3時間)だし、更に欲張っても歩けると高を括っていた。
iPhoneの電池を温存したく、紙のウォーキングマップを駅や近鉄プラザに求めるも見当たらず。駅前食堂兼居酒屋の「すわん亭」で親子丼。昼間から呑んでる地元の常連たちで賑わう。丼のダシはちょっと濃いめ。
駅より南の安閑天皇陵より時計回り状に古墳を辿っていく。
マップを見ながら辿っていくというよりは、視界に入るこんもりとした森を目指して住宅地に踏み入っていく、といったほうが正しい。そんな非効率な歩き方のうえに墳丘や環濠を回り込む徒労が災いして、半分も巡らないうちに足が疲れてきた。中心部の墓山古墳に着くころには、予定コースは回りきれないと悟り始めていた。一応巡った順に古墳名を書き連ねておく。また、一か所からでは墳丘の形など分かりづらく、拝所なんか一様でつまらないけれども画像をまじえてみる。
安閑天皇陵、白鳥陵、
夕闇迫る中、津堂城山まで行けなかったぶん意地を見せて、鉢塚と仲哀天皇陵を拝し締めくくる。想像以上にしんどかった。雨の日だったら耐えられないわ。
阿倍野
初めての区間は普通電車が基本*2。大阪阿部野橋までの普通電車を選ぶ。じつはここに途中下車したいため。
名鉄の矢田(やだ)と、近鉄の矢田(やた)。矢田中学校もあるらしい。
北田辺、河堀口(こぼれぐち)、変わった駅名だな、とぼんやり受け止めていたら唐突に大阪阿部野橋がアナウンスされてビックリ。まだまだ郊外っぽくて、もっと3,4駅くらいあるつもりで座っていたので、えっもう着いちゃうのって感じだった。この「あべのばし」っていう響きはなぜか好きで、同じ土地にある天王寺とは違った大阪ローカル感が滲んでいる気がする。大阪・梅田や難波とならぶ一大ターミナルにして、近鉄の終着点でもある阿部野橋までは必ず乗りつぶすだけでも訪れようと思っていた。そして、阿部野橋へ赴いたもう一つの大事な目的、あべのハルカスを仰ぐこと、である。上るのは金かかるらしいから、しっかり見上げてやろうと。
近鉄の駅ビルを出たとたん、一周する歩道橋上でどんどん人ごみに押し流され、キューズモールという商業施設まで漂流。そこで初めて、ターミナルビル自体がハルカスであることに気づいた。それでもあまりに高すぎて、モールのデッキぐらいでは頂点まで捉えきれない。







南大阪線と吉野線直通急行の都市近郊パワーを目いっぱい発揮し、1時間余りですっ飛ばして下市口に帰ってきた。効率よく東から西へ組み立てて大移動を回避してもいいんだけど、折角だからこの急行の特性を痛快に活かしてあげた。今日はさすがに脚がよく疲れたのでテレビも程々にして就寝。
つづく