イラク問題にお疲れの方は、こちらの稿をお読み下さい。5000円紙幣にその肖像を載せながら、如何なる人物か、その詳細を知られない新渡戸稲造。1万円の福沢諭吉、1000円の夏目漱石ならば、小学生でもその名を挙げることができる。しかも、今後数年の間に紙幣の肖像は変更され、野口英世、樋口一葉などの「新」著名人にその座を譲ることになるのだ。日本国で紙幣に載るという事は、即ち日本において功績となる偉業をなされた方である。実は、筆者も最近まで彼の偉業を知らずにいた。今思えば、恥ずべきことであり、また紙幣3肖像はその偉業に共通点を持っていたことも改めて知ったのだ。日本国内では農業博士、教育者として知られ、アメリカと日本の橋渡しとなる国際事業にも取り組んだ方である。さらに日本人として注目すべきこと、それは世界に「武士道」というものを知らしめんと尽力された方なのだ。その著作『武士道』(1900)は、現在でも多くの図書館に存在する。しかし、日本人精神として誇るべきであったこの武士道たるモノは、いまや我々現代人の生活の中にほとんど残されていない。日本を訪れる外国人の中にはまだ、日本ではちょんまげを結った人々が・・・などと想像したりすることもあるそうだ。ところが、そんな風潮はおろか、日本人の本来持つ精神とはなにか、ということを尋ねられて、回答に困るヒトが圧倒的に多い。自国の文化を知らない。新渡戸稲造は、それを熟知し、しかも英語でこの書を世に出したのだ。もはや、永遠に紙幣に残すべきではないか、と思うほどである。結:先人に学べ。【2003/12/27/PM】